音にスペック全振りならではの超高音質!AVIOT「TE-BD21j-ltd」は音重視派にはコスパ最強かも

<イヤホンレビュー>

音楽リスニングで大活躍する完全ワイヤレスイヤホン。今年もたくさんの機種が発売されましたが、オーディオの専門家である僕が見た2021年の完全ワイヤレスイヤホン最大のテーマは高音質でした。プレシードジャパンが11月5日にAVIOTブランドで発売した「TE-BD21j-ltd」は、そんな2021年の高音質完全ワイヤレスイヤホンの締めくくりに相応しい最新モデルです。

▲AVIOTが11月5日に発売した完全ワイヤレスイヤホン「TE-BD21j-ltd」。直販価格は1万9800円

 

■完全ワイヤレスイヤホンで高音質技術の頂点に立つ注目モデル

なぜ、専門家がAVIOT「TE-BD21j-ltd」の高音質技術に注目するのかというと、理由は大きくふたつあります。

▲スマホなどデバイス側も対応しているとフルで威力を発揮。対応デバイスは今後増えていく予定

まず、デジタル部のテクノロジーが最新であるということ。完全ワイヤレスイヤホンのワイヤレス部分は、今まさに激変期。そんな中、スマホの技術の中核を担うQualcomm社が提供する最新プラットフォームが“Snapdragon Sound”になります。そして、それを国内メーカーとして初めて実装した完全ワイヤレスイヤホンがAVIOT「TE-BD21j-ltd」なんです。

“Snapdragon Sound”でポイントとなるのが、高音質コーデックaptX Adaptiveの採用です。同じ名前の技術は2018年から存在するのですが、今年3月の技術拡張によって最大96kHz/24bitのハイレゾ対応、ビットレート最大620kbpsになり音質でもトップの一角に。細かな対応はSoC世代やスマホの機種によりますが、2021年時点で音質面で最も有利なコーデックのひとつです。動画やゲームの遅延89ms以下という点も重要なアップデートです。

▲精悍なボトル型デザインの本体には独自設計のハイブリッドトリプルドライバーを内蔵

さらに「TE-BD21j-ltd」はアナログのイヤホン部分も超マニアック。3基のドライバー搭載のハイブリッドトリプルドライバー採用という時点で頑張っているのに、そのダイナミックドライバーは音楽制作のスタジオモニタースピーカーでも採用する高密度パルプ振動板搭載の独自仕様。パルプ振動板は業界内でもAVIOTのみが実用化しているレア技術です。

▲ウレタン、シリコンの2種類のイヤーピース付属でフィット感も上々

▲イヤホン本体のみで最大9時間再生。ジェラルミンの充電ケース併用で最大45時間再生

あまりに技術的な要素の多い機種ですが、ユーザー目線で言うとやはり、技術の先進性より「どんな音質で聞けるのか」というところが重要になります。じっくりサウンドを聴き込んでみました。

▲音質一点勝負でサウンドを聴き込み

 

■iPhoneでも最高クラス。aptX Adaptiveでは極上過ぎる

まずはiPhoneで音楽リスニング。iPhoneではワイヤレス技術は従来どおりAACコーデックになるので、「TE-BD21j-ltd」のアナログ部分であるイヤホンの実力拝見といったところですね。

▲まずはiPhoneとペアリングしてAACコーデックで検証

普段から聞いている宇多田ヒカル『あなた』から聴くと…なかなかの高音質。宇多田ヒカルの声はちょっとハスキーで肉厚さだけでなく繊細さも出るし、オーケストラの演奏、そしてベースの音もリッチ。高域まで伸びやかなのに、全くキツさを感じない音がAVIOT流ですね。

男性ボーカルではエド・シーラン『Shape of You』を聴いてみても、センターでハッキリとクリアに浮かぶ歌声に、そこから伝わる音の余韻の再現。左右に広がるコーラスの自然な広がり深く広がる低音は、思わず「ヘッドホンの音みたい…」と思ってしまったぐらい。ダイアナ・クラールの『夢のカリフォルニア』なんて歌声の渋み、深みがもう最高。一方、最近の楽曲はとYOASOBI『三原色』を聴いてみると、音の鮮やかさ、分離の良さも、本当に最高。

iPhoneで聴いても業界トップ級の高音質ですが、ここからが本番です。プレイヤーをAndroidスマホのXperia 1 IIで、aptX Adaptive接続での音質をリスニング。細かなことを言うとXperia 1 IIはフルスペックのaptX Adaptiveではなく48kHz/24bitまでの対応ですが、高ビットレートで十分高音質の条件は満たしています。

▲Xperia 1 IIとペアリングしてaptX Adaptiveで接続

▲aptX Adaptiveで接続時はスマホ側にメッセージが表示される

aptX Adaptive接続で聴いたサウンドは…やはり別格。宇多田ヒカルの声から違いました。歌声からハスキーさは完全に取れて、尖りも完全に解像するようなシルキーな美音。オーケストラの演奏はトランペットの音も、弦楽器も音の質感が聞こえてきます。ベースの低音も空気の揺れとして満たされるパワフルさ。

エド・シーラン『Shape of You』は冒頭の“タンタッタッ…”と始まるイントロの音の質感まで見える感覚。アコギの音の生音感、歌声の声の反射まで「ああ、これが本当に聞かせたかった音だったんだね」と、思わず手を打って納得。ダイアナ・クラールの『夢のカリフォルニア』は空間に響く声の解像感、そしてウッドベースの低音の余韻まで濃厚。「ヘッドホンの音なんてもんじゃない、これは生音レベルでしょ」と思ってしまいました。YOASOBI『三原色』もダイレクトに届く音の純度が別モノ。歌声はどこまでもクリアかつギターやキーボードの音まで躍動感があります。

「TE-BD21j-ltd」の音質のどこがスゴイかというと、録音された音源っぽさから、そこで演奏しているようなリアルな実存感や音楽の中に飛び込むような臨場感に到達すること。これを完全ワイヤレスイヤホンで再現できるのって、この「TE-BD21j-ltd」くらいしか思い当たりません。

2021年もいろいろな完全ワイヤレスイヤホンを聴きましたが、1年の締めくくりにこの高音質を堪能できるのは幸せですね。そしてこれが直販価格1万9800円というのは、音質に対するコスパで考えると間違いなく最強。いま購入しておけば、2022年も高音質イヤホンで迷うこともなさそう。それくらい本当に「TE-BD21j-ltd」のサウンドは最高ですよ。

>> AVIOT「TE-BD21j-ltd」

 

<取材・文/折原一也

折原一也|1979年生まれ。PC系出版社の編集職を経て、オーディオ・ビジュアルライター/AV評論家として専門誌、Web、雑誌などで取材・執筆。国内、海外イベント取材によるトレンド解説はもちろん、実機取材による高画質・高音質の評価も行う。2009年によりオーディオビジュアルアワード「VGP」審査員/ライフスタイル分科会副座長

 

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