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新しい「OM SYSTEM PEN」を使って分かった、毎日持ち歩けるカメラの良さ

オリンパスのカメラ事業などを引き継ぎ、OMデジタルソリューションズが設立されたのは2020年のことです。

新たに「OM SYSTEM」というブランドを立ち上げ、これまでに「OM-1」「OM-3」「OM-5」と、オリンパス「OM-D」シリーズを継承するマイクロフォーサーズのミラーレス一眼カメラをリリースしてきましたが、オリンパスのカメラで忘れてはならないものは他にもあります。そう「PEN」です。

1959年に初代“ペン”が発売されてからもう70年近くが経つオリンパスを代表するカメラです。デジタルに変わっても発売され続けてきた“ペン”が、いよいよOM SYSTEMからも登場します(11月28日発売予定)。

小さくて、いかにもカメラ然としたボディー。気軽に持ち出して気軽に撮影できるという特徴は、初代以来連綿と受け継がれてきました。そんな“ペン”の最新モデル「OM SYSTEM PEN」(予想実勢価格:14万8500円前後/ボディーのみ、17万6000円前後/ダブルズームキット)のサンプル機を、フォトグラファーの田中利幸さんがテストシューティング。はたして最新のPENは、変わらず“ペン”らしいカメラだったのでしょうか。(全3回の1回目)

執筆・撮影 田中利幸(たなかとしゆき)|ファッション誌などでブツ撮りやポートレートを中心に活動するフォトグラファー。カメラ・ガジェット好きで自身で運営するブログ「Tanaka Blog」において、カメラやガジェットに関するちょっとマニアックなことを書いている。

 

【趣味カメラの世界 #42】

1959年に誕生した初代OLYMPUS PENから67年。オリンパスからカメラ事業を引き継いだOMデジタルソリューションズから、「OM SYSTEM」として初めてPENの名を冠したミラーレスカメラ「OM SYSTEM PEN」が登場しました。

歴代PENが受け継いできたのは、小さく軽いカメラで写真をもっと身近に楽しむ、という考え方。新しいPENも、その方向は変わっていません。実際にカメラを手に取り、まず感じたのは「小さい、軽い」ということ。これなら、特に撮影の予定がない日でも気軽に持ち出せそうです。

今回は、レンズキットとしても用意されている標準ズームの「M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 III」に加えて、コンパクトな単焦点レンズの「M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II」と「M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II」を使い、室内のポートレートや街のスナップを撮影しました。スペック表だけでは分からない、普段から持ち歩くカメラとしての使い心地を見ていきます。

 

■歴代PENの雰囲気を残した、小さく現代的なボディー

OM SYSTEM PENは、付属バッテリーとメモリーカードを含めて約393g。400gを切る軽さで、幅約125.8mm、高さ約74.5mmというサイズも、レンズ交換式カメラとしてはかなりコンパクトです。

デザインは、ボディー上部に出っ張りのないシンプルなスタイル。直線を基調とした外装には、歴代PENの面影があります。少しレトロなフィルムカメラを思わせるようなデザインとカメラ自体のコンパクトさが相まって、カメラらしい見た目ではあるものの大げさな存在感はなく、普段の服やバッグにも合わせやすそうです。

前面には、外観を崩さない程度の小さなグリップがあります。何もない平面よりは指を掛けやすく、ホールドにも多少は貢献してくれます。ただ男性の筆者の手には、ボディーの小ささとグリップの浅さのためか、長時間ずっと右手で握ったまま歩いていると、軽さの割に手が疲れました。持ち歩く際は、ストラップを付けて首や肩から下げるのがよさそうです。おしゃれなデザインのPENと合わせるストラップ選びも、このカメラの楽しみ方のひとつではないでしょうか。

 

■14-42mmとの組み合わせは、バッテリー込みで実測約521g

M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 IIIを装着し、バッテリーとメモリーカードを入れた状態で重量を量ると、約521gでした。

さらに17mm F1.8 IIと25mm F1.8 IIを加えた3本のレンズ一式でも、約802gとかなり軽量です。

マイクロフォーサーズの利点は、ボディーだけでなく、レンズを含めたシステム全体を小さくできることです。カメラ本体が軽くても、使いたいレンズが大きければ持ち出す機会は減ってしまいます。その点、PENと今回使用した3本なら、小さなバッグへまとめて入れられます。

14-42mmは35mm判換算で28-84mm相当をカバーする標準ズームです。広角側が極端に広いわけではありませんが、街並みから身の回りの物、少し離れた被写体まで、日常で使いたい範囲はしっかり押さえています。

レンズは沈胴式なので収納時はかなりコンパクトな点も、PENにピッタリです。レンズマウントは樹脂製ですが、レンズ自体は防塵防滴構造で、質量は125g。樹脂マウントも、この軽さを実現するための割り切りと考えれば納得できます。

▲OM SYSTEM PEN+ M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 III、1/640、F5.6、ISO125、84mm(35mm判換算)

コンパクトさを重視したズームレンズですが、写りも侮れません。小型ながら色の出方や抜けも良く、近接撮影にも対応しています。防塵防滴仕様で、いつでも持ち出せる軽さと画角の幅を考えると、PENのキットレンズとしてよくまとまっています。

 

