ソニーが1.0型センサーを搭載するカメラを備えたスマートフォン「Xperia PRO-I」を発表しました。今年2月に発売されたプロ仕様の5Gスマホ「Xperia PRO」に続く、PROシリーズの第2弾で、グローバルでのキャッチコピーは「The CAMERA」。「スマホ」ではなく「カメラ」と呼ぶたくなるほど、カメラ性能に注力したモデルです。市場推定価格は19万8000円で、12月15日に発売されます。
▲12月15日発売予定の「Xperia PRO-I」。「I」は「Imaging」を表す
■スマホ初の像面位相差AFを備える1インチセンサーを搭載
Xperia PRO-Iの最大の特徴は、スマホ向けでは最大級の1.0型のイメージセンサーを搭載していること。ソニーのプレミアムコンパクトカメラ「RX100 VII」に採用するセンサーをXperia向けに最適化した「Exmor RS」を搭載。画素ピッチ(2.4μm)にゆとりがあり、多くの光を取り込めて、高感度かつ低ノイズで、広いダイナミックレンジを描写できるのが利点。
▲RX100 VIIに搭載されるものと同じ1インチの撮像センサーを搭載
撮像エリアの約90%をカバーする315点の像面位相差検出AFセンサーによって、動きの予測が難しい被写体でも、高速かつ正確にピントが追従して撮影できることも特徴。ソニーのミラーレス一眼カメラ「α」にも搭載されている「リアルタイム瞳AF」や「リアルタイムトラッキング」にも対応。毎秒最大60回のAF/AEの演算が行えて、AF/AEを追従して最高20コマ/秒を高速連写できる機能も備えています。
▲像面位相差検出AFセンサーのイメージ
■シャッターを半押しする感覚もカメラそのもの
カメラは超広角(16mm)+広角(24mm)+標準(50mm/F2.4)のトリプルレンズカメラで、メインの広角カメラに1インチセンサーを使用。広角カメラはZEISS Tessarレンズを採用し、絞り値をF2.0とF4.0に切り替えることも可能。背景をぼかしたり、逆にハッキリ写したりと、撮影者の意向を反映させた撮影が楽しめる趣向。
▲トリプルレンズカメラを搭載し、24mmの広角カメラに1インチセンサーを採用
▲F値を切り替えて、ボケをコントロールできる
超広角、標準にもZEISSレンズを採用し、すべてのレンズの表面に光の反射を抑えるZEISS社独自の「T*(ティースター)コーティング」が施されています。
写真撮影用アプリには、Xperia 1 IIIなどと同様に「Photography Pro」を搭載。デジカメライクに撮影モードを設定して、露出やホワイトバランス、シャッタースピードなどの細かい設定ができ、撮影した画像データはRAW形式でも保存できます。
▲ミラーレス一眼カメラ「α」と同じように設定できる「Photography Pro」を搭載
高級コンデジに匹敵するカメラモジュールを搭載しつつ、本体の薄さは一般的なスマホと変わらない8.9mmに抑えられています。またサイドフレームにはライン処理を施し指が滑りにくくなっていて、シャッターボタンには「RX100」シリーズで使われるスイッチ部品を用いて、カメラ専用機さながらの押し感を実現するなど、細部に渡って、Xperiaの通常モデルとは異なる “カメラらしさ” を極めています。体験会で、実際に撮影してみましたが、半押しでピントを固定して、シャッターを押し切る感覚は、カメラそのものでした。
▲サイドフレームには手が滑りにくい処理が施され、シャッターボタンにはローレット加工が施されている。その左にあるボタンはショートカットボタンで、ワンタッチで動画撮影アプリが起動するように初期設定されている。
ハンドストラップを取り付けられるホルダーを備えていることも通常モデルとの差分。ストラップ(非同梱)を付けることで、よりアクティブに安全に撮影を楽しめそうです。
▲コンパクトデジカメと同じようにストラップホルダーを装備
■新開発のアプリを搭載し、動画の撮影機能も大きく向上
