
Appleの技術者が、iPhone Duoのヒンジにグラファイトのパイプを通し、2つの本体の間で熱を移していると明かしました。閉じると厚さが倍になる折りたたみの弱点を補うための、iPhone Duoだけの熱対策です。冷却の仕組みの多くはiPhone18 Proと共通ですが、充電の速さなど数字に表れた違いもあります。
10月16日午後9時の予約開始を前に、iPhone Duoの冷却の工夫と、熱くなったときの注意点を見ていきます。
iPhone Duoのヒンジに放熱パイプ
海外メディアのインタビューで、Appleの半導体と熱設計の担当者が冷却の仕組みを説明しています。iPhone Duoだけの工夫として明かされたのは、ヒンジの中を通る曲がるグラファイトのパイプでした。
このパイプの役割は、2つの本体の間で熱を移し、放熱に使える面積を広げることです。熱設計の担当者は、このヒンジのパイプを「設計上もっとも技術的に難しかった」部分にあげています。
開閉を何度くり返しても熱の通り道を保てるよう、熱と機構の担当が曲がる素材を使って共同で作り込みました。本来は開閉のための部品であるヒンジに、冷却の役割まで持たせています。
iPhone Duoは閉じると厚さが倍に
折りたたみが熱の面で不利になる理由の1つは、本体の厚さです。Appleの仕様では、iPhone Duoの厚さは開いたときが5.2mm、閉じたときが11.3mmで、閉じるとおよそ倍になります。
iPhone18 Proの8.75mmと比べると、開いたときのiPhone Duoの本体は約6割の厚さです。冷却の部品を入れる余裕もそれだけ小さく、熱を運ぶ板状の部品をiPhone18 Proより薄くしたのも、この厚さに合わせるためとみられます。
閉じた状態の11.3mmは、iPhone18 Proより2.55mm厚い計算です。閉じて本体が重なる状態でも、ヒンジのパイプで反対側へ熱を移し、放熱に使える面積を広げています。
iPhone18 Proと共通の4つの冷却策
Appleの担当者が説明したiPhone18 Proの4つの冷却策は、その多くがiPhone Duoにも当てはまるそうです。並べると、次のようになります。
- メモリをチップの横に配置
- チップとベイパーチャンバーを新素材でつなぐ
- ベイパーチャンバーの面積を3倍に(iPhone18 Pro)
- 画面の裏に熱を広げる層を追加
これまでのiPhoneはメモリをチップの真上に重ね、熱を逃がしにくい作りでした。ベイパーチャンバーは、内部の水が熱で蒸発し、冷えて戻る動きをくり返して熱を運ぶ仕組みです。
AppleはiPhone17 Proでベイパーチャンバーを採用し、翌年のiPhone18 Proで面積を3倍に広げました。iPhone Duoではヒンジの中にまで熱の通り道を設け、冷却の強化を続けています。
iPhone18 ProとDuoの冷却を比較
iPhone17 Pro、iPhone18 Pro、iPhone Duoの冷却の仕組みと関連する数値を並べると、次の通りです。
| 項目 | iPhone17 Pro | iPhone18 Pro | iPhone Duo |
|---|---|---|---|
| ベイパーチャンバー | アルミニウムの本体に溶接 | 表面積3倍・本体の骨格を兼ねる | iPhone18 Proより薄く中央に配置 |
| 熱を広げる工夫 | アルミニウムの本体全体に分散 | 画面の裏に銅の板とグラファイトの層 | iPhone18 Proの工夫に加えヒンジのパイプ |
| 厚さ | 8.75mm | 8.75mm | 開いたとき5.2mm 閉じたとき11.3mm |
| 有線で最大50%まで | 20分 | 約15分 | 約20分 |
| 充電の条件 | 40W以上のアダプタ | 可変電圧供給および60W以上のアダプタ | 60W以上のアダプタ |
| 持続性能の公表値 | 前世代と比べて最大40%長くパフォーマンスが持続 | iPhone17 Proより最大40%高い性能が長く持続 | 製品ページに記載なし |
