釣り好き、キャンプ好きの間で評判の「スコーロン」という素材があります。
スコーロンとは、帝人フロンティアとアース製薬が共同開発した、繊維に虫を寄せ付けない特殊加工を施した素材のことで、生地表面にとまった虫は、触角と足先の感覚器で生地に付着させた成分を感知して逃げ出すそう。つまり、近くまでは寄ってくるけど、スコーロンに包まれていれば嫌な虫が逃げていく、そんな防虫素材なんです。
過去にも防虫機能素材はありましたが、持続性があまりなく実用的ではありませんでした。それを、洗濯しても効果が続くようにした点が、スコーロンが画期的な素材と言われるゆえん。
藪漕ぎ上等、虫の多い場所こそ極上フィールドである釣り人のためのベストから誕生したフォックスファイヤーですから、この防虫素材「スコーロン」がデビューした直後、10年以上前から採用しています。
帽子からシャツ、パンツ、グローブ、アームカバー、レッグカバーなどなど、全身をカバーできるアイテムがそろっていますが、発売当初から「海外の安宿で虫に悩まされずにすみました」と釣り以外での感謝の声も届いていたそう。
そんなわけなので、2017年に登場したシーツはまさに待望のギア!
最初のシーツは「SCトラベルシーツ」といいマミー型でしたが、2020年からは封筒型の「SCボックスシーツ」にリニューアル。重量こそ70g増えましたが、封筒型なので足先までゆったりです。
手足を伸ばして眠りたいバックパッカーはもちろん、「キャンプしたいけれど虫が嫌」「道具を持っていないのでレンタルしよう。でも衛生面が気になる」というキャンプビギナーも安心の仕様になりました。
■小さく畳んで、でっかく使える
キャンプや旅で使いたい「SCボックスシーツ」だからこそ、かさばったり重かったりするとやはり手を出しづらく感じます。手軽に持ち運べるサイズなんでしょうか。
収納時はφ10×15cm程度で、サーマレスト「ネオエアーXライト」(φ10×23cm)よりもコンパクト。
ですが、広げると215×80cm! マミー型のエアーマットでは全体にはみ出てしまうので、古いモンベルのクローズドセルマット(61×180cm)に載せてみましたが、それでもはみ出ています。かなりゆったりしたつくり。
ちなみに重量は330g。ファスナーがないためか、一般的な寝袋用のシーツ、ライナーに比べても軽量です。
ちなみに、ショートサイズは195×80cm(適応身長170cm)、300g。小柄な人はこちらを選んでもいいですね。
封筒型寝袋は幅75〜85cmのものが多く、ほぼぴったりサイズ。シングルサイズの寝袋ならどれにでも使えますね。
頭の部分が袋状になっていて、ここに枕を入れられます。寝ているうちに枕がどこかにいってしまうことはないし、枕がなくてもここにジャケットを詰めるだけで枕代わりになります。
夏のキャンプなら「SCボックスシーツ」1枚かぶるだけで十分。マットから落ちないように、シーツの中にマットを入れてみましたが、マットは吸汗性がないので蒸れてしまって大変でした。
■しなやかで肌あたりもいい
実際に「SCボックスシーツ」に潜り込んでみました。夜の気温が20℃程度だったので、寝袋を使わず、これ1枚でちょうどいい感じです。
生地は光を当てると透けて見えるほど。細かなメッシュ構造で通気性がよく、蒸れにくくなっています。
ただし、このように薄手なので残念ながらアブやハチのような大型の虫の針は通してしまいます。防虫効果は、通常の虫除けスプレーの効果がある小型の虫に限られるそうです。
また、布製品はどんなに素材がよくても縫製が雑では目も当てられませんが、ひっくり返してみたところ裁断面や縫い目のほつれはもちろんなし。しなやかな縫い糸のためごわつきも感じません。肌にあたるシーツですからこうでなくちゃ!
気になる防虫効果ですが、時おり蚊が飛んでいる“あの音”が聞こえるものの、攻撃を受けません。ただ、少しでも首や顔が出るとそこにめがけてやってくるので油断は禁物。
タープ泊で重宝する「SCボックスシーツ」ですが、頭までシーツにもぐりこむのが苦手な人は、虫除けのヘッドネットと併用するほうがいいでしょう。
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スプレータイプの防虫スプレーを狭いテント内で使うのは抵抗があるし、肌が弱い人は虫除けスプレーの成分にも気を遣わなくてはなりません。
その点、この「SCボックスシーツ」はたとえ舐めてしまっても人体への影響はなく、20回洗濯しても防虫効果は80%以上を維持します。それに、さすがにその効果を試すことはできませんでしたが、マダニや南京虫にも忌避効果があるとのこと。頼もしい!
虫が多い場所ほど自然豊かな極上フィールドですが、一歩、ヒトが立ち入ると途端に嫌な虫が「ごちそう、ごちそう♡」と近づいてきます。そんなときに、この「SCボックスシーツ」はいい仕事をしてくれますよ。
>> フォックスファイヤー
取材・文/大森弘恵
大森弘恵|フリーランスのライター、編集者。記事のテーマはアウトドア、旅行、ときどき料理。Twitter
- Original:https://www.goodspress.jp/reports/306354/
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