動画の撮影機能も強化されています。スマホのカメラは写真が主役で、動画は脇役といった印象を持ちがちですが、Xperia PRO-Iには「Videography Pro」という動画撮影専用のアプリが搭載されています。写真撮影用の「Photography Pro」と同じように、フォーカス、露出、ホワイトバランスなどの細かい設定が素早く行えて、撮影中のズーム操作や露出補正などもスムーズに行えます。また、1台ずつ工場で補正された高精度な水準器を利用できることも大きなメリットと言えるでしょう。
▲動画専用の「Videography Pro」を新搭載
スマホでは世界初の4K 120fpsのハイフレームレート撮影に対応したこともアドバンテージ。Xperiaの通常モデルにも、4K 120fpsでの撮影に対応する機種はありますが、それはスローモーション撮影のための機能でした。Xperia PRO-Iでは、4K 120fpsで撮った滑らかな映像をそのまま再生できるので、クリエイターの表現の幅を広げてくれること請け合いです。
Xperiaとして初めて、動画撮影時の「瞳AF」と「オブジェクトトラッキング」にも対応。瞳AFは人間だけでなく動物の瞳の検出。オブジェクトトラッキングは、フォーカスしたい被写体をタッチすると、その被写体が動いても自動でピントを合わせ続ける機能です。
▲動画撮影時にも動く被写体をピントが追従する
さらに、録音性能も強化されています。本体の上下(横向きにした場合の左右)に搭載するステレオマイクに加えて、新たにメインカメラの横にもモノラルマイクを装備。これによって、カメラの前に立つ人の声をよりクリアに録音できる趣向。また、撮影シーンによってステレオマイクとモノラルマイクを使い分けることもできます。
Xperia 1/Xperia 5シリーズでお馴染みの、映画のような動画が撮れる「Cinematography Pro」もプリインストール。1インチの大型センサーの搭載により、より高画質での撮影できるとのことです。
■自撮りに便利な外付けモニターも発売
主にVlogを撮る人に向けて「Vlog Monitor」(2万5000円前後)も発売されます。Xperia PRO-Iに接続できる3.5インチのモニターで、これを使うことにより1インチセンサーの広角カメラで自分撮りが行える趣向。ワイヤレスリモートコマンダー機能を備えたシューティンググリップ「GP-VPT2BT」(1万2901円/既発売)を使うことで、よりアクティブに作品づくりを楽しめそうです。
▲左がVlog Monitorで、右がGP-VPT2BT
▲Vlog Monitorをこのように背面に取り付けると、1インチセンサーカメラで自撮りができる
■スマホとしての性能はXperia 1 IIIとほぼ同等
スマートフォンとしての基本性能は、発売中のフラッグシップモデル「Xperia 1 III」と同等。6.5インチの4Kディスプレイは、120Hzの高速リフレッシュレートに対応。プロセッサーにはSnapdragon 888を採用し、RAMは12GBで、ROMは512GB。「Dolby Atmos」やソニー独自の「360 Reality Audio」に対応するなど、オーディオ性能もトップクラス。ただし、Xperia 1 IIIはミリ波の5Gに対応していますが、Xperia PRO-IはSub6のみの対応になっています。
▲カメラ以外の仕様はXperia 1 IIIとほぼ同じ
今年は、ライカが全面的に監修した「Leitz Phone 1」が話題になりましたが、Xperia PRO-Iはそれに対抗するモデルと言っても差し支えないでしょう。“カメラ付きスマホ” ではなく、“通信機能付きカメラ” が新しいトレンドになるかもしれません。
<取材・文/村元正剛(ゴーズ)>
村元正剛|iモードが始まった1999年からモバイル業界を取材し、さまざまな雑誌やWebメディアに記事を寄稿。2005年に編集プロダクション「ゴーズ」を設立。スマホ関連の書籍・ムックの編集にも携わっている。
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- Original:https://www.goodspress.jp/news/408311/
- Source:&GP
- Author:&GP
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