10月8日、ソニー製のAndroidスマートフォン「Xperia 10 VIII」が発売されました。ミッドレンジモデルながら、価格は9万9000円(ソニーストアでの価格)。前モデルのXperia 10 VIIは7万4800円だったので、2万4200円も高くなりました。それだけの価値はあるのか? ソニーから借りて1週間じっくり使ってみました。
■素早く起動できる「即撮りボタン」が便利
Xperia 10 VIIIは、前モデルのXperia 10 VIIのデザインを継承。プロセッサーやカメラなど前モデルと共通する部分も多く、マイナーチェンジモデルという印象です。
ディスプレイは約6.1インチ。大画面化が進むスマホの中では小さめで、横幅は約72mm、重さは約168gに抑えられています。片手持ちでもスムーズに操作できるので、それだけで買いたくなる人も少なくないでしょう。

しかし、普段6.3インチ画面のスマホを使っている筆者には、デフォルトで表示される文字が小さく、表示する画面によっては見づらく感じました。中高年世代は文字サイズの変更が必要かもしれません。
右側面に音量ボタン、電源ボタンを搭載し、電源ボタンは指紋センサーを兼ねています。さらに、前モデルから受け継ぐ「即撮りボタン」を搭載。長押しするだけでカメラが起動し、シャッター操作もできるボタンです。また、短押しでスクリーンショットを撮ることも可能。左右どちらの手で持っても押しやすく、手放せない機能になりそうです。
左側面にはnanoSIMとmicroSDカードを装着できるスロット。上部にオーディオジャック、下部にUSB Type-C接続口を備えています。やmicroSDとオーディオジャックを搭載する機種は減っているので、それらを必要とする人には見逃せないポイントです。
カラバリは3色。筆者が借りたのはフローズンホワイトで、背面パネルは磨りガラスのようなサラサラとした質感でした。カメラ部はわずかに出っ張っていますが、ソニー純正のケースを取り付けることが相殺されます。
■最大の進化はフロントステレオスピーカーの音質
前モデルからの進化ポイントは下記の4点。
・ディスプレイが50%明るくなり、環境に応じた色の自動調整に対応
・スピーカーの音質が向上
・仮想RAM(最大6GB)の拡張が可能
・新機能「Point & Payメニュー」を追加
その中で、筆者が最も大きい進化と感じたのがスピーカー。Xperia 10シリーズのスピーカーは、2023年に発売されたXperia 10 Vからステレオになり、世代が進むごとに音質が向上していました。前モデルでは上側(横向き時の左側)のスピーカーにもエンクロージャー(箱)を採用し、端末内部に音が漏れるのを阻止し、左右のバランスが整えられていました。今回は、下側(右側)のスピーカーユニットを刷新し、左右バランスもあらためて調整されたとのこと。
前モデルと同じ楽曲を再生して聴き比べてみると、シンプルに音の迫力が増し、特にボーカルは、アーティストの吐息まで明瞭に聴こえるようになっていました。筆者はスマホで音楽を聴くときはワイヤレスイヤホンを使うことが多いのですが、Xperia 10 VIIIはスピーカー出力でも迫力のあるサウンドを楽しめること請け合い。前方に響くので、映像コンテンツの視聴にも適しているでしょう。
■新機能「Point & Payメニュー」をチェック!
