
中国の大手ディスプレイサプライヤーであるTCL CSOT(TCL China Star Optoelectronics Technology:TCL華星光電技術有限公司)が、インクジェット印刷方式による第8.6世代有機EL(OLED)ディスプレイの量産開始に向け、設備投資を進めていると海外メディアが報じています。
同社のインクジェット印刷方式OLEDには、JOLEDとの共同開発で蓄積した技術やノウハウも活用されていると考えられます。
また、TCLグループのTCL Electronicsはソニーとテレビ事業などを手がける合弁会社の設立を決めており、過半数の株式を保有する予定です。
第8.6世代OLEDをインクジェット方式で量産計画
TCL CSOTが整備を進める第8.6世代インクジェット印刷方式OLED製造ライン「t8プロジェクト」では、JOLEDとの共同開発を通じて蓄積された技術やノウハウが活用されている可能性があります。
TCL CSOTは2020年にJOLEDと資本業務提携を結び、大型OLEDの共同開発を進めてきました。
OLEDの製造で主流となっている、精密金属マスク(FMM:Fine Metal Mask)を用いた真空蒸着方式は、スマートフォンなどの中小型ディスプレイに適しているとされています。
しかし、タブレットやノートパソコン向けなど、製造用基板が大型化するほどFMMの自重によるたわみが生じやすくなり、製造精度や材料利用効率に影響すると指摘されてきました。
JOLEDが開発したインクジェット印刷方式
これに対し、有機EL材料を液状にして高精度に塗布する「インクジェット印刷方式」は、大型ディスプレイ製造時のコスト削減や材料利用効率の向上が期待されてきました。
JOLEDはこの印刷方式を世界に先駆けて実用化したものの、本格的な量産投資の負担やOLEDディスプレイパネルの価格下落などに対応できず、経営破綻に至りました。
TCL CSOTはJOLEDとの資本業務提携を通じて、インクジェット印刷方式の技術開発や大型OLEDの共同開発を進めてきました。
こうした経緯から、JOLEDとの共同開発で得られたノウハウも、t8プロジェクトに生かされていると考えられます。
TCLグループはソニーのテレビ事業にも出資
TCLグループのTCL Electronicsは、ソニーのホームエンタテインメント事業を承継する合弁会社の設立について、2026年3月31日に確定契約を締結しました。
新会社の出資比率はTCLが51%、ソニーが49%で、2027年4月の事業開始を予定しています。この合弁会社では、ソニーのテレビやホームオーディオ製品の開発、製造、販売などを手がける計画です。
TCLグループにとって、テレビ事業の強化はディスプレイ技術の展開先を広げることにもつながる可能性があります。
ただし、今回の合弁会社がTCL CSOTのインクジェット印刷方式OLEDを採用するかどうかは明らかになっていません。
Apple製品向けOLED受注を目指している?
TCL CSOTは以前から、Apple製品向けOLEDの受注を目指していると報じられています。
今後、インクジェット印刷方式で量産する第8.6世代OLEDが、期待通りの製造歩留まりや表示品質、製造コスト面での競争力を備えた場合、将来的にはSamsung Displayの対抗馬となることもあり得そうです。
Photo: Apple Cycle(@theapplecycle)/X
- Original:https://iphone-mania.jp/apple-608479/
- Source:iPhone Mania
- Author:FT729