3キャリアの5G商用サービスを比較! 各社の特徴と今後の展開は……

3月25日にドコモが、26日にKDDIが、27日にソフトバンクが、それぞれ5Gの商用サービスを開始した。

高速・大容量で低遅延を売りにする5Gだが、3社とも、その特徴を踏まえた端末や料金プランを用意。当初のエリアは非常に限定的だが、2020年3月末までにドコモやKDDIは基地局を2万まで増加させる方針で、サービスは徐々に広がっていくことになる。

データ容量の無制限を打ち出したドコモ

トップバッターで5Gを導入したドコモは、5Gに対応したスマホを6機種用意。高速通信を生かせる端末というコンセプトに基づき、5G対応のスマートフォンは全機種ハイエンドモデルになった。

ドコモは6月以降、ミリ波と呼ばれる28GHz帯の周波数を使ったサービスも展開する予定。3月にスタートした5Gより、エリアがピンポイントになる一方で、速度が向上する。これに対応したサムスン電子の「Galaxy S20+ 5G」や富士通の「arrows 5G」も5月以降に発売される予定だ。

ミリ波に対応したスマホも2機種用意。写真は富士通の「arrows 5G」

大容量という5Gの特徴を踏まえ、料金プランでは、データ通信の使い放題を打ち出した。

4Gの大容量プランである「ギガホ」は、月30GBまでの制限があったが、5G用の「5Gギガホ」ではこれを100GBに拡大。さらに終了期間を定めないキャンペーンで、100GBを無制限にした。テザリングで他の機器を接続する際にも、容量の制限はない。一方で、各種割引適用後の料金は、500円アップしている。

キャンペーンという形だが、データ容量の無制限を打ち出した

コストパフォーマンスに強みを持つKDDI

端末のコストパフォーマンスを強く意識したラインナップを組んだのが、KDDIだ。

同社はドコモと同様、「Galaxy S20 5G」シリーズ2機種や、ソニーモバイルの「Xperia 1 II」を展開していく一方で、OPPO、Xiaomi、ZTEといった中国メーカーのスマホも用意する。ハイエンドモデルの「Find X2 Pro」を開発したOPPOはau初、エントリーモデルの「Mi 10 Lite 5G」を開発したXiaomiは大手通信キャリア初のメーカーとなり、いずれも同クラスの国内メーカーや韓国メーカーの端末より、価格を抑えた形で発売される。

KDDIの高橋誠社長によると、5Gのサービスで先行する中国では、端末のボリュームが出るため、コストを下げやすい。このスケールメリットを生かすため、あえて中国メーカーの端末を拡充したという。昨年10月の電気通信事業法改正で、端末の割引に制約がかかる中、本体価格の安い端末を調達することで、5Gの普及に弾みをつける方針だ。

auは、国内キャリア初展開となるXiaomiの「Mi 10 Lite 5G」をラインナップ加えた

昨年7月には4G用の容量無制限プランを展開していたKDDIだが、5Gでもこれを踏襲し、「データMAX 5G」を打ち出した。

料金は1000円高くなるが、25カ月間、キャンペーンでこれが帳消しになる格好だ。“auならでは”なのが、料金とコンテンツの利用料が一体になった「バンドルプラン」を用意しているところ。4Gのときに導入した「データMAX 5G Netflixパック」に加え、Netflix、Apple Music、YouTube PremiumにKDDIとテレビ朝日が共同で運営する動画サービスの「TELASA」をパックにした、「データMAX 5G ALLSTARパック」も選択できるようになる。

無制限のデータ通信に、4つのサービスをセットにした「データMAX 5G ALLSTARパック」も導入する

「5G無料キャンペーン」を実施するソフトバンク

対するソフトバンクは、OPPOの「Reno3 5G」を目玉として用意する。価格は未定だが、ソフトバンクの榛葉淳副社長によると、「エントリーモデルという位置づけで、驚くような低価格で5Gを楽しめる」端末になるという。

ソフトバンクはほかにも、シャープの「AQUOS R5G」やLGの「V60 ThinQ 5G」、ZTEの「Axon 10 Pro 5G」を取り扱う。一方で、ドコモやauとは異なり、ミリ波の展開は未定。ミリ波の電波に対応するスマートフォンも、用意されていない。

エントリーモデルと位置づけられたOPPOの「Reno3 5G」

料金プランは、4G用に導入した「メリハリプラン」と「ミニフィットプラン」を、そのまま5Gで利用できるようにした。5Gのオプション料として1000円の料金がかかるが、エリアが広がるまでの2年間は、キャンペーンで無料になる。

料金は4Gと同じ。5G基本料が2年間無料になる

楽天モバイルと3キャリアの今後

4月8日に本格サービスを開始する予定の楽天モバイルも、6月には5Gを開始する予定だ。ただし当初の5Gは、NSA(ノンスタンドアローン)と呼ばれる方式で、通信を制御するために4Gのネットワークが必要になる。楽天モバイルは4Gの基地局もまだまだ少ないため、本格的に5Gのサービスを立ち上げるには、まだ時間がかかるかもしれない。

鳴り物入りでスタートした5Gだが、当初のエリアは3社とも限定的だ。エリアというより、スポットといったほうがいいかもしれない。現状、5G用として割り当てられている周波数は、3.5GHz、4.7GHz帯、28GHzと非常に高く、1つの基地局でカバーできる範囲が狭い。また、3.5GHz帯は衛星との干渉があり、基地局を設置する際には交渉が必要になり、展開には時間がかかる。

ドコモのエリア展開計画。2年後には基地局が2万局に拡大する

ただし、電波の割り当てを行う総務省では、4Gの周波数を5Gに転用できるよう、準備を進めている。この認可が下りれば、基地局によってはソフトウェアアップデートですぐに5Gの電波を出せるようになる。

これをフル活用しようとしているのがソフトバンク。展開の速度も上げられるため、2年以内に人口カバー率90%を実現できるという。対するドコモは、周波数の転用だと5Gの特徴である速度が出ないとして、地道に基地局を増やす方針。KDDIはその中間だが、エリア展開では3社の方針が大きく分かれたといえそうだ。

(文・石野純也)


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