【達人のプラモ術】
ウルフパックデザイン
1/48 SH-60B シーホーク
HSL-51 'ウォーローズ'
(プレミアムエディション)
03/04
SH-60B シーホークの製作もいよいよ佳境、今回は機体の塗装です。(全4回の3回目/第1回目、第2回目)
長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTubeでは「プラモ作りは見てナンボです!@Modelart_MOVIE」も配信中。
■迷人的には大好物な模型映えする派手なカラーリングとマーキング
機体自体はアメリカ海軍の戦闘機と同様のロービジ(グレー系色で塗装することにより、曇り空や霞んだ空に溶け込み上空での見分けがつきにくくする事を目的とした低視認性迷彩)塗装なので、機体は明度の違うグレー2色で塗分けられています。
ぶっちゃけ現用機のほとんどはロービジ塗装で、部隊マークにしてもパイロットのヘルメットだって派手なカラーを禁止されているので、模型的に地味! 華がない! いやまぁもちろんロービジ塗装も奥が深いんですけどね。
個人的には、派手な塗装というか艶やかなマーキングが大好きなんですよ。今回のHSL-5 ウォーローズは米海軍のヘリ部隊の中でもダントツに派手さを誇っていた部隊のCAG機ですからね。
厚木をベースにしていた部隊だけあり、機体自体は通常のロービジ塗装ですが、真っ赤に塗られたテールブームには旭日旗をベースに富士山、さらに垂直尾翼には宮本武蔵、水平尾翼には歌舞伎の隈取をイメージした目が描かれており、ロービジ塗装を台無しにするハイビジ塗装になっております(笑)。
派手なカラーリングとマーキングは模型映えすることもあって大好物な機体です。
■ロービジ塗装はメリハリをつけるのがポイント
機体の基本塗装は、サーフェイサーの下地塗装→黒によるパネルラインへのシェード塗装ののち、下面を「Mr.カラー 338(米海軍FS36495)」、上面を「Mr.カラー 307(米軍FS36320)」のツートーンでエアブラシを使い塗り分けています。
この2色はあまり明度差がないため、一見すると単色に見えてしまうので、上面の307番にわずかに黒を加えて暗めに調色することで2色迷彩であることを強調しています。さらにグレー塗装の乾燥後に排気口周りをつや消しの黒で塗装します。
▲サーフェイサーの下地塗装と黒でのシェード塗装が完了した状態。キャノピー前縁は、胴体との隙間をパテで修正した部分
▲塗装は明るい色から暗い色へと塗り重ねていくのが基本なので、まず下面色のライトグレーを塗装
▲続いて暗めに調色した機体上面を塗装していく
▲上面のグレーをやや暗くしたことで、下面のライグレーとの色の違いが明確になり2色迷彩が強調されている
▲マスキングをして排気口周りを塗装
■赤はデカールに色を合わせて調色
胴体ブームと水平尾翼のマーキングはデカールで再現されていますが、水平尾翼などはデカールの赤と色を合わせた赤で塗装する必要があるので、タミヤラッカー塗料のピュアレッドをベースに明度を調整(下地を白ではなくグレーの「Mr.カラー307」とすることで赤の彩度を落としている)。デカールと色を合わせて塗装しています。
▲テールブームをデカールに合わせて調色した赤で塗装
▲水平尾翼もテールブームと同様に赤で塗装
▲塗装した赤とデカールの赤が違和感なく繋がっているのが分かる
■デカール貼りは楽しい!
キットのデカールはカルトグラフ(イタリアのデカール専門メーカー)製ということもあり、赤塗装の上から白いデカールを貼っても下地が透けることがありません。マークセッター(デカール軟化剤)を併用することで機体のディテールにもよく馴染みます。それにしても機体に色が入る(派手なマーキングを貼る)と楽しいですね。
とは言いながら、グレーのコーションマーク(機体各部の注意書き)には参りました。塗装と同色のグレーなので貼っても溶け込んでしまい見えなくなってしまうんですね。コーションマークもロービジ塗装ということで実機では見えるのでしょうが、1/48ともなると、ほとんど見えなってしまします。
なので目立つ部分以外は貼っていません。デカール乾燥後につや消しクリアーでオーバーコート塗装、塗装とデカールの艶を整え、さらにリアルタッチマーカーのグレーでパネルラインにスミ入れとウエザリングを施しています。
▲カルトグラフ製のデカールは透けることもないので赤の上からでも白がキレイに発色してくれる
▲機体全体のデカール貼り込みが完了
▲マークセッターでデカールを密着させているので、機体表面の凸リベットがしっかりと浮き出ている
▲コーションマーク(注意書き)が機体色と同色のグレーなので、貼ると見えなくなってしまうのが何とも悩ましい
■マスキング剥がしはいつもドキドキ
塗装が完了した時点でキャノピーのマスキングを剥がします。
前回も書いたように、ヘリは戦闘機などに比べて機体の開口部が多いので、エアブラシ塗装で塗料のミストが貼り込みやすく、しっかりマスキングしたつもりでもクリアーパーツの裏側に静電気で付着してしまうことがあるので気を使います。ミストが付着していませんようにと祈りつつマスキングを剥がしていくと…今回は大丈夫でした(喜)。
▲塗装の乾燥後にキャノピーのマスキングを剥がしているところ
▲細かい修正は必要だが、塗装のダストがパーツの裏側に付着することもなく仕上がったキャノピー
▲機体塗装、マーキング、スミ入れが完成した状態。機体上面のウォークウェイ(青味のないグレーの部分)はデカールが付属しているが、色が合わなかったので塗装で再現している
▲基本塗装とマーキング(デカール貼り)が完了した機体
■【今週のオマケ】ド派手な軍用機と言ったらタイガーミート!
ロービジ塗装が主流となった現用機の中で、米軍のCAG機は塗装の派手さを誇っており模型的にも人気が高いのですが、軍用機にあってさらにど派手なカラーリングも存在するんですよ。それが「タイガーミート」(1961年からおこなわれているNATO加盟国の空軍機による合同訓練。参加する航空機が全てトラの柄に塗られている)の参加機であります。
ここでは米軍のCAG機も霞んじゃうような超ド派手なカラーリングの機体を見ることができます。このタイガーミートではアメリカ空軍も頑張っておりますが、派手さではフランスやイタリア、ドイツと言ったヨーロッパ勢の機体が上といいますか…ブッ飛んでおります。
▲タイガーミート塗装を纏ったユーロコプターSA330 ピューマ。ピューマなのに機体は全身これトラ柄です… Photo by Mick Lobb / Puma, 230 Sqn RAF, Waddington. / CC BY-SA 2.0
▲フランス空軍のダッソーラファール。ホワイトタイガーなんですが機体全体がトラの顔、赤い目で睨んでおります… Photo by Bernardo Fernandez copado
▲ドイツ空軍だって負けてない!垂直尾翼に巨大な黒ヒョウ(トラじゃないの?)の目が描かれたパナビアトーネード Photo by Rob Schleiffert
▲こちらはタイガーミート参加機ではないけれど、機体全体にエイリアンを描いちゃったチェコ空軍のミル24ハインド攻撃ヘリ Photo by Javier Rodríguez
さて、塗装とマーキングで一気にカッコ良くなりモチベーションもアップしましたが、今回はここまで。
次回はメインローターや、アンテナ類やバックミラー、MAD磁気探知機といったヘリならではの艤装を取り付けて完成を目指します。お楽しみに!
>> [連載]達人のプラモ術
<製作・写真・文/長谷川迷人>
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- Original:https://www.goodspress.jp/howto/505371/
- Source:&GP
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