【春の最新ヒット良品&流行モノ ベストバイ】
バイクはもはや“ブーム”とは呼べないほど人気が定着し、老若男女それぞれの楽しみ方でバイクライフを楽しんでいる。そして春の本格的なバイクシーズン到来とともに、数多くのニューモデルが発表。モーターサイクルジャーナリストの青木タカオさんがそれらの魅力を解説!
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春らしくなってくると、現役ライダーはもちろんのこと、まだバイクに乗ったことがない人やリターンを検討中の人も、開放感満点のオートバイで走ってみたいと考える人は少なくないはずです。
昨今は二輪メーカーも活気づき、ニューモデルが続々登場。その背景には好調なセールスがあり、年間販売台数は40万台の大台を突破し、24年ぶりに排気量251cc以上で6万台を超える出荷(日本自動車工業会発表)を記録。免許取得者数も前年比増が続くなど、バイクブームの勢いはとどまることを知りません。そこで今回は、発表されたばかりの新車やこれから発売を控えるモデルを先に紹介ましょう。
ネクストヒットモデルの筆頭はニンジャZX-4Rで、早くも歴史に名を刻む名車と世界中のバイクファンが熱視線を送っています。というのも、搭載するエンジンは新開発のヨンヒャク4気筒! 実は普通二輪免許の上限が400ccであることから隆盛を極めたこのクラスですが、世界的に見れば日本だけの排気量区分であり“ガラパゴス化”しているのが昨今の実情でした。大型二輪免許が1996年9月から教習所で取得できるようになり、二輪車市場も世界中に拡大する中、悲しいかなヨンヒャク4気筒は絶滅危惧種となっていたのです。
そこへきての、カワサキからのビッグサプライズ。しかもラムエアインテークシステム搭載で、エンジンは1万5000回転を超える超高回転型。そして最高出力はなんと80馬力! 前代未聞の超ド級エンジンですから、ファンが歓喜の声を上げずにはいられません。秋に向けて国内導入予定で、争奪戦必至です
秋まで待てないという人には、今春登場のホンダCL250があります。四輪でも車高が上がってタフなイメージのSUVが人気を集めますが、その二輪版と言えるでしょう。セミブロックタイヤを履き、アップマフラーでダートも走れる予感。1962年のCLスクランブラーをオマージュしているため、ベテラン層のハートも鷲掴みにしています。
そしてハーレーは、伝統のVツインエンジンを1923ccにまでスケールアップした新型ブレイクアウトをリリース。“大人の不良”を感じるセクシーなロー&ロングスタイルで街を流せば、必ずや一目置かれることでしょう。
モーターサイクルジャーナリスト 青木タカオさん
バイク専門誌編集部員を経て二輪ジャーナリストに転身。世界各国を飛び回り、メーカー・タイプ問わずあらゆるバイクに精通。詳しくない人にも分かりやすい文章に定評がある
【NEXT HIT】
■80馬力超えのヨンヒャク4発が今年の主役!
’80年代のレプリカブームを知るベテランも、これを機にリターンする人が急増するはず! 青春をもう一度!!(青木さん)
Kawasaki
「Ninja ZX-4R」(価格未定)
コストが膨大にかかることから、新開発されることはもう二度とないと囁かれていた4気筒400ccエンジン。それをやってのけ、しかも長兄ZX-10R譲りのラムエアインテークまでも搭載と、カワサキの姿勢に妥協は一切なかった! カラー液晶パネルが専用アプリを介してスマホとリンクするなど最新装備も満載!!
※海外発表モデルなので、国内モデルとは仕様が異なる可能性があります
▲スポーツ、ロード、レイン、マニュアル設定のライディングモードがメーターディスプレイを見ながら切り替えできる
▲カウルのど真ん中にダクトを設け、走行風をエンジンへ送り込みハイパワーを発揮するラムエアはカワサキの十八番!
