【新作完全ワイヤレス一気聴き】
いまや音楽リスニング時の定番となった完全ワイヤレスイヤホン。アップル、ソニー、ボーズといった大手ブランドはもちろんですが、それ以外のさまざまなブランドからも、音質や機能などで特色のあるモデルが日々登場しています。
そんな大激戦となっている完全ワイヤレスイヤホンから、直近数ヶ月に発売された新作モデルを、オーディオ・ビジュアルライターの折原一也氏がまとめて実機テスト。
今回はAnker「Soundcore Liberty 4」、SOUNDPEATS「AIR3 DELUXE HS」、AVIOT「TE-J1」、NUARL「NEXT1L」の4モデルです。
* * *
■Anker「Soundcore Liberty 4」
今やワイヤレスイヤホンでも有名ブランドの仲間入りしたAnkerのSoundcoreブランド。「Soundcore Liberty 4」は同社が“ブランド史上最高傑作”として投入した完全ワイヤレスイヤホンの最上位モデルです。
フラッグシップ機だけあり、現在の完全ワイヤレスイヤホンのトレンド機能てんこ盛り。3Dオーディオ、Anker独自の“ウルトラノイズキャンセリング 2.0” “ヘルスモニタリング”といった多機能っぷり。サウンド面では2基のダイナミックドイライバーを同軸配置する“A.C.A.A 3.0”構成でLDACコーデックによるハイレゾワイヤレス再生にも対応。連続再生時間はイヤホン単体、充電ケース込みで最大28時間再生です。
音質は、量感重視の重低音とハキハキとした高域のダイナミック志向。歌声の音域は弱めで、洋楽向きのセッティングでした。ただ、アプリからEQや聴力と好みで調整できるHearIDなどカスタムできるのが面白いところで、歌声もしっかり聞かせる音にもカスタマイズ可能でした。
▼ここが○
・アプリのHearIDによる音質調整が効果的
・ノイズキャンセルもしっかり働く
・本体操作・アプリ操作など取り回しが優秀
▼ここが×
・デフォルトの音質がかなり洋楽志向
・HearIDのサンプル曲にバリエーションが欲しい
Anker「Soundcore Liberty 4」
対応コーデック:SBC、AAC、LDAC
アクティブノイズキャンセル:◯
外音取り込み:◯
最大再生時間(イヤホン単体):9時間
最大再生時間(ケース込み):28時間
マルチポイント接続:◯
3Dオーディオ:◯
低遅延モード:ー
防水:IPX4
ワイヤレス充電:◯
実勢価格:1万4990円
■SOUNDPEATS「AIR3 DELUXE HS」
Amazon.co.jpを中心としたネット通販で大ヒット中のSOUNDPEATS「AIR3 DELUXE HS」。耳を密閉しないインナーイヤー型の完全ワイヤレスイヤホンという少数派ですが、周囲の音も聞こえる“ながら聞き”という観点でいくと、むしろトレンドとも呼べるモデルです。
7000円台と低価格モデルでありながら、LDACコーデック対応によるハイレゾワイヤレス伝送は貴重な存在。オープン型なので音楽リスニングのノイズキャンセル機能はありませんが、4マイクでのENC通話ノイズキャンセルを搭載。ゲームモードもしっかりしていて、インナーイヤー型で多機能という独自路線です。バッテリー性能はイヤホン本体だけで連続5時間再生、充電ケース併用で20時間です。
カナル型と比べて音質面では不利なオープン型ですが、耳の周りにクリアさとパワフルさを兼ね備えたサウンドです。特に伸びやな歌声の再現性、ズンズンとした量感もある重低音はオープン型らしからぬ再現性。装着感の軽さを最重要と考えた上で、音質も優秀という点は唯一無二です。
▼ここが○
・オープン型とは思えないサウンド
・軽い付け心地で、とにかく快適
・ケース含め小型で持ち歩きやすい
・自然と周囲の音も聞こえて安心
▼ここが×
・ノイズキャンセルがなく騒音下では周囲の音が気になる
・カナル型のようなサウンドの密度感は出ない
SOUNDPEATS「AIR3 DELUXE HS」
対応コーデック:AAC、SBC、LDAC
アクティブノイズキャンセル:ー
外音取り込み:ー
最大再生時間(イヤホン単体):約5時間
最大再生時間(ケース込み):約20時間
マルチポイント接続:ー
3Dオーディオ:ー
低遅延モード:◯(ゲームモード)
防水:IPX4
ワイヤレス充電:ー
実勢価格:7180円
■AVIOT「TE-J1」
