Appleは日本時間4月21日に新型iPad Proを発表しました。4月30日から予約受付が始まっており、5月後半に発売となります。そこで改めて、iPadシリーズのラインナップが気になるという人に向けて、自分に最適なiPadの選び方をまとめてみました。
■現行のiPadシリーズは5種類
今回発表されたiPadは、「12.9インチ iPad Pro(第5世代)」と「11インチ iPad Pro(第3世代)」の2モデルです。そのほかの3モデルは従来通り販売されているため、現行のラインナップは変わらず計5種類。画面サイズの大きい順に整理すると以下のようになります。
・12.9インチiPad Pro(第5世代):12.9インチ
・11インチiPad Pro(第3世代):11インチ
・iPad Air(第4世代):10.9インチ
・iPad(第8世代):10.2インチ
・iPad mini(第5世代):7.9インチ
■iPad Proは決して安くはない! 予算の検討が必須
まず、考えておきたいのが予算と用途のバランスです。新型iPad Proシリーズは、最新機能を搭載しておりオールラウンダーな存在ですが、安価なデバイスではありません。機能を重視するならば、Proシリーズを購入しておいて間違いないですが、用途によってはオーバースペックになってしまうこともあるでしょう。
Apple Storeにおける各モデルの直販価格(税込)を容量別にまとめてみました。
▲2021年5月時点の現行iPadシリーズ、価格まとめ
ここでいう容量の数字(GB)は「ストレージ」のことで、iPadにどれだけのデータを保存できるかという目安になります。例えば、ゲームアプリを大量にインストールしたかったり、オフラインで視聴したい動画をダウンロードしたり、長編動画を編集したりするような人は、たくさん容量があるモデルの方が安心です。
なおiPadシリーズには、Wi-Fi接続下でしか通信ができない「Wi-Fiモデル」と、通信プランを契約して単体で通信が行える「Wi-Fi+Cellularモデル」の2種類が存在します。こうした機能差によっても価格が変わります(ちなみに、後者はApple Storeや、大手通信キャリアなどで購入できますが、家電量販店では取り扱っていないこともあるので気をつけましょう)。
■最新Proはクリエーターや複数用途で使用したい人に◎
新発売のiPad Proシリーズを購入すべき人としては、大きく2パターンあるかと思います。1つ目は、動画や写真の編集、デザイン、イラスト作成など、クリエイティブな作業を想定している人です。
特に12.9インチのiPad Proは、HDRコンテンツ視聴時に最大1600ニトの高輝度表示にも対応しました。諧調豊かなカラーを確認しつつ編集作業を行う人にとっては、重要な選択肢になるでしょう。ただし、11インチのiPad Proは従来通りの輝度なので、その恩恵を期待する場合には、間違えないように気をつけてください。
またProシリーズは、12.9/11インチともに従来からディスプレイのリフレッシュレートが120Hzに対応していて、Apple Pencilで素早く描画したときに、ペン先の遅延が発生しにくいという特徴があります。趣味ならばともかく、仕事でイラスト描画やデザインツールを多用する想定ならば、必ずProシリーズを選択しておくべきだと思います。同様の理由で、素早くメモを取る際にも筆跡の遅延が少なく快適に感じられるので、手書きメモを多用する学生やビジネスパーソンにも検討して欲しいところです。
2つ目は、iPad ProをノートPC代わりにしつつ、さまざまな用途に使いたいと考えている人です。iPad Proでは、iPad用Magic Keyboardなどの純正キーボードアクセサリが使えて、USB Type-Cケーブルで周辺機器との接続をしやすいという特徴があります。そして、先述したようなクリエイティブな用途との相性も良いので、趣味でイラストを描いたり、プライベートな旅行の動画をiPad Proで編集したりするのにもぴったりです。
ただし、Proシリーズの価格は最小構成でも9万4800円。周辺機器を購入すると、さらに数万円が上乗せになります。クリエイティブな仕事でガンガン使う想定ならば、重いデータを扱うことや長期使用することを想定して、少なくとも512GB以上のモデルを選択しておきたいところですが、プライベートで使う場合には128GB〜256GBモデルでも十分です。
■予算がないからと激安モデルに飛びつくのはちょっと待った!