▲クラス唯一の4発は鍛造カムシャフトを採用するなど妥協なき作り込み。史上最強のヨンヒャクと早くも呼び声高い
■低く構えたグラマラスボディに最強Vツイン搭載
1923ccはハーレーでも最大の排気量! ダッシュで強烈なビッグトルクを味わっていただきたい!!(青木さん)
Harley-Davidson
「BREAKOUT 117」(326万4800円〜)
フロントに大径21インチのアルミホイールを履き、せり上がるフロントから流麗なラインを描きつつ、240mmの極太タイヤを備えるテールエンドへ至るシルエットがなんと美しいことか。新型は伝統のVツインエンジンをさらに強力にし、タンク容量を13.2→18.9Lへ拡大。パワーも航続距離もアップした。
▲V字に45度開く伝統の2気筒からエレメントを剥き出しにエアを効率良く吸い込むエアクリが飛び出し、見た目にも迫力満点!!
▲車体から満ち溢れんばかりの240mm極太タイヤが、加速時には路面を蹴り飛ばす。重低音サウンドもファンを魅了する
■ストリートバイクのカスタムトレンドを反映
レトロモダンな装いはストリートに似合うのはもちろん、ダートへの冒険やソロキャンの相棒にもピッタリ!(青木さん)
Honda
「CL250」(価格未定)
トコトコと低回転から粘り強くトルクを発揮するシングルエンジンを心臓部とし、フレンドリーで扱いやすいと人気爆発のレブル250がベース。サスペンションの動きをしなやかにし、フラットシートやアップマフラーといった’60年代のスクランブラースタイルに仕立て上げ、カスタムトレンドを存分に採り入れた。
▲ヘッドライトはレトロな真ん丸ケースなものの、LED4基が内蔵され、現代的なフロントマスクを演出している
▲内部をシンプルな2室構造としたマフラー。排気音を確認すると、歯切れのよい乾いたサウンドを奏でる
■まだまだあるぞ!期待のニューモデル
ヒットの予感がしてならないモデルがまだまだワンサカあるのが今シーズンの新型バイクラッシュ! 創立100周年を迎えたBMWは全世界1923台の限定車を発売し、マニアでなくとも喉から手が出るところ。伝統のボクサーツインエンジン搭載のR nineT 100 Yearsは、光沢のあるブラック塗装に白の二重線で縁取られた燃料タンクとホイールカバーを採用し、クラシカルなイメージを強調するクローム仕上げだからもうファンはたまりません!
個性豊かで中毒性のあるスズキからも強烈なストリートファイターがデビュー間近。GSX-8Sの並列2気筒エンジンは776ccと中途半端な排気量に感じますが、実はミドルクラスと呼ばれる根強い人気のあるカテゴリー。持て余すことがないとベテラン層を唸らせ、大型ビギナーにも扱いやすいです。
ヤマハからはバイクでは世界初となるユニファイドブレーキシステム(UBS)を搭載したトレーサー9GT+が登場。前走車と一定の車間を保って追従走行するだけでなく、ブレーキ制御もより緻密なものに。電脳化を加速させています。
GB350やZ900RSといった大ヒットモデルも健在で、何がいいかと考えるだけで楽しくて仕方がありません!
【NEXT HIT】
■1世紀の重みを感じる高級感とハイセンス!
限定1923台のワケは、航空機の製造からスタートしたBMWが最初のバイク「R32」つくったのが1923年だったから(青木さん)
BMW
「R nineT 100 Years」(284万6000円〜)
クラシカルな雰囲気と現代的エッセンスを融合させ、レトロモダンなカフェスタイルでシーンを牽引する立役者。左右に張り出したボクサーツインエンジンこそBMWの特権で、タンクには100周年エンブレムが誇らしげに備わる。
▲シリンダーが左右に張り出すボクサーツイン。左右のピストンが重いパンチを繰り出しながら走る感覚が味わえる
▲カフェレーサースタイルのシングルシートカウルに憧れるライダーも多いはず。まさか標準装備とは思いもよらず
■軽快感の中にアグレッシブな面構えとマッシブさ!
