軽トラが欲しい時にチェックすべき5つのポイント&オススメモデル4選

一部のマニアを除き、多くのユーザーは特に車種にこだわらず、「昔から付き合いがあるから」「安い中古車があったから」という理由で軽トラックを選んでいるかと思います。

しかし各社の黎明期から存在した軽トラは、それぞれさまざまなアイデアを盛り込んで開発されています。そんな、メーカーによる違いが現れるポイントを5つピックアップしました。

そして、軽トラが欲しい人に、これを買っておけば間違いない!というオススメ4モデルを紹介します。軽トラを選ぶ際の参考にしてください。

 

1. 駆動方式

軽トラをはじめ、たくさんの荷物を積むクルマは後輪駆動になります。これは荷物を積んで荷台が重くなった時、駆動輪にグッとトラクションをかけられるから。前輪駆動だと後輪が沈み込んだ時に駆動輪である前輪が浮き上がってしまうのです。

現在新車で買える軽トラの駆動方式はすべてFR(およびFRベースの4WD)。かつてはエンジンが車体の中央付近に配置されたMRや、後輪車軸後方に配置されたRRも存在しました。

 

2. 荷台

トラックの荷台には、荷物の落下防止の役目を果たすアオリがついています。現在の軽トラはアオリが後方と左右に開く三方開になりますが、中古車では後方のみ開く一方開も存在します。

 

3. キャビン

▲スズキ「スーパーキャリイ」

乗員が乗るスペースをキャビンといいます。ボディサイズに制限がある軽トラは2人乗りでキャビンスペースは必要最小限しか取られていません。シートをリクライニングするのは難しかったりするのですが、現在はキャビンを少し広くして、シート後方に荷物がおけてシートもリクライニングできる軽トラ(スズキ「スーパーキャリイ」、ダイハツ「ハイゼットトラックジャンボ」)も登場しています。

 

4. 鳥居

キャビンのリアガラスにある装備で、ガラスに荷物が当たって破損するのを防いだり、長尺物を摘む際の土台になったりする部分です。メーカーにより、ロードレスト、ガードフレーム、アングルポストなどと呼ばれます。

どれも同じような形に見えますが、中央のポールの太さや位置が違うため、後方視界に差が出たりします。また、グレードによっては鳥居がついていなかったりするので、車の使い方や運転姿勢を考えながら、店頭で使いやすさを確認したい部分です。

 

5. 農業仕様

舗装路だけでなく田んぼのあぜ道、畑、農園など未舗装路を走ることを想定した農業仕様が設定されているのも軽トラの特徴。農業仕様は4WD+5MTになり、強化スプリングが使われるグレードもあります。さらに荷台を中心に農作業に便利な装備が備わります。

他にも、荷台などに乗るステップやロップをかけるフックの数などにメーカーの工夫が現れます。

 

■使える軽トラを選びたいならこの4モデルに注目!

現在、新車で手に入る軽トラから、中古車でも探す価値のある絶版モデルまで、4モデルをピックアップ!

 

▼スズキ キャリイ

2013年8月に登場した現行型は、1961年に登場したスズライトキャリイから数えて通算11代目。形は先代と同じように見えますが、車体レイアウトを全面刷新して荷台のフロア長はそのままにキャビンスペースが拡大されています。

トランスミッションは5MT、3ATに加え、2ペダルMTの5AGSが用意されています。駆動方式はFRで、4WDも設定されています。ボディカラーは全5色。また、キャビンスペースを広くしたスーパーキャリイも設定されています。

2019年9月には軽トラで初となる夜間の歩行者検知に対応したデュアルカメラブレーキサポートを搭載。誤発進抑制機能、後方後発進抑制機能、車線逸脱警報機能、ふらつき警報機能、先行車発進お知らせ機能、ハイビームアシストと、安全装備が充実しました。

 

▼ダイハツ ハイゼットトラック

2014年9月にフルモデルチェンジしたハイゼットトラックは、1960年1月デビューの初代から数えて通算10代目。

本モデルが画期的だったのは、多彩なボディカラーを用意したことでしょう。軽トラといえば白が当たり前でしたが、現行型ハイゼットトラックは、オレンジメタリックやカーキメタリック、ローズマイカメタリック、ミントメタリックなど、全8色を用意。明るい色やミリタリーっぽい色も設定したことで、街を明るくしました。もちろん、キャビンを広げたジャンボも用意されています。

さらにスーパーUV&IRカットガラスやバニティミラーなどのビューティーパックとカラーパックをセットにした農業女子パックを設定するなど、これまでにないアプローチをしています。他にも、外装にメッキ加飾を施したスタイリッシュパック、キャビンの快適性を高めたキャビンパックなど、ユーザーの使い方に合わせた多彩なセットオプションが用意されています。

クルマの使い勝手も良好。キャビンには収納が多数あり、荷台にはフックを25個も用意。ステップも穴を大きくすることで長靴でも荷台に乗りやすくなっています。

トランスミッションは4ATと5MT。駆動方式はFRと4WDが用意されます。

2018年5月には、衝突回避支援システムとなるスマートアシストIIIt(スマアシIIIt)を搭載。ATはもちろん、MTにも搭載されます。

 

▼スバル サンバートラック

1961年にデビューし、2012年までスバルが製造したサンバートラック。最大の特徴はエンジンを後輪車軸の後ろに配置するRRの駆動方式を採用していること。しかもサスペンションは四輪独立懸架式に。軽トラではありえないこのシステムから“農道のポルシェ”と呼ばれ親しまれてきました。軽自動車では3気筒エンジンが一般的ですが、サンバーは5代目から4気筒エンジンを搭載していたのも特徴の1つです。

またサンバーは、運送業の赤帽が採用していたことでも有名。タフな使われ方を想定した赤帽サンバーには、専用のエンジン、ブレーキ、バンパーなどが採用された他、キャビン頭上に収納がついたり、ルームランプを明るいものにするなど、独自の装備が備わります。これらの中から市販車両に装備が転用されたものがあるほど、サンバーと赤帽は切っても切れない関係でした。

スバルが製造を止めることがリリースされたときは、生産継続の署名運動が行われたほど人気のあるモデルでした。

 

■ホンダ アクティトラック

ホンダは1963年に初の4輪モデル、T360を発表、1967年には後継モデルのTN360を発表しました。アクティトラックはその流れを組むモデルで、1977年に登場。現行型は通算4代目となります。

アクティトラックの特徴はエンジンがミッドシップレイアウトになっていること。これは空荷の時と多くの荷物を積んだ時、どちらもバランスよく4輪に荷重するためだといいます。MRレイアウトのため、荷台中央にはエンジンルームにアクセスするためのフードがついています。

農業仕様のATTACKは、通常の5MTに加え、ウルトラローとウルトラリバースというギアを備え、さらにデフロックもつけて、悪路走破性やスタック時の脱出性を高めました。

残念ながらアクティトラックは2021年6月に生産が終了する予定となっています。新車が欲しい人にとって、残された時間は長くありませんよ!

 

(文/高橋 満<ブリッジマン>)


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