人間の知覚の歪みに関しては、現象としては認識されていてもメカニズムが解明されていないものが多い。ケンブリッジ大学の研究者は、人工脳を介してこれを理解しようと試みている。
研究者が扱ったのは、「リバースファイ運動」として知られる錯視の一種で、画像の輝度のパターンを変えることにより知覚される運動方向や速度が変化するものだ(一例が動画で確認できる)。研究者は、錯視のメカニズム究明のために、動きを知覚する際の脳の情報処理構造を真似たシステム「MotionNet」を作成した。
動画から運動方向や速度を予測する人工ニューラルネットワーク
研究者は、運動知覚研究による数十年分のデータを使用し、動画から運動方向や速度を予測する人工ニューラルネットワークをトレーニングした。
人間の脳の一部を厳密にモデル化したコンピューターネットワークを利用することで、脳では直接測定できない視覚的な情報処理のメカニズムを究明できたという。
人工脳も人間と同じ騙され方
研究者は、MotionNetでリバースファイ運動での視覚的な情報処理を再現し、人間の脳と同じ騙され方をするのを見出した。
MotionNetにアクセスして調査したところ、リバースファイ運動では実際の運動と反対の方向にニューロンが調整されている様子が確認できたとのこと。
リバースファイ運動に関する究明は、MotionNetの活用事例の1つにすぎない。MotionNetは、究明が必要だが脳にアクセスしての測定が困難な多くの知覚現象について、新たな洞察をもたらしてくれる可能性がある。
- Original:https://techable.jp/archives/149817
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:YamadaYoji
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