新たに追加された「Point & Payメニュー」は、電源ボタンをカチカチと2回押すと、事前に設定したアプリが表示され、素早く決済やポイント認証ができる趣向。
操作手順を試しただけですが、これを必要と思うか否かは人によって分かれそうです。よく使う決済アプリをホーム画面に設定し、素早く起動できるのであれば、使う必要はないはず。ですが、インストールしているアプリが多く、会員証やポイントのアプリの提示を求められたときに、あたふたすることが多いのなら、重宝するかもしれません。
なお、「Point & Payメニュー」という名称ですが、どんなアプリでも登録できます。なので、ただ単に、よく使うアプリを素早く起動するために使うこともできます。
■パフォーマンス&電池持ちは前モデルと同等
プロセッサーは前モデルと同じSnapdragon 6 Gen 3。RAMが8GB、ROM(ストレージ)が128GBという構成にも変更はありません。つまり、基本性能は1年前に発売したモデルと同じ。前モデルから機種変更するメリットはなさそうです。
せめてもの進化として、新たに対応させたのが仮想RAM。ストレージの空き容量は余裕がある場合に、最大6GBの仮想RAMを追加できます。あくまでも仮想RAMなので、物理的なRAMと同じようには使えません。ソニーによると、より多くのアプリを同時に起動でき、マルチタスク作業がしやすくなることを確認できているそうです。
バッテリーは前モデルと同じ5000mAhで、1日は余裕で持ちました。充電時のバッテリーへの負荷を減らす「いたわり充電」という機能があり、4年間の継続使用を見込めることも変わっていません。
■カメラの撮影画質はナチュラル
背面カメラは超広角(約1300万画素/F2.4)+広角(約5000万画素/F1.9)の2眼。望遠カメラは搭載していませんが、広角カメラのセンサーの中央で捉えた画像を切り出す形で、光学2倍ズーム相当の画質でも撮影可能。デジタルズームは最大6倍。前面カメラは約800万画素/F2.0。これらのスペックも前モデルから変わっていません。
スマホのカメラは、実際に見えるよりも鮮やかな色で写ることが多いのですが、Xperia 10 VIIIは本来の色に近いナチュラルな色調で写る印象。映える写真を撮りたい人は物足りなく感じるかもしれません。
しかし、ユーザーの好きな色味で撮影できる「ルック」という機能を搭載。9種類のルックから選択でき、動画撮影にも有効。画像に効果を加えるフィルターではなく、色温度や明度、彩度などの細かい設定で、趣が変わる仕組み。好みのルックが見つかったら、常にそれに設定して撮影してもいいでしょう。
■Xperia 10 VIIIを買うべき人は? 安く買うには?
Xperia 10 VIIIの魅力は、コンパクトなサイズと普段使いに十分な機能を備えていること。現在、ミッドレンジのスマホを使っていて、大きさや重さが気になっている人は検討してみるといいでしょう。
すでにXperiaを使っている場合、Xperia 10 VIIからは進化が乏しいので、乗り換えは禁物。その前のXperia 10 VIから乗り換えた場合は、基本性能が向上し、カメラの性能も若干高くなるので検討の価値あり。3年前に発売されたXperia 10 V以前の機種からの乗り換えであれば、より満足度は高いでしょう。
Xperiaは2023年にXperia 5 Vを発売して以来、Xperia 5シリーズの後継機をリリースしていません。Xperia 5シリーズもコンパクトなので、そこからXperia 10 VIIIへの乗り換えを検討する人もいるでしょう。しかし、Xperia 5シリーズはハイエンドなので、パフォーマンスの安定性やカメラの性能はXperia 10シリーズとは大きな差があります。Xperia 5 VからXperia 10 VIIIに乗り換えると、物足りなく感じる恐れはありそう。ですが、筆者の感覚では、現在のミッドレンジは4〜5年前のハイエンドに近い性能を備えています。Xperia 5 IV以前の機種からの乗り換えであれば、検討する価値はあるかなぁと思ったり、思わなかったり…。
なお、Xperia 10 VIIIは通信キャリアも取り扱っています。各キャリアでの一括価格は下記の通り。
ドコモ:10万6040円
au:9万8800円
ソフトバンク:10万4400円
各社では分割払いで購入し、2年使ったあとに端末を返却することで、分割残金の支払いが免除され、実質的な負担金を軽減できるプログラムを利用できます。例えば、auで他社から乗り換えて購入し、「スマホトクするプログラム+」を利用した場合の実質負担は2万2047円(特典利用料を含む)、ソフトバンクで他社から乗り換えて購入し、「新トクするサポート+」を利用した場合の実質負担は2万2024円(特典利用料を含む)。購入コストを抑えたい人は、それらのプログラムの利用も検討するといいでしょう。
<取材・文/村元正剛(ゴーズ)>
村元正剛|iモードが始まった1999年からモバイル業界を取材し、さまざまな雑誌やWebメディアに記事を寄稿。2005年に編集プロダクション「ゴーズ」を設立。スマホ関連の書籍・ムックの編集にも携わっている。
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