「周辺機器も合わせて約15万円もなんて捻出できないよ」という場合には、iPad AirやiPadも検討してみましょう。その場合、次に目を引くのは、iPad Airの64GBモデルとiPadの32GBモデルでしょう。これらのモデル、たしかに価格は安いのですが、飛びつくのはちょっと待った。使い方によっては、ストレージが足らなくなってすぐに困ることになります。
こうした小容量のモデルをお勧めできるのは、外部ストレージやクラウドストレージサービスをフル活用して、データ管理が得意な人に限られます。いま「なんのこっちゃ分からん」と思った人や「OSアップデート前の、写真やアプリの整理とか面倒でしたくない」と思った人は、iPad Airなら256GB、iPadなら128GBを選ぶ前提で考えておいてください。
■書類作成やメール返信がしたいならiPad Airをまず検討
iPad AirとiPadの違いはいろいろありますが、一番大きいのは、「使えるApple Pencilの世代が第2世代か第1世代か」です。iPadを頻繁に持ち運んで場所を問わずにApple Pencilを使いたいと思う場合には、ペアリングや充電をワイヤレスでできてマグネットでくっつく第2世代に対応するiPad Airを選んでおいた方が良いと思います。
また、トラックパッドを備える純正のMagic Keyboardも、iPad Airなら使えますがiPadでは使えません。長編動画の編集をしたり、何層にもレイヤーが分かれたイラストを描いたり…、といったプロのクリエーターのような運用は想定しておらず、「外出時に書類が作れるサブのノートPC代わりにしたい」といった人には、お勧めできます。ただし、このキーボードアクセサリの価格は3万4980円するので、iPad AirをノートPCのように快適に使いたい場合には覚悟を決めましょう。
■雑誌の表示や簡単なお絵かきならiPadで十分
機能比較ではどうしても良いところが少なくなってしまうiPadも、カジュアルに家族で使いたいという場合には、検討の価値は多いにあります。例えば、リビングで電子版雑誌や電子版新聞を読むのに使いたいという場合には、ピッタリです。
ちなみに、先ほど32GBモデルは要注意と言いましたが、たとえば「電子版雑誌を読んだり、ブラウジングをするくらい」のように用途を限定できる人にとっては、コストを抑えられる魅力的な選択肢でもあります。仕事ではProシリーズを使っているが、家族と共用にするサブ機として安価なiPadをもう1台購入するといったケースも考えられるでしょう。
また、Apple Pencilも第1世代ではありますが、描き心地自体はiPad Air+第2世代と変わりありません。充電やペアリングの際にキャップを外してLightning端子を接続するといった煩雑さはもちろんあります。しかし、それを我慢できるならば、もしくはずっと自宅の机の上で使うのであれば、特に問題なく使えます。例えば「息抜きでお絵かきをしてみたい」「手書きメモは取るけど、本当にたまにだけ」くらいの想定ならば、無理にProやAirシリーズに手を伸ばさずとも、大抵はiPadでカバーできると思います。
■iPad miniは電子コミックなどを読むのに最適
残ったのはiPad miniですが、こちらは筆者の手なら片手でホールドできるほどサイズ感がコンパクトなので、ほかのiPadシリーズとは並列で語りづらい部分があります。小型ゆえに長時間持ち続けやすいという特徴があるので、スマホゲームで遊びたい人や、電子コミック、電子書籍などをiPadで楽しみたいと思っている人にとっては、魅力的な選択肢になると思います。
また、iPhoneではなく、Androidを持っていて、iPadOSもサブ機で使ってみたいと思うような人にとっても、リーズナブルな選択肢となるでしょう。
一方、ノートPCのような運用や、イラストを描くような使い方は向いていません。もちろん全くできないというわけではありませんが、無理にiPad miniでする必要もないというのが正直なところ。その場合は、iPad AirやiPadを検討した方が良いですね。
* * *
最後に、価格比較の表組に、選ぶ際のポイントを追記したものを載せておきます。適宜拡大しつつ、確認してみてください。
まとめると、大半のユーザーがまず検討すべきは、黄色で囲まれた128GB〜256GBの容量です。もし、クリエーターなら、512GB以上のProシリーズを狙っておくと安心です。
その上で、Apple PencilやMagic Keyboardを使いたい場合には、ProシリーズかAirを選んでおきましょう。
こうした周辺機器の最新世代にこだわりがない場合には、iPadも安く入手できる選択肢として魅力です。寝っ転がって漫画や書籍を読んだり、YouTubeを視聴するような利用ならば、iPad miniも便利です。
新モデルの存在や、価格の高い安いはもちろん重要ですが、それだけに注目せず、自身が想定する利用方法に合わせた最適な選択を心がけてください。
<取材・文/井上 晃>
井上 晃|スマートフォンやタブレットを軸に、最新ガジェットやITサービスについて取材。Webメディアや雑誌に、速報、レビュー、コラムなどを寄稿する。Twitter
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- Source:&GP
- Author:&GP
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