スリムでコンパクトなミドルクラスは、ツウなライダーにも一目置かれる存在。見栄など張らない実力主義の貴方に(青木さん)
Suzuki
「GSX-8S」(価格未定)
LED縦2眼ヘッドライトは、スズキらしいアグレッシブなフロントマスク。若干の前傾姿勢をもたらすバーハンドルで、やる気満々なクラウチングスタートで襲いかかるストファイスタイルとしている。見た目だけでなく、新作エンジンも独自のクロスバランサーで振動を抑えパワフルそのもの。軽快な走りを実現。
■レーダー連動ブレーキ制御でワンランク上の前車追従へ!
快適性や安全性を飛躍的に向上する電子制御デバイスは四輪で先行しますが、バイクだって負けていません!(青木さん)
Yamaha
「TRACER9 GT+」(価格未定)
前走車との車間距離を自動調整する追従型のアダプティブクルーズコントロールはすでにバイクでも採用されていたが、ミリ波レーダーと6軸IMUから得た情報で前後ブレーキを制御するUBSは初めて。加速度や傾斜角に合わせて前後の制動力を配分し、タイヤの滑りも抑制するという超電脳派へ進化している。
【BEST HIT】
■Z1をモチーフにしたカワサキ伝統のスタイリング
集合マフラーが低く厚みのある排気音を奏でるのは、カワサキ初の排気系サウンドチューニングが施されたため(青木さん)
Kawasaki
「Z900RS」(143万円〜)
“売れているバイク”の大本命。もっと大排気量で性能や装備がスゴい機種は沢山あるものの、なぜこんなにも売れるのか…!? 往年のZへの憧れから入る人もいるが、Z900RSに乗ればビッグバイクに求める願いを全て満たしてくれるのが人気の秘訣。充分すぎる性能に堂々たるスタイルで、言うことなし!!
■正統派スタイルで大人気!
弾けるような歯切れのいいサウンドも人気の秘訣で、鼓動を感じながらゆったりとツーリングしていただきたい!(青木さん)
Honda
「GB350」(55万円〜)
シンプルな鋼管スチール製フレームにシリンダーが直立した空冷単気筒エンジンを搭載し、温かみのあるカタチのタンクやベーシックな丸型ヘッドライト、オーソドックスなツインショックなど、これぞ単車と言わんばかりの普遍的なフォルムと低価格がウケて大ヒット。シフトペダルがシーソー式であることも熟練は絶賛する。
■その手があったか!125の車体のまま160ccまで拡大
車重を増やさず排気量は右肩上がり。合法的裏ワザで市街地をスイスイ走れば、やみつきになる身のこなしの軽さです(青木さん)
Honda
「PCX160」(41万2500円)
原二スクーターの人気を牽引するPCXは言わずと知れたヒットモデルだが、兄貴分の160もまた引っ張りだこ。大径14インチのフロントホイールを履き、安定感抜群の車体だから高速道路が走れるようになっても快適で俊敏なのは変わらない。ビグスクにはなかったコンパクトさで、都会の快速王の座を欲しいままに。
■最新技術で往年の英国車が現代にそのまま復活!
イギリスで誕生し、現在はインド資本下。ホンモノのレトロテイストが味わえると、世界中のバイクファンが注目しています(青木さん)
Royal Enfield
「Classic 350」(69万4100円〜)
ロングストロークの空冷単気筒エンジンをタイムスリップしてきたかのようなヴィンテージルックの車体に搭載。英国の旧車らしさを完璧なまでに現代に蘇らせたから頭が下がる。排ガス規制の影響からロングセラーのヤマハSRが絶版となり、ポッカリあいた穴もクラシック350なら埋めてくれそうだ!
※2023年3月4日発売「GoodsPress」4月号62-65ページの記事をもとに構成しています
<文/青木タカオ>
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- Original:https://www.goodspress.jp/features/520257/
- Source:&GP
- Author:&GP
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