ランボルギーニの新型車「ウルス・ペルフォルマンテ」に試乗しました。
2022年8月に発表された”スーパーSUV”である同車は、ひとことで言って、もっともファントゥドライブなウルス。走りの印象はまるでスポーツカーです。
▲ランボルギーニのCEO、ステファン・ヴィンケルマン氏
ウルス・ペルフォルマンテに試乗したのは、2022年10月。場所はローマ郊外のバレルンガサーキット。かつてはF1グランプリも行われ、いまもF1チームの練習走行に使われ続けています。
「いま市場では、スーパーSUVとよばれる競合車も出てきましたが、私たちはまったく恐れていません。その証拠が、666馬力のウルス・ペルフォルマンテです」
サーキットでこのように語ってくれたのは、ランボルギーニのステファン・ヴィンケルマンCEOです。
私の質問は「すべてのジャンルで、リーダーとフォロワーがいるけれど、ランボルギーニはどうやってリーダーであり続けるつもりですか」というものでした。
■ウルスSと同等のエンジンパワーを持ちながらファン・トゥ・ドライブを追求
ウルスが発表されたのは2017年12月。
ヴィンケルマンCEOの言葉にあるとおり、それまでになかった、高性能を追求したSUVというジャンルを開拓したモデルといえます。
2022年夏に、従来のウルスをパワーアップしたウルスSと、ほぼ同時に発表されたのが、今回のウルス・ペルフォルマンテです。エンジンパワーの数値は、最高出力も最大トルクも、両車共通です。
ウルス・ペルフォルマンテは、じゃあどこが特別なのか、というと、「ファン・トゥ・ドライブが身上」と強調するのは、ランボルギーニでチーフテクニカルオフィサーを務めるロウフェン・モアー氏です。
▲ランボルギーニのチーフテクニカルオフィサー、ロウフェン・モアー氏
モアー氏の下、開発スタッフが実現したのは、車体を47kg軽量化するともに、全高を下げロードホールディングをよくし、さらに新開発のタイヤと新しい制御システムの導入で、コーナリングが楽しめるというキャラクターでした。
3996ccのv型8気筒エンジンは、490kW(666CV)の最高出力と、850Nmの最大トルクを発生。 ウルスSと数値は同等です。ペルフォルマンテが“よりスペシャル”なのは、車重がウルスSの2197kgに対して、2150kgと軽量化していることが第一点。
車高も、空力をよりよくするため、ウルスSの1638mmから1618mmに下げています。ボディ各所のデザインを見直すことで、高速やカーブを曲がるときの駆動力を確保するダウンフォース(空気の力で車体の浮き上がりを防ぐ効果)を38%向上させています。
さらに、ピレリがこのクルマのために開発した「トロフェオR」なる23インチの高性能タイヤをオプションで選べます。
「専用のホイールとともに装着すると、操舵への反応も、グリップも、大きく向上していることがわかるでしょう」とモアー氏。
静止から時速100kmまでは3.3秒。ウラカンSの3.5秒より0.2秒早くなっています。最高速は時速306kmに達します。
■張り付くような安定性と耐久性の高さ
実際、走りの楽しさは特筆ものでした。猛然とスタートダッシュし、カーブでは路面に張り付くように安定しています。高速コーナーには高めの速度のまま入っていって不安感なし。
コーナーが連続するちょっとテクニカルな部分では、低くなったとはいえ全高が1.6mを超えるクルマとは思えない、軽快な身のこなしを見せてくれました。
想像していたより少なめの操舵量(カーブでステアリングホイールを動かす量)で、車体の傾きも少なく、すいすいという感じの動きです。ブレーキの効きもすばらしく、減速、曲がり、そして加速すべてにおいて、冒頭で触れたとおり、まるでスポーツカーなのです。
サスペンションは、あえて金属バネ採用です。
「減衰のカーブがなめらかなのでサーキットなどでは扱いやすいんです」。
現場でランボルギーニの技術者が教えてくれました。それに電子制御ダンパーが組み合わされています。
あまりにも路面に張り付くように走れるので、ひょっとしたら一般道での乗り心地がよくない? と思って、上記の技術者に印象を尋ねると「けっしてそんなことはないと思いますよ」とのことでした。
「競合が出てきても負けるつもりはない」といったヴィンケルマンCEOの言葉のリアリティが、運転していると、よくわかりました。
もうひとつ、私が感心したのは、耐久性の高さです。サーキットでの試乗だったので、入れ替わり立ち替わり、世界中から招かれた腕自慢の自動車ジャーナリストが思いっきりクルマを走らせるのですが、何周しても、クルマは”ピンピン”しているのです。
最初に乗ったときと、2時間後に乗ったときも、印象がほとんど変わりません。コンパウンドが柔らかめのピレリの高性能タイヤがややグリップ力を失ってきたかな、というぐらいで、ここまで“攻める”ことができるなんて、ある種の芸術品だと感心しました。
■新ドライブモードでどこでも最高の走りを楽しめる
ペルフォルマンテは、従来のウルス同様、ドライブモードセレクターをそなえています。そこに今回「ラリー」というモードが設定されたのもニュースです。
バレルンガでは、サーキットの横にオフロードのコースがあります。そこでラリーモードを試す機会がありました。見どころは、アクセルペダルの踏みかたによっては、後輪をさっと流して走れること。軽いドリフトでカーブを曲がれるのです。
生粋のラリーカーならいざ知らず、これは大型でSUVで、しかもぜいたくな作りの高価格車です。それが、基本は車両がトルク制御をうまくやってくれながら、それでもドライバーが自分の思うようにクルマの動きをコントロールするという、ドライブの醍醐味を提供してくれるのです。
「レーストラック、日常、オフロード、どこでも最高のファントゥドライブを味わえますよ」。ヴィンケルマンCEOの自信に満ちたコメントは、まったくもって嘘ではなかったわけです。
【Specifications】
☆Lamborghini Urus Performante
全長×全幅×全高 5137x2026x2181mm
ホイールベース 3006mm
3996cc V型8気筒ターボ 全輪駆動
出力 490kW@6000rpm
トルク 850Nm@2300~4500rpm
変速機 8段オートマチック
最高速度 306kph
加速性能 0-100kph 3.3秒
0-200kph 11.5秒
価格 3181万6785円(税別)
>> Lamborghini Urus Performante
<文/小川フミオ>
オガワ・フミオ|自動車雑誌、グルメ誌、ライフスタイル誌の編集長を歴任。現在フリーランスのジャーナリストとして、自動車を中心にさまざまな分野の事柄について、幅広いメディアで執筆中
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- Original:https://www.goodspress.jp/reports/485318/
- Source:&GP
- Author:&GP
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