■小さくても、ファインダーと操作系は省かれていない

小型カメラには背面モニターだけで撮影するモデルもありますが、PENは約236万ドットの有機ELファインダーを搭載しています。覗いたときの表示も十分にきれいで、明るい屋外でも被写体を確認しやすいと感じました。

何より、ファインダーを覗いて撮る行為そのものが楽しい。周囲の情報がいったん遮られ、画面の中だけを見ることで、普段なら通り過ぎる光や色にも目が向きます。いつもの街並みが少しだけ特別に見えることも、スマートフォンではなくカメラを持ち歩く理由のひとつだと感じました。

上面にはモードダイヤルと前後のコントロールダイヤルがあり、背面にも主要なボタンが揃っています。小さなボディーですが、カメラを自分の意図通りに操って撮影を楽しむことができます。

個人的に気になったのは、AF枠を直接動かすジョイスティックがないことと、背面のボタンの小ささ。コンパクトなカメラなので割り切りは必要ですが、筆者の場合は背面のボタン類がやや小さく、誤操作が多くなりがちでした。コンパクトさとトレードオフなことは承知のうえですが、頻繁にボタンを操作しながら撮影するようなスタイルの場合は、実機で操作感を確認してみると安心かもしれません。

バッテリー持ちは良好でした。今回は約3時間でおよそ500回シャッターを切りましたが、撮影後もバッテリー表示は半分程度残っていました。連写や画像確認の頻度などによって変わりますが、普段の外出ならバッテリー1本でも十分に使えそうです。

 

■人物認識AFは、日常の撮影なら十分に頼れる

撮像素子は有効約2037万画素のLive MOSセンサー。121点オールクロス像面位相差AFと、人物や犬・猫を認識するAI被写体認識AFを搭載しています。

▲OM SYSTEM PEN+ M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II、1/400、F2.0、ISO64、34mm(35mm判換算)

今回は人物撮影を中心に使いましたが、顔や瞳をかなりしっかりと認識していました。動きながらラフに撮影しても、大きくピントが外れることもほとんどありませんでした。現代の最高性能機と比べてしまうと、どんな状況でもフォーカスを完全にカメラ任せにできるというほどではありませんが、日常の撮影では特に不満に感じることはない性能です。

最大5.5段の補正効果を持つボディー内5軸手ぶれ補正も備えています。暗い室内や夕方でも、手ぶれを抑えながら感度を下げやすいので、日常的に様々なシーンで使いやすいですね。

▲OM SYSTEM PEN+ M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II、1/200、F2.5、ISO1600、50mm(35mm判換算)

筆者はマイクロフォーサーズ初体験だったのですが、画質に関しては想像していたよりもかなり良く感じました。最新のフルサイズ機と比べると、高感度ではノイズが出やすく、ISO800くらいからやや気になるシーンはありました。ただ、SNSに掲載したりWEB上で鑑賞する分には、高ISOでも十分に使えると思います。

 

■Film Soft Toneは、日常の記録と相性がいい

PENには、写真の色や階調を変えられるカラープロファイルとモノクロプロファイルが用意されています。

カラープロファイルは「Film Rich Color」「Film Vivid」「Film Soft Tone」「Standard(Natural)」の4種類。プリセットを選ぶだけでなく、色味やトーンカーブなどを好みに合わせて調整し、設定を保存できます。

▲OM SYSTEM PEN+ M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 III、1/640、F4.5、ISO125、50mm(35mm判換算)、Film Soft Tone

中でも気に入ったのがFilm Soft Toneです。ややコントラストを抑えた柔らかな仕上がりで、派手に見せるというより、そのときの光や空気を穏やかに残してくれます。日常の記憶や記録を撮るというPENの性格にもよく合っていると感じました。

モノクロプロファイルも4種類あり、カラーフィルター効果や粒状感などを調整できます。撮影後にRAW現像で仕上げる方法もありますが、ファインダーで完成に近い色を見ながら撮るのは、また別の面白さがあります。

▲OM SYSTEM PEN+ M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II、1/200、F2.5、ISO640、50mm(35mm判換算)、ヴィンテージII

一方、アートフィルターは効果がかなり強いものも多いので、個人的には普段使いはやや難しそうかなという印象です。PENで普段から使うなら、細かく自分の好みへ寄せられるカラープロファイルの方が自然に馴染みそうです。

 

■撮る予定がない日にも持ち出せるカメラ

OM SYSTEM PENは、画質やAF性能で大型のフルサイズ機とスペック競争をするようなカメラではありません。その代わり、ボディーとレンズを一緒に持ち歩ける小ささに、ファインダー、操作系、手ぶれ補正、防滴性能をまとめています。

高性能なカメラを持っていても、持ち出さなければ写真は撮れません。特に撮影する予定がない日でも、常にバッグへ入れておき、撮りたいなと思ったときに取り出せる。その意味で、PENのコンパクトさは単なるスペックではなく、写真を撮る機会そのものを増やすための性能だと思いました。

次回は17mm F1.8 IIと25mm F1.8 IIを使ってのポートレートを撮影です。作例を見ながら、大きくぼかすことだけではないマイクロフォーサーズで日常を撮る良さを考えてみます。

>> OMデジタルソリューションズ「OM SYSTEM PEN」

>> 趣味カメラの世界

<取材・文・写真/田中利幸 モデル/梅田桃代(@nyanmyun)>

 

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