スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター、The TechCrunch Exchangeへようこそ。
ようこそ!やっと週末を迎えることができた。ゆっくり休んで充電できただろうか。今回の内容はかなりリラックスしたものなので、コーヒーをもう1杯注いで、始めることにしよう。
スタートアップ成長のパラドックス
先週、The Exchangeはスタートアップ市場の変化に注目して、多くの時間を費やした。要約すると、投資家によってテック系企業の価値が見直されつつあり、2020年、2021年のスタートアップの業績を牽引した投機的な熱意が一部消滅したように見える。
多くの企業にとって、目先の市場の変化は大きな問題ではない。スタートアップの中には、十分な資金力を持ち、持続的な成長によって収益率の低下を回避できる企業もある。これをDatabricks(データブリックス)戦略と呼ぼう。
しかし、かなりの数のスタートアップ企業にとっては、状況は違っているようだ。ここで、いくつかのスタートアップ企業が現在置かれている状況を紹介する。
- 市場が投機資金で潤っていたおかげで、2020 / 2021年には歴史的な大型ラウンドを行えた
- 採用や成長目標に多額の費用を投じ、2021年末までの厳しいバーンレートを招いた
2022年を乗り切るだけの資金があるスタートアップならば、これはそれほど悪い状況ではない。そのころには、テック系企業に対する評価額も多少回復しているかもしれない。しかし、2021年かつてないほどのスピードで資金調達が行われた(時には1年で3回も資金調達が行われた!)一部のスタートアップは、どうしても現金消費型の成長目標に縛られることになった。つまり、多くの企業にとって、2020年、2021年の調達だけでは、この1年を乗り切れないということだ。
つまり、タイミングはどうであれ、もう一度調達しなければならないということになる。
そのため、一部の新興ハイテク企業は、2つの選択肢に迫られている。すなわち、よりゆっくりと成長してキャッシュを節約するか、キャッシュを気にせずペダルを踏み続けるかだ。厄介なのは、どちらを選んでもうまくいかない可能性があることだ。それはなぜか?
- 急成長を期待されて多額の資金を調達したにもかかわらず、その期待に応えられないまま次のラウンド評価に向かおうとしているスタートアップの場合は、現金を節約するために成長を制限することができる。これにより、次の資金調達までの時間稼ぎをすることができる。しかし、このやり方では成長率が損なわれ、株式の価値が大きく下がり、資金調達の選択肢が狭まり、長期的な存続が疑問視されることになる
- 一方、急成長を期待されて多額の資金を調達したにもかかわらず、その期待に応えられないまま次のラウンド評価に向かおうとしているスタートアップが、現金残高を逼迫させながら、成長のための支出を続ける可能性もある。キャッシュの持続時間は短くなるが、成長率は比較的高く保たれる。しかし、投資家が収益性を重要視している以上、単に成長するための支出は、悪魔に魂を売ることになってしまうかもしれない
これが、スタートアップの成長パラドックスだ。過去にさかのぼって、より少額の資金調達を行うか、あるいはより限定的な成長計画を立てることができればこの問題は解決できる。しかし、2021年はスタートアップの資金調達が量的にも価格的にも記録的だったことを考えると、もはや少々手遅れだろう。
スタートアップがこの課題にどのように対処するかが、2022年の重要なシナリオになると思われる。
良いこともある。投資家は、既存の投資先企業に対して、フラットな価格で追加ラウンドへ資金提供を行うことができる。スタートアップにとっては希釈化になるが、致命的なものではない。そして、スタートアップは、製品主導の成長など、よりコストの低い成長方法を活用することで、恐ろしい営業損失を出さずに良好な収益拡大を達成することを期待できる。
しかし、たとえそのような市場参入の方法を最初から念頭に置いて設立された企業であっても、そうした成長形態を追求することは容易ではない。販売スタッフを増やしたり広告費を増やしたりせずに新しいトップラインを獲得する方法をすぐにでも見つけたいスタートアップにとって、これまでの販売方法から転換する方法ははっきりしない。
最近、悪いニュースばかりで申し訳ないが、2021年のパーティーへの強壮剤だと思って欲しい。これが二日酔いというものだ。
画像クレジット:Nigel Sussman
[原文へ]
(文:Alex Wilhelm、翻訳:sako)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2022/03/14/2022-03-12-the-startup-growth-paradox/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Alex Wilhelm,sako
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