【達人のプラモ術】
Special Hobby
1/48 ブガッティ 100Pエアレーサー
04/04
いよいよブガッティ100Pの完成です! 機体の製作が間に合わず1940年に開催されたドイチュ・デ・ラ・ムルト・カップへの参戦が果たせなかったブガッティ100Pですが、当時のエアレーサーの中にあって最先端とも言える技術を詰め込んだ機体は、もし完成していたら、もし参戦できていたならどんな活躍をしたのか、当時最速(※)の時速800㎞/hを達成できたのだろうか、といったifを想像すると大いに夢が広がります。今回はそんな思いを込めて、エアレースでパイロンを旋回する100Pを思い描きながらビネットに仕立ててみました。(全4回の4回目/1回目、2回目、3回目)
※2023年現在レシプロエンジン搭載のプロペラ機の最高速度記録は、グラマンF8Fベアキャットを改造、瞬間最大出力4000hpのエアレーサー『レアベア』が1989年に達成した時速850km/h
長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTubeでは「プラモ作りは見てナンボです!@Modelart_MOVIE」も配信中。
■完成した機体は研ぎ出しでピカピカに!
完成した機体は調色した100Pブルー(いま名付けた)で塗装しています。エアレーサーなのでツヤあり塗装で仕上げていますが、今回はデスクトップモデルとして製作しているので、より光沢のある仕様に仕上げたいと思います。
そこで塗装の乾燥後にコンパウンドと3000番のヤスリを使って塗装面を平滑に仕上げる研ぎ出し(注1)をおこなうことで、塗装面をより平滑に仕上げています。つまるところカーモデルの塗装といった感じですね。
飛行機モデルでは、エアライナーを別にすれば、半ツヤやツヤ消し塗装が一般的ですが、今回はエアレーサーということで光沢仕上げが良く似合います(実機もピカピカですしね)。ただしプロペラだけは半ツヤ塗装で仕上げています。
(注1)研ぎ出し…塗装面のザラつきやムラ、あるいかデカールを貼ることで生じるクリアー塗装の段差をなくして、塗装面を鏡面仕上げにするための研磨テクニック(主にカーモデル、バイクモデルで使われる)。今回は800番前後のヤスリから始めて3000番で塗装面を研ぎだして、さらにコンパウンドで磨き上げて仕上げている。
▲塗装面を研ぎ出し中の機体
▲今回研ぎ出しに使用したのはコバックス社製のスーパーバフレックスという研磨シート。柔軟で水研ぎと空研ぎとどちらでも使用できる。グりーンが2000番、グレーが3000番(イエローのみアシレックスの800番)。ネット通販で購入可能
▲スーパーバフレックスで研磨、そのあとにコンパウンドで機体を磨き上げてる状態。コンパウンドは(細め→極細→仕上げ用セラミックコンパウンド)の順番で使用している
▲研ぎ出しをしたことでピカピカに仕上がった機体
▲今回使用したのはMr.ホビーのMr.コンパウンド
▲仕上げに使用しているセラミックコンパウンドのみハセガワ製
■キャノピーとプロペラを取り付けて機体は完成!
大型ですが機体から突出していない、いかにも空気抵抗のなさそうなキャノピーは、丁重にマスキングをしてシルバーで塗装。機体への取り付けの際に曇らないように樹脂系のクリアボンドで接着しています。100Pの特徴でもある二重反転プロペラは、ストレートに組むと機体とスピンナーに段差ができてしまうので、あえて接着固定しています。
▲マスキングしたのち金属感のあるMr.カラー8番シルバーで塗装している
▲キャノピーは透明度が高く歪みもない
▲プロペラは機体側のシャフトで取り付けて回転させられるが、ガタと段差が生じるので接着固定している
▲キャノピーとプロペラを取り付けた機首まわり。コクピット内部が良く見えるので、ブルーの機体にパイロットが良いアクセントになっている
■ビネットベースの製作
展示用の木製台座は、コンパクトなビネットということで15cm×15cmと小さめのものを使っています。こうしたベースは大手の模型店やホームセンター等で扱っています。木製ではなくアクリル製の台座などもあるので、自身の好みで選べばOKです。
木製台座は、軽くサンディングして表面を整えたのち、黒で塗装。鉄道模型で使うパウダーで芝生風の地面を再現しています。最後に機体を支える支柱(5ミリの透明プラパイプ)のための穴を開けておきます。
▲塗装したのちグリーンのパウダーを塗布(薄めた木工用ボンドで接着)
■パイロンタワーの製作
エアレースではお馴染みのパイロンタワー(レースでの旋回ポイント)をベースの上に製作します。しかしながら100Pが参加するはずだったドイチュ・デ・ラ・ムルト・カップのレースの資料が見つからず、実際どんなパイロンだったのか分からなかったので、今回はキットのボックスアートをイメージソースにしています。
パイロンタワーはエアレースではよく見る赤と白のチェッカーで塗り分けられています。形状は鉄鋼のトラス構造にパネルを貼ったシンプルな角柱です。そこで2ミリ角のプラ棒と0.5ミリのプラ板を使い自作しました。サイズはやや小さめにイメージ優先で製作。プラ板の白はそのまま生かしてマスキングで赤を塗装してチェッカー塗装を再現しました。塗装後に控えめにウエザリングを入れています。
▲カットしたプラ板(1ミリ厚)を並べてマスキング。赤で塗装する部分のマスクをカット
▲白い部分はプラ板を活かして赤を塗装していく。透けるのを防ぐため裏側は黒サフで塗装している
▲塗装後に組み上げたパイロンタワー。脚の部分は2ミリ角のプラ棒で製作
▲そのままではキレイすぎるので、スミ入れ塗料の黒で全体をウォッシングして汚れた感じを再現
▲ベースにパイロンタワーを取り付けて完成
■機体の取り付け
ベースにパイロンを取り付けてベースは完成です。最後に、ボックスアートを参考に翼を傾けて、パイロンギリギリを高速でターンしているイメージで100Pの機体をポールに取り付けます。
プロペラを透明プラ板の円盤に置き換えて回転している様の再現も考えたのですが、二重反転を見せたいということもあって、今回はそのままにしています。
いやー、出来上がってみると大型のキャノピー越しのパイロットがいい味出してくれています。当たり前ですが飛んでいる飛行機にはパイロットフィギュアが欠かせませんね。
▲機体を取り付けてブガッティ100Pのビネットの完成
【完成ビネット画像】
■飛行シーンの情景模型が面白い!
今回はミニマムサイズのビネットでブガッティ100Pエアレーサーを製作しました。
久々に飛んでいる飛行機の情景を作ったのですが、やはり楽しいです。飛行機のジオラマはどうしても静の情景になりがちなのですが、飛行状態であれば動きのある情景を再現できます。脚の収納の改造(一部のキットを除き、収納状態での再現が考慮されていないので、そのまま組んでも脚が収納できない。そのため改造工作が必須)が必要にはなりますが、前にも書いたように飛行機は飛んでいる姿がいちばん美しいので、ぜひチャレンジしていただきたいです。
>> [連載]達人のプラモ術
<製作・写真・文/長谷川迷人>
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- Original:https://www.goodspress.jp/howto/514424/
- Source:&GP
- Author:&GP
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