平成30年の西日本豪雨や令和元年の台風19号、現在予断を許さない状況の九州や岐阜、長野など広い範囲の豪雨など、日本各地で多発する水害。各自治体では、住民の安全な避難などを目的として、河川の氾濫などを察知する危機管理型水位計や防災カメラの設置を進めている。
そんななか、設立40周年を迎えるセンサメーカー亀岡電子株式会社は、浸水を検知すると、いち早くLINEで通知するセルラー通信式浸水検知センサ「KAMEKER2」を開発。京都府福知山市にて実証実験を実施中だ。
あらゆる場所に設置できる安価なツール
「KAMEKER2」の大きな特徴は、LTE通信が届く場所であればどこにでも設置できるということ。
従来の水位計などは、主要な河川など限られた場所に設置され河川の水位測定が主な役目であった。しかし「KAMEKER2」は、内水氾濫時に早期に浸水する低い土地や住宅近くの水路脇にも設置可能で、住民のより身近な浸水情報を提供できるのだ。
また、住民がいち早く危険を察知できるように、LINEでの通知機能を備えている。センサが異常を検知した時点でLINEを通じて浸水検知情報を発信するという仕組み。これにより住民は自ら浸水情報を収集せずとも、迫りくる危機を知り得るのだ。
さらに、本体価格1基90,000円(予定)という低価格もポイントのひとつ。従来の機器は設置工事費を含めると1基数百万円になるものが多かったなかでのこの価格は驚きだろう。ちなみに、乾電池で駆動し、セルラー通信式のため設置にかかる電源引込工事やネット配線工事などが不要という手軽さも魅力だ。
LINE通知とアラートマップ
「KAMEKER2」を利用するには、ユーザーがあらかじめ各所に設置されたセンサを登録する必要がある。センサの登録は、マップ上から任意のセンサを選ぶだけという簡単な操作のため、住民は利用しやすいだろう。
登録したセンサが浸水を検知したときにLINEで浸水検知情報が届く。そのLINE通知に添付されているURLから「浸水アラートマップ」を開くと、浸水している地点が赤くマッピングされひと目でわかるようになっている。
同社は2019年7月より、京都府福知山市内の8ヶ所に「KAMEKER2」の試作機を設置し実証実験を行ってきた。そして2020年6月から新たに7ヶ所を追加し、合計15基のセンサを設置して2020年度の実証実験を開始している。
実験を通じて、製品の信頼性を確認したうえで2021年春に発売を予定。2020年度に自治体や企業などのモニター利用を受け付けるとのこと。
なお、同センサは従来の機器と競合するものではなく、身近な場所の浸水をLINEで通知することでより迅速な初動対応に繋げるという補完的な役割での使用を想定しているという。
低価格で設置が簡単という特徴から、多くの地点への設置も可能となりそうな同センサ。ユーザーが注意したい地点の浸水情報は、迅速な避難行動などの判断材料となりそうだ。
- Original:https://techable.jp/archives/131010
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:樋口
Amazonベストセラー
Now loading...