教育用ゲームを作って共有できる人気スタートアップのKahoot!は、ソフトバンクから2億1500万ドル(約223億8000万円)を調達(未訳記事)してオンライン学習に対する関心を一気に集めた。その同社が、今度は対象とする教科を広げるために買収を実施する。Kahoot!は、絵と単語をベースとした短いゲームで言語を学ぶスタートアップのDropsを選んだ。Kahoot!の機能をDropsのアプリに統合し、Dropsのコンテンツの一部をメインのKahoot!のプラットフォームに組み込む計画だ。
Kahoot!はノルウェーのオルタナティブ投資市場であるメルクール市場で株式の一部を取引し、現在の時価総額は30億ドル(約3123億円)を超える(Yahoo! Finance)。同社は発表の中で、Dropsに3100万ドル(約32億3000万円)を現金で支払い、2020年から2022年までの間にDropsが一定の成果をあげたかどうかに基づいてさらに最大1900万ドル(約19億8000万円)を現金と株式で支払うと述べている。取引は2020年11月中に完了する予定で、同社にとってはこれまでで最大の買収だという。
Dropsにはメインのアプリが3つある。1つ目は企業名をそのまま名前にした、無料の機能と有料の機能があるフリーミアムのアプリだ。成人が新しい言語を学べるアプリで、現在42言語に対応している。ボキャブラリーを5分間ほどの「つまみ食い」セッションで身につけることができる。2つ目のアプリは読み書きと手話を学ぶ「Scripts」で、米国手話を含め7言語に対応している。3つ目は「Droplets」で、8〜17歳の学習者が言語を学ぶことに特化したものだ。全部で2500万人のユーザーを獲得している。
DropsがTechCrunchの(そしてスタートアップ界の)レーダーに入ってこなかった理由の1つは、資金調達をせず自己資本でブートストラップしてきたからかもしれない(アクセラレーターのGameFoundersが関わっていた)。しかし2018年にはGoogle(グーグル)のベストアプリに選ばれるなど、高い評価を得てきた。
Dropsはエストニアで創業し、21人の従業員がいる。「本社」はなく、チームはエストニア、米国、英国、スペイン、イタリア、フランス、ドイツ、スウェーデン、オランダ、ハンガリー、ウクライナ、ロシアに散らばっている。このことが低コストで運営できる理由の1つだろう。2019年の売上高は630万ユーロ(約7億8300万円)で、キャッシュコンバージョンは40%だという。
もう少し背景を説明すると、Microsoft(マイクロソフト)やDisney、Northzoneなどから支援を受けているKahoot!によれば、直近の12カ月で200カ国以上の10億人を超えるプレイヤーが、Kahoot!のセッションに2億回以上参加したという。この数字には、無料サービスを利用する学習者と、このプラットフォーム上でゲームを作って利用するために費用を支払っている企業(例えば専門の開発者やビジネスコンプライアンス関連など)の両方が含まれる。
Kahoot!のCEOであるEilert Hanoa(アイレート・ハノア)氏は発表の中で次のように述べている。「我々は世界をリードする学習プラットフォームになるというビジョンに向かって前進しており、成長を続けるKahoot!ファミリーにDropsを迎えることをたいへんうれしく思っています。Dropsのサービスと革新的な学習モデルは、シンプルなゲームベースのアプローチで学習を素晴らしいものにするというKahoot!のミッションと完璧に一致します。Dropsと言語学習は、あらゆる年代や能力の学習者向けアプリとして成長を続ける我々にとって最新のサービスとなります。我々はこれからも新しい領域に進出し、Kahoot!を家でも学校でも職場でも学べる究極の場とし、学習を素晴らしいものにしていきます!」。
新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大により、教育用アプリは急成長し、全体として利用が大幅に増えている。
新型コロナの感染拡大を防ぐために学校が閉鎖されたり、できることが極端に減ったりする中で、学生、教員、保護者にとって教育用アプリは連絡を取り合い教えるための手段となっている。
一方、企業などの組織はスタッフの多くが在宅勤務をしている中で、スタッフとのつながりを維持し、エンゲージし、トレーニングをするために、eラーニングを利用している。
私たちの多くにとって、完全に禁止されているわけではないにしても移動が大幅に制限されているこの時期に言語学習が大ブームになっているのは皮肉なことのようにも思える。
おそらく、やれるときにやっておこうということなのだろう。つまり、新たに習得した外国語のスキルを本当に使えるようになるときに備えて、いまの時間を使って準備しようということだ。あるいは、建設的に気を紛らわしたり何かに没頭したりしようということかもしれない。動機や理由はともかく、結果として言語学習は活発になっている。
同様にゲームベースのコンセプトで学習と毎日のセッションを続けてリーダーボードを目指すDuolingoも最近、24億ドル(約2500億円)の評価額で3500万ドル(約36億円)を調達し、大きく飛躍した。
Kahoot!は、デジタル言語学習が2025年までに80億ドル(約8300億円)を超える市場になるという予測(Statistaレポート)を引き合いに出し、Dropsは「世界で最も成長の早い言語プラットフォームの1つ」だと説明した。
Dropsの共同創業者でCEOのDaniel Farkas(ダニエル・ファーカス)氏は発表の中で「Dropsの全員がこの5年間、言語学習の新しい方法を作ってきました。まだ始まったばかりです。我々は世界中の多くのユーザーに、楽しくてダイナミックな言語学習のアプローチを紹介してきました。Kahoot!も同じタイプの学習を提供しています。ミッションを同じくする企業と連携してDropsのプラットフォームを世界中にいるゲーム好きの学習者に提供できることを楽しみにしています」と述べている。
これはKahoot!にとって4社目で、これまでで最大規模の買収だ。Kahoot!はDropsのケースと同様に、これまでにも学生向けの数学学習(未訳記事)や企業ユーザーの管理ツール(未訳記事)など自社プラットフォームに新たな専門分野を取り入れるためにM&Aを実施してきた。
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カテゴリー:EdTech
タグ:Kahoot!、Drops、買収
画像クレジット:Drops under a CC BY 2.0 license.
[原文へ]
(翻訳:Kaori Koyama)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2020/11/28/2020-11-24-kahoot-drops-50m-on-drops-to-add-language-learning-to-its-gamified-education-stable/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Ingrid Lunden
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