日本のイヤホンブランド AVIOTが手掛ける音質志向特化型の完全ワイヤレスイヤホンが「TE-J1」です。カスタムIEM(In-Ear Moniter)に着想を得た金属製ノズルにBAドライバーという構造、新開発の“アドバンスド・ハイブリッドドライバー構成”も音質志向。機能面ではLDACコーデックによるハイレゾワイヤレスにも対応しています。
ハイブリッドアクティブノイズキャンセリングを採用し、筐体の一部をクリアにしたデザインやカスタムIEMを彷彿とさせるフィット感重視の形状はユニーク。付属の充電ケースがレザー仕上げというデザインも目を引きます。連続再生時間はイヤホン本体で最大9時間、充電ケース併用時で最大28時間です。
音質は、美しくクリアな歌声の再現やライブ感ある音場、躍動感があり引き締まった低音、シンバルの金属音も繊細に鳴らすキツくなく美しい高域再現も見事。音楽の魅力を目いっぱい引き出す高音質サウンドです。
▼ここが○
・躍動感と歌声のクリアさを両立した音質
・約2万円という価格に対する音質の満足感
・日本語ガイダンスの作りの丁寧さ
・イヤホンやケースの高級感あるデザイン
▼ここが×
・ノイズキャンセル性能の騒音低減はそこそこ
・着け外し時にタッチ操作が誤反応しやすい
AVIOT「TE-J1」
対応コーデック:AAC、SBC、LDAC
アクティブノイズキャンセル:◯
外音取り込み:◯
最大再生時間(イヤホン単体):9時間
最大再生時間(ケース込み):28時間
マルチポイント接続:◯
3Dオーディオ:ー
低遅延モード:◯(ゲーミングモード)
防水:IPX4
ワイヤレス充電:◯
実勢価格:2万1890円
■NUARL「NEXT1L」
日本のイヤホンブランド NUARLが手掛ける完全ワイヤレスイヤホン「NEXT1L」。“自分音に染まる” 完全ワイヤレスイヤホンとして、初期状態のプリセットを経由しないピュアな音質調整が行える“ピュアダイレクトイコライザー(PDE)”によるカスタマイズ機能が最大の特徴です。LDACコーデックによるハイレゾワイヤレスにも対応しています。
10mm径ライバー“M2 NUARL DRIVER”を搭載で、専用アプリ「NUARL Connect」による5種類の音色チューニング、同ブランド独自のサウンドチューニングも2種類も提供。圧迫感の少ない独自のノイズキャンセリング機能も搭載し、連続再生時間はANCやコーデックで異なりますがANCオフ時が最大約7.5時間、充電ケース併用で約20時間となります。
出荷時の“フラット”設定で音質をチェック。パワーバランスを中低域に置いたライブ感のあるサウンドで、歌声の存在感は欲張らず、音場は広くギターの音のリアルさ、密度感の音を体験できました。重低音も安定感があるため、今どきのダンス系ミュージックにもマッチします。本領発揮はここからさらに“ピュアダイレクトイコライザー(PDE)”による調整になるので、自分で徹底的に音を作り込みたい人向けのモデルです。
▼ここが○
・ライブ感あるフラット系サウンドという新境地
・“ピュアダイレクトイコライザー(PDE)”による音質調整
・圧迫感のない自然なノイズキャンセル
▼ここが×
・ノイズキャンセルの騒音低減効果はやや弱い
・EQによる音質調整のカスタマイズ難易度は高め
NUARL「NEXT1L」
対応コーデック:AAC、SBC、LDAC
アクティブノイズキャンセル:◯
外音取り込み:◯
最大再生時間(イヤホン単体):約7.5時間
最大再生時間(ケース込み):20時間
マルチポイント接続:◯
3Dオーディオ:ー
低遅延モード:◯(ゲーミングモード)
防水:IPX4
ワイヤレス充電:◯
実勢価格:2万9700円
<取材・文/折原一也>
折原一也|1979年生まれ。PC系出版社の編集職を経て、オーディオ・ビジュアルライター/AV評論家として専門誌、Web、雑誌などで取材・執筆。国内、海外イベント取材によるトレンド解説はもちろん、実機取材による高画質・高音質の評価も行う。2009年によりオーディオビジュアルアワード「VGP」審査員/ライフスタイル分科会副座長。YouTube
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- Original:https://www.goodspress.jp/reports/505783/
- Source:&GP
- Author:&GP
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