厚生労働省によると、心疾患は日本人の死因の第2位であり、心疾患の中で最も多いのが心不全とされています。心不全罹患率は年齢とともに高くなるため、高齢化が進む日本では今後患者数が急増し、2030年には130万人に達すると推計されていて、医療機関での病床不足や医療費増大による「心不全パンデミック」状態が懸念されているようです。
そんな中、株式会社CureAppは、心不全の在宅診療を推進中の”ゆみのハートクリニック”などを運営する医療法人社団ゆみのをパートナーとし、「慢性心不全治療アプリ」の開発を開始しました。
心不全治療における課題
慢性心不全患者の1年以内の再入院率は40%とも言われ、コントロール不良の場合、急性増悪(急性心不全)による緊急入院を繰り返すこともあるといいます。このような状況を予防するには、慢性心不全のコントロールが重要です。
慢性心不全をコントロールするために効果的とされているのが、心臓リハビリテーション(多職種による疾病管理および運動療法)の介入。しかし、医療機関で実施される心臓リハビリテーションは施設の認定要件が厳しく、実施できる医療機関が少ないため、そもそも患者の住んでいる地域で提供されていないということも多いようです。
また、近隣に心臓リハビリテーションを提供している施設があったとしても、週に何度も通院するのは、患者やその家族にとって大きな負担となり、継続しづらいという課題もあるといいます。このような背景からか、心不全患者の退院後外来での心臓リハビリテーションへの参加率はわずか7%にとどまっているようです。
自宅での包括的心臓リハビリテーションを実現
そんな中CureAppは、心臓リハビリテーションの提供施設の不足と通院負担という課題に対し、デジタル療法である「治療アプリ®︎」の活用が有効ではないかと考えました。「治療アプリ®︎」とは、ガイドラインの推奨治療や専門家の知見をベースにアルゴリズムを開発し、医療機関で治療のために医師から患者へ処方されることを目指すアプリ。患者は、スマートフォンなどを通じて、個別最適化された認知行動療法などの介入を受けられるといいます。
今回開発に着手した「慢性心不全治療アプリ」は、患者用・医師用・支援者用(家族や介護・医療系スタッフなど)の3つのアプリで構成され、患者個人に最適化された運動プログラムや疾病管理をスマートフォンなどを通じて提供するというもの。そこに、画像解析技術やIoT技術を活用した非監視下での在宅運動モニタリングシステムを搭載し、患者が安心して在宅運動療法に取り組める包括的心臓リハビリテーションを実現することで、患者の予後改善を目指すとのことです。
CureAppに関するTechable(テッカブル)記事はこちらへどうぞ。
(文・Higuchi)
- Original:https://techable.jp/archives/169976
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:樋口
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