このところ注目を集めているのが高級コンパクトデジカメ(高級コンデジ)。持ち運びやすいサイズで、しかも高画質で撮影できる。デジカメ黎明期はコンデジといえば、とにかく小さくて写真を撮れればOK、といったモノが多かった印象ですが、近年のコンデジは、大きなセンサーや明るいレンズを備えた高スペックなモノがほとんどとなっています。
高スペックなコンデジは、ある意味“趣味カメラ”のようなモノです。手軽さを考えるとスマホがある。実用性という面では一眼。その間にある高級コンデジは、まさに写真撮影を楽しむためのカメラといえるのではないでしょうか。
パナソニックのLUMIXからも、新たに「DC-L10」(予想実勢価格:20万9880円)が7月9日に発売予定です。価格には少々驚かされますが、趣味カメラとしてはいったいどうなのか。発売前に実機を借りて、フォトグラファーの田中利幸さんに試してもらいました。
【趣味カメラの世界 #37】
カメラを手にしたときに「これ、ちょっといいな」と思えるかどうかは、趣味の道具としてかなり大切なポイントだと思います。LUMIX L10は、まさにそういう感覚を持たせてくれるカメラでした。
見た目にはしっかりとした上質感がありながら、持ってみると驚くほど軽い。このギャップに最初は少し違和感を感じるかもしれませんが、使っていく中で日常で持ち歩くコンパクトカメラとして理にかなっていると思いました。
今回は、LUMIX L10が“持ち出したくなるカメラ”に仕上がっている理由を、デザインや操作感の面から掘り下げていきたいと思います。
■見た目はしっかり高級機。でも手にすると驚くほど軽い

LUMIX L10は、いわゆるポケットにすっと収まるコンパクトなカメラではありません。電源オフ時は沈胴式レンズのおかげで比較的小型になりますが、パンツのポケットに入れて持ち歩くようなサイズではなく、アウターのポケットやバッグに入れて持ち歩くのが現実的です。
とはいえ、実際に日常で使うことを考えると、このサイズ感はむしろ絶妙だとも感じました。大きすぎず、小さすぎず、手元にあるとちゃんとカメラとしての存在感がある。けれど、重さは実測で約505g(バッテリー・メモリーカード込み)なのでそこまで負担にならない。
見た目にはしっかりとした高級感があるのに、実際に持つとかなり軽い。このギャップは、L10の個性のひとつだと思います。
レンズが沈胴式である点はちょっと気になる部分です。電源オフ時はすっきりとしていて、携行性も良い。ただ、電源オンでレンズが伸びると、見た目のバランスが悪く感じてしまいました。撮影において、カメラの見た目は関係ないといえばそうなんですが、“趣味カメラ”として考えると見た目も気分を上げる要素のひとつです。
ただし実用性の面では、この大きく繰り出すレンズは、いわゆる標準ズーム域をしっかりカバーしていて、日常のほとんどのシーンに無理なく対応できる万能選手です。
■絞りリングと軍艦部ダイヤルが“撮っている感”をちゃんと与えてくれる
LUMIX L10を触っていて便利だと感じたのは、レンズ周りに備えられた絞りダイヤルなどの物理的な操作感でした。レンズに絞りリングがあると、現在の絞り数値が視覚的に分かったり、撮影中に実際にカメラを操っている感覚が強くなる気がします。
ファインダーを覗いたまま、レンズ周りのスイッチ類だけでAFの切り替えやアスペクト比の変更なども可能だったりと、実用性も十分。軍幹部のダイヤル類も、道具としてのカメラ感が強くなるので、個人的に気に入ったポイントです。
こういう感覚は、実用品としての利便性だけでなく、趣味のカメラとしてかなり大事な要素だと思います。実際に手を動かしながら露出や絞りを決めていくことで、写真を撮る時間そのものが少し楽しくなる。L10はそのあたりの作りがうまく、単に高画質なコンパクトカメラというだけではなく、「触ること自体が楽しいカメラ」になっていました。
■EVFやサムレストまで含めて、撮影体験をきちんと考えた作り
個人的に好印象だったのは、EVFがきちんと備わっていることです。正直なところ、見やすさだけでいえば手放しで褒められるほどではありません。それでも、ファインダーを覗いて撮るという行為そのものが、写真撮影への没入感を高めてくれます。背面液晶だけで気軽に撮るのとはまた違う感覚が、趣味のカメラとしての楽しさにつながります。
コンパクトなボディながら、背面にはしっかりとしたサムレストも用意されていて、見た目以上にグリップ感が良いのも印象的でした。最初は少し薄くて持ちづらいかもしれないと思っていたのですが、実際に使ってみると思った以上に安定感があります。こうした細かな部分の積み重ねが、L10の使いやすさに繋がっているように感じました。
■細かい好みは分かれても“持ち出したくなるカメラ”だった
LUMIX L10、細かく見れば好みが分かれそうな部分もあります。レンズが伸びる見た目や、見た目のしっかり感に対して意外なほど軽い感触など、人によっては少しマイナスに思う部分もあると思います。けれど、その軽さは日常で持ち歩くカメラとしては大きな武器でもあり、実際に持ち出してスナップ撮影をしてみると、その軽快さに撮影がより楽しくなりました。
ふとした表情を軽やかに収めたり、いつも歩いている街並みが少しフォトジェニックな風景に見えたりと、LUMIX L10を手にすると、常に持ち歩いて日々を軽快に切り取りたくなります。
上質感があり、触っていて楽しく、それでいて重すぎない。LUMIX L10は、スペックだけで判断するというより、持っていたくなるというのが魅力のカメラだと思いました。趣味のカメラとして見たとき、日々の相棒にぴったりなカメラです。
次回は、実際に街へ持ち出して撮ってみた印象をもとに、L10が日常のスナップカメラとしてどこまで心地よく使えるのかを見ていきたいと思います。
>> 趣味カメラの世界
<取材・文・写真/田中利幸 モデル/田淵瑚都(@tako_ism)>
【関連記事】
◆“撮って出し”でもここまで仕上がる。キヤノン「EOS R6 Mark III」の多彩な色表現
◆手のひらにフルサイズを。ソニー「RX1R III」で感じた“軽さは正義”という真理
◆クラシカルな顔立ちと現代性能が調和。Nikon「Zf」をいま改めて語りたい
- Original:https://www.goodspress.jp/columns/737148/
- Source:GoodsPress Web
- Author:GoodsPress Web