生きていくためにネコ型ロボットが「必要」な人などいないだろう。それにこのロボット枕は「ネコ型」というものの顔がない。ふわふわしているのと尻尾が動くのでネコとわかる。初めて見た人の反応は当惑から熱狂までいろいろだ。
Qooboをじかに人に見せたのは数回しかないが、反応はすべて似ていた。 まず最初は当惑する。次に「なぜこんなものが存在する必要があるのか」という疑問が来る。そして必ず、「これ欲しいけど、どこで買えるのかな?」という質問となる。
オリジナルの大型版をアメリカで入手するのは当初かなり困難だった。日本の小さい会社(ユカイ工学)がプロダクトを新しい市場に拡大するには各種のハードルがあったためだ。それにこういうニッチなプロダクトがアメリカで受け入れられるかという疑問もあっただろう。しかし最終的にはまったく問題ないと判明した。
製品のユーザーガイドにはこうある。
ふわふわした毛皮のようなパッケージにはかすかに鼓動する心臓が組み込まれており優しさを提供します。私たちはこれをもっと使うべきでしょう。Indiegogoキャンペーンの成功により、オリジナル版より小型で手頃なサイズの新しいPetit Qooboが実現できました。Petit Qooboは、尻尾のあるクッション型のロボットです。 撫でられると尻尾が優しく揺れます。
Qooboの機能はこれで言い尽くされている。つまりときどき動く尻尾付きの毛皮枕ロボットだ。 強く撫でると、強く尻尾が振られる。この枕にはマイクが内蔵されており、音を聞き取る(特定の単語を認識するわけではない)ので音で尻尾を振らせることができる。 ドアをノックしたり、大音量の音楽を鳴らしたりすることで反応を引き起こせることが分かった。「ヘロー」と呼びかけるだけでも尻尾が揺れる。
この記事を書いている現在、Petit Qooboは膝の上にいる。これはなかなか心を癒やす効果がある。もちろん本物のペットの代わりにはならない。しかし私のペット(上の写真のウサギ)は記事を書いている間、膝の上でじっとしていてくれない。それにQooboなら撫でるのを止めても抗議されない。単に尻尾の振れが止まるだけだ。
このロボットは長く撫でていると「スリープ状態」になる。たぶんバッテリーを節約するためだろうと思う。充電ポートは、印象を詳しくは述べないが、ともあれ尻尾の近くにある。 外周のジッパーを開いて毛皮部分を取り外せるのでクリーニングが可能だ。
尻尾を作動させるメカニズムはうるさくはないが、アクチュエータの作動音がはっきり聞きとれる。実はこの音はなかなかかわいらしい。ただし枕として使っているときは多少問題になる。Qooboのもう1つの巧妙なトリックは静かに押すと起動される心臓の鼓動だ。尻尾のアクチェーターの作動音にかき消されることもあるが、ともあれ落ち着きをもたらす効果がある。
日本には魅力的なセラピーロボットの伝統があり、Qooboもこの系統の一部だ。ベビーあざらし型のパロは90年代にさかのぼる。入院患者や幼児をリラックスさせ、快適にするようにデザインされている。これは本物の動物を使う場合のデメリットを避けながらアニマルセラピー利点を生かそうとする試みだった。パロ・プロジェクトは最終的に15億円以上の開発費を要する大掛かりなものとなった。ユカイ工学のQooboとは規模がまったく異なる。
しかしその効果には共通点もある。 われわれの脳にはふわふわしたものを撫で、鼓動を聞きたがるよう配線されている部分がある。一見奇妙なこの小さなロボットには確かに効果がある。記事を書く間、膝にこれを乗せているとすこし落ち着きがもたらされた。実際、「少しの落ち着き」こそわれわれが今もっとも必要としているものに違いない。
画像:Brian Heater, [Rabbit for scale]
(原文へ)
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- Original:https://jp.techcrunch.com/2020/12/31/2020-12-30-an-earnest-review-of-a-robotic-cat-pillow/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Brian Heater
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