iPhone DuoはiPhone18 Proと同じA20 Proを搭載していますが、有線で最大50%まで充電する時間は、iPhone18 Proより5分長い約20分となっています。Appleも充電時間はアダプタや設定、使用状況、環境条件で変わるとしており、この差だけで冷却の優劣は判断できません。
持続性能(高い性能をどれだけ保てるか)も、iPhone18 Proは「最大40%」と数値を示していますが、iPhone Duoの製品ページは「先進的な熱管理システム」という表現にとどまります。冷却の実力は、発売後の実機の検証で見えてくるでしょう。
iPhone Duoの急速充電に必要なアダプタ
iPhone Duoに付属するのは1mのUSB-C充電ケーブルだけで、電源アダプタは別売りです。約20分で最大50%まで充電するには、60W以上に対応したUSB PDのアダプタと、60W以上に対応したUSB-Cケーブルを組み合わせます。
Appleがこの速さを測ったのは、Apple Storeで税込6,480円の40Wダイナミック電源アダプタ(最大60W対応)です。テストは、バッテリーを使い切ったiPhone Duoを開いた状態で行われました。
このアダプタの製品ページには、iPhone18 Proなら約15分、iPhone17 Proなら20分で最大50%まで充電できるとも書かれています。すでにこのアダプタと60W以上に対応したケーブルを持っている人は、iPhone Duoのために買い足す必要はありません。
iPhone Duoが熱くなると何が起きる?
冷却の工夫が増えても、iPhone Duoを使える周囲の温度は0℃〜35℃と、Appleの仕様で決まっています。夏の暑さがこの上限にどれほど達するのか、熱くなったときに何が起きるのかを確認しておきましょう。
主な都市の猛暑日は年に数十日
日最高気温が上限の35℃以上になる「猛暑日」を、気象庁の観測データから主な都市について集計すると、次の通りです。
| 都市 | 2025年 | 2026年(10月12日まで) |
|---|---|---|
| 東京 | 29日 | 12日 |
| 名古屋 | 52日 | 29日 |
| 大阪 | 45日 | 34日 |
| 福岡 | 29日 | 38日 |
名古屋や大阪では2025年に東京を大きく上回り、2026年は福岡が38日と最も多くなりました。夏の屋外では、iPhone Duoを使える温度の上限に達する日が多くの地域で何十日もあります。
iPhoneが高温になったときの変化
iPhoneが高温になったときに起きる変化として、Appleは次の3つをあげました。
- 充電が遅くなる、止まる
- 画面が暗くなる
- カメラのフラッシュが使えなくなる
暑い日の屋外で行う長時間の動画撮影は、本体に熱がたまりやすい使い方です。Appleは、車の中や直射日光の当たる場所にiPhoneを置いたままにしないよう案内しています。温度の警告が表示されたときは、電源を切り、涼しい場所で冷ましてください。
ヒンジのパイプは開閉に耐えるか
ヒンジのパイプは、iPhone Duoを開閉するたびに曲がる部品です。Appleは開閉回数や耐用年数を非公表としているため、パイプの耐久性を確かめる材料は、熱と機構の担当が共同で作り込んだという説明に限られます。
iPhone Duoの購入意向を聞いた読者アンケートでも、買わない理由に「折り目や耐久性が心配」をあげた人は34.4%でした。冷却の部品がヒンジの中を通る作りは、耐久性を気にする人が確かめたい点の1つでしょう。
予約は10月16日午後9時に始まり、10月23日に発売されます。発売後は、閉じた状態での充電の速さや、負荷の続く撮影でどこまで性能を保てるかが、iPhone18 Proとの比べどころになりそうです。
Photo:Apple
- Original:https://iphone-mania.jp/iphone18-607376/
- Source:iPhone Mania
- Author:茂木太郎