飛行機に乗り込み、いざ出発。滑走路に向かう時間って、窓の外を何気なく見るもの。馴染みのロゴに話題の特別塗装、さまざまデザインが描かれた各エアラインの機体が並ぶ中で、「ん? あの真っ白な機体は何?」と思ったこと、きっとあるはず。
オールホワイトの外観は、駐機しているだけでも目立ち度抜群。なぜならば、飛行機の一生の中でも、白い状態は非常に特別な時だから。例えば、リースしていた機体の返却や他社への売却に退役、そして旅客機→貨物機に移行した直後などが挙げられます。
これに加えて新ブランドへの移行期やデザイン変更などの際にも真っ白な姿に。要は次のステップへと進むときなんです。だからこそ、我々が搭乗できることは、ほぼありません。
その真っ白ボディの機体が10月末に成田国際空港に降り立ち、話題になったのをご存知でしょうか。しかも旅客用として。
それこそがジェットスター・ジャパンのJA29LR。2027年7月に行うブランド移行の準備の一環として、機体全体を白塗装を施した新造機エアバス A321LR(JA29LR)なんです。
11月6日、成田ー新千歳のGK105便から運用がスタート、当面の間、全面白塗装の状態で国内線および国際線の高需要路線に導入されます。同社としても初の試み。そして我々利用者がホワイト塗装機に搭乗できる一大チャンスというわけです。
ジェットスター・ジャパンですが、新ブランドへの移行が発表されています。そのため、ロゴや新たな機体デザインが発表される将来の再塗装なども考慮し、ベースカラーとして白を採用したという背景もありますが、根本的な部分でも白塗装のメリットは盛りだくさん。
メリットとして挙げられるのはいくつかあります。
まず、色を塗り重ねず白に統一することで機体の重さを軽減=使用燃料を抑えて運航できること。また上空での太陽光による機体温度の上昇や劣化も軽減できます。
ほかにも、地上での整備でオイル漏れなどの発見しやすく、タッチアップ(部分補修塗装)時に色合わせが不要でできるなど整備時間の短縮につながります。よくよく考えてみると、ロゴやカラーは入っているものの、その多くが白ベースの機体が多いですよね。それらも、ビジュアルだけでなくメリットがあるからというわけなんですね。
加えて整備さんによると、ちょっとした凹みも影になるため非常に見つけやすく、さらに地上整備時も客室内の温度を抑えることができ作業がしやすいんだそう。
ー白塗装のメリットー
・白に統一することで機体の重さを軽減
・使用燃料の節約につながる
・太陽光によるダメージを抑える
・不具合が見つけやすく整備がしやすい
■外観だけじゃない! アップデートした客室仕様で快適さが向上
今回の新造機は、機内設備の進化も魅力のひとつ。同型として4機目となる今回は、客室仕様を一部変更。利用者側のトピックスとしては、オーバーヘッドビン(頭上の荷物入れ)のサイズが広くなったこと。エアバスの最新客室仕様「Airspace」導入に合わせた“XL Bin”で、現行サイズに比べ約40%大型化。収納可能な手荷物個数が60%アップしています。
今まではスーツケースが横に3個程度だったのが、縦に4〜5個ほど入るように。「絶対に手荷物派」にはかなり朗報なのでは。国際線も飛ぶので、今までのように足元にぎゅうぎゅうに押し込むことも減りそうです。
さらに頭上の呼び出しボタンが横長で押しやすくなりました。しかも青く光り視認性が高いため、気づいてもらいやすいんです。
また、座席前のUSBポートはType-Aに加え、新たにType-Cをプラス。昨今のモバイルバッテリー問題を考慮した仕様で、2台同時接続が可能。これは、ガジェットを旅先に複数持参する人もありがたいのでは。
ー客室エリア進化部分ー
・手荷物収納エリアが拡大(XL Bin)
・USB Type-C搭載
・6種の機内照明で快適な旅をサポート
・バリアフリー対応トイレを導入
・フルギャレー化
■改良型のCFM社LEAP-1Aエンジンを搭載。整備士と乗客的視点、それぞれどんなメリットがある?
JA29LRには、改良型のCFM社Leap 1A-32エンジンを搭載。こちらも大きなポイントです。「いつもは乗るだけで、エンジンまで気にしていなかった」ならば、ぜひとも注目を。
同エンジンは、エアバス A320neo ファミリー(A321neoやA321LRなど)に搭載される高バイパスターボファンエンジン。燃料の消費率やCO2排出量削減、重量軽減などさまざまな改善がされたモデルになります。エンジン部分の耐久性向上パッケージを組み込んでおり、高温・高負荷部品の耐久性を強化。耐久性と信頼性をより高めた設計がを採用したものです。
整備視点で注目したいのは、初期装備としてLEAP-1A RBS(Reverse Bleed System)が装備されていること。こちらはエンジン停止後に燃料噴射ノズルを自動冷却し、内部のカーボン蓄積を抑制するシステム。最終便や便間が3時間以上空く場合の整備をスマート化することに加え、ノズルの寿命延長に貢献します。オレンジのダクトが目印ですよ。
また、Multi Functional Runway Light(MFRL)を初搭載しています。タキシング(地上移動)に離着陸、そしてランウェイ・ターンオフと4つのライト機能を一体化。LED化で消費電力の節約になりエンジンを必要以上に回す必要がなくなり燃料消費の改善にもつながるんだとか。
私たち利用者側からみると、最新型のエンジンはフライト中の騒音問題を軽減していたり、振動抑制にも関係するなど、想像以上にフライト中の快適性に寄与しています。最新型のエンジンは整備面に加え、キャビン内の快適性がグッと上がるということを意識すれば、エンジン近くの席に座った時に「おっ、これが噂の!」となると思います。
ー新造機搭載の技術的進化のポイントー
・改良型エンジンで、燃料の消費率やCO2排出量削減、重量軽減
・LEAP-1A RBSで整備の負担低減と効率化。機材や部品の寿命延長にも貢献
・Multi Functional Runway Lightを初搭載
・非常用発信機(ELT-DT)などで緊急時対策をさらに強化
なお、新たな機体デザインや新ロゴ発表は、2027年1月ごろを予定。新ブランド&ロゴ決定後に、順次新デザインに変更されるとのこと。こちらも期待して待ちましょう。
>> ジェットスター・ジャパン
<取材・文/相川真由美>
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