ノーコードのセキュリティ自動化プラットホーム「Torq」が約57億円調達

オレゴン州ポートランドのTorqは、セキュリティをノーコードで自動化するスタートアップで、以前はStackPulseという名称だった。同社は米国時間12月7日、Insight PartnersがリードするシリーズBのラウンドで5000万ドル(約56億9000万円)を調達したことを発表した。上場企業であるエンドポイントセキュリティのプラットフォームSentinelOneが新たな投資家としてラウンドに参加し、またこれまでの投資家であるGGV CapitalとBessemer Venture Partnersも参加した。Torqの総調達額は、これで7800万ドル(約88億7000万円)になる。

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最近では、ノーコード / ローコードのプラットフォームが流行しているが、セキュリティ分野ではあまり見かけない傾向にある。NS1、eToro、Armis、Healthy.ioなどがユーザーとして名を連ねるTorqは、使いやすいグラフィカルなインターフェースを用いて、セキュリティチームがセキュリティ製品間のルーティング・ワークフローを自動化することを支援する。その点では、Microsoft Power Automateとあまり変わらず、セキュリティに特化している点では同じだ。

Torqは、現代の企業がデータの安全性を保つために導入している複雑に入り組んだセキュリティツールをまとめることができるという点で期待されている。サービスのワークフローは、一定の間隔で、またはアラートから起動することができる。例えば、クラウドリソースへの特権的なアクセスを求める従業員からのSlackリクエストに反応したり、疑わしいファイルの分析プロセスを自動化したりするような、シンプルなワークフローだ。

画像クレジット:Torq

LemonadeのCISOであるJonathan Jaffe(ジョナサン・ジャッフェ)氏によると「Torqのオートメーションで私たちチームのセキュリティ管理が変わりました。一例を挙げると、Torqを使ってウェブアプリケーションのファイアウォールのブロッキングのルールを管理すると、悪質なトラフィックのブロックに要する時間が70分の1になり、捕捉率は90%を超えました。これはとても大きな改善です」という。

TorqのCEOで共同創業者のOfer Smadari(オフェル・アダリ)氏によると、以前の資金調達から今回までの間、同社はユーザー体験の改良に集中してきた。「ユーザー体験への投資を増やし、ユーザーが他のシステムにもっと容易に接続できて、複雑なワークフローを簡単に作ることが可能で、インターフェースのスピードと応答性を上げるようにしました。また、創業時から一貫して、大小さまざまなエンタープライズをサポートできるためにスケーラビリティとレジリエンスに重点的に投資してきました」と氏は述べている。

特に今回の資金で重点投資を行いたいのが、サービス利用がかなり大規模になっている顧客や見込み客への対応だ。アダリ氏によると、同社のサービスの上で顧客が動かしているワークフローの平均数が毎週2〜3倍ずつ増加している。「顧客は、一度始めたらその後の拡張はとても速い。私たちが、そんな成長をサポートできるほどのサービスのデプロイになっていることを、有事になる前に確認しなければならない」という。

Torq自身は、セキュリティのチームをルーチンワークから解放してセキュリティ業界の人材不足に対応することが目的でも、しかしアダリ氏によると、同社にとって当面の最大の課題が雇用だ。

しかしInsight PartnersのマネージングディレクターであるSteve Ward(スティーブ・ワード)氏は次のように述べている。「短期間でTorqが成功したことは、プラットフォームがビジネスのあらゆる側面にわたってより良い保護の提供を目指すセキュリティチームの仕事を楽にしてくれることの証明だ。同社の直感的なプロダクトと経験豊富なチームにより、Torqは急速に業界のリーダーになりつつある。成長を続けているTorqとの提携は、私たちを元気にしてくれます」。

画像クレジット:Torq

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)


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