ソニーの最新フラッグシップスマートフォン「Xperia 1 V」が発売されました。価格はドコモ版が21万8680円、au版が21万240円。ソフトバンクはゲーミングギア「Xperia Stream」を同梱するGaming Editionとして発売し、19万8000円となっています。なお、ソニーが直販するSIMフリーモデルは7月14日に発売予定で19万4700円となっています。
■キャリア向けモデルとSIMフリーモデルの違いは?
ちなみにキャリア向けモデルとSIMフリーモデルの違いは4つ。
まず、キャリア向けはRAM 12GB/ROM 256GBですが、SIMフリーはRAM 16GB/ROM 512GBです。
次に、キャリア向けは5Gのミリ波に対応していますが、SIMフリーはSub 6のみ。ただし、SIMフリーのほうが多くの周波数帯に対応しているので、キャリアを乗り換えても不便なく使えます。
ほかにも、キャリア向けはFMラジオを搭載、SIMフリーは「カーキグリーン」という特別色を選べる、といった違いがあります。なお、キャリア向けモデルもSIMロックはかかっていないので、格安SIMで使うこともできます。
▲カラバリはブラック、プラチナシルバー、カーキグリーン(SIMフリー特別色)の3色
■サイズ感はそのままに、ボディの質感を向上
Xperia 1 Vは、約6.5インチの4K(3840×1644)ディスプレイを搭載しています。画面の縦横比は21:9で、大画面ながら片手で操作しやすいことが特徴。実際に手にしたホールド感や操作感は、Xperia 1シリーズの従来モデルと変わらない印象。
▲横幅は約71mmと細いので、片手でも文字入力や画面スクロールがしやすい
大きく印象が変わったのがボディの質感。背面はガラスですが、細かいドットの模様が施され、滑りにくい仕様に。サイドフレームには細かいストライプの溝があり、縦方向には指をスーッと動かせるが、横にはずれない仕組みです。さらに、カメラボタンは手触りだけでわかる加工が施されています。
▲写真ではわかりにくいが、背面パネルのガラスには細かいドット模様があり、テクスチャー調にするという手の込んだ加工が施されている
▲右側面に音量ボタン、電源ボタン(指紋センサーを兼ねる)、シャッターとして使えるカメラボタンを搭載
▲上部には3.5mm穴のイヤホンジャックも備える
▲底部にUSB Type-Cポートと、nanoSIMとmicroSDを装着できるスロットを搭載。なお、eSIMにも対応している
■デジタル一眼カメラに迫る撮影画質を実現
Xperia 1 Vの最大の特徴はカメラ。背面カメラは超広角+広角+望遠の3眼ですが、メインの広角カメラに新たに開発された「Exmor T for mobile」というイメージセンサーが搭載されています。前モデルに比べて約1.7倍の大きさで、効率よく光を取り込む仕組みで、有効画素数は1200万画素から4800万画素に増え、4つの画素を1つの画素として結合させて明るく撮影できるようになっています。
▲上から超広角(1200万画素/F値2.2/16mm)、広角(4800万画素/F値1.9/24mm)、望遠(1200万画素/F値2.3-2.8/85-125mm)の順に並ぶ
実際に撮影してみると、非常に明るくナチュラルな色で写りました。特に、新型センサーの優位性を感じられたのが夜景の撮影画質。ただ明るく写るだけではなく、立体的で奥行きが感じられる写真が撮れました。
▲屋外で撮影した作例。スマホカメラのAIは色が鮮やかになり過ぎることがあるが、Xperia 1 Vはナチュラルな色合いで、バランスのよい明るさで写った
▲花を撮影した作例。ナチュラルな背景ボケは、カメラ専用機に匹敵
▲夜景の画質は、スマホのカメラではトップクラスの印象
▲ソニーが開催した体験会で撮影。暗い場所で、Xperia 1 V(左)とiPhone 14 Pro(右)で撮り比べてみた。Xperia 1 Vのほうが人物が明るく、背景の物も鮮やかな色で写った
なお、超広角カメラは1200万画素で、焦点距離16mm(35mm換算)での撮影が可能。望遠カメラも1200万画素で焦点距離85mmから125mmの範囲での光学ズーム撮影を行えます。
▲16mmで撮影
▲24mmで撮影
▲85mm(約3.5倍)で撮影
▲125mm(約5.2倍)で撮影
▲デジタルズームは最大300mm(12.5倍)で撮影可能
静止画は「Photography Pro」、動画は「Videography Pro」という専用アプリで撮影します。それぞれ一眼レフカメラやビデオカメラのような細かい設定が行えることが特徴ですが、Xperia 1 Vからは、これらのアプリが縦表示にも対応しました。スマホのカメラでは縦向きの写真や動画を撮る機会も多いので、より便利になった印象を受けました。
▲左が「Photography Pro」、右が「Videography Pro」の画面。縦向きでの撮影用のUIが追加された
それぞれのアプリに「クリエイティブルック」という機能も追加されました。より印象的な写真や動画に仕上げるための色設定で、ソニーのデジタル一眼カメラ「α」に搭載されいえる機能を移植したもの。色合いが大きく変わるわけではないので、鮮やかさを少し強めたい、やや抑えた色合いにしたいといったときに、積極的に活用できそうです。
▲「クリエイティブルック」の設定を変えた撮り比べた作例
「Videography Pro」には「S-Cinetone for mobile」という機能も追加されています。動画の撮影時に、人物の肌の質感をきれいに撮影できる機能です。メディア向けに開催された体験会で、女性モデルを撮ってみましたが、顔の肌がナチュラルに補正されることを実感できました。
▲「S-Cinetone for mobile」をオンにして撮った動画からのスクリーンショット。動く人物をフォーカスが追尾し、人物の肌が常にきれいに撮影された
▲「Videography Pro」は動く被写体の瞳にピントを合わせる「瞳AF」にも対応。人物だけでなく、ペットの目にもピントが合った
なお、「Videography Pro」には、商品レビュー用のフォーカス設定も追加されました。これをオンにすると、通常は自動で顔にピントを合うところが、人物が手に持つ商品にフォーカスが優先されてようになります。
▲商品レビューをオンにすると、人物の顔ではなく、商品にピントが合うようになる
■内蔵スピーカーもパワーアップ
Xperia 1シリーズは、音響性能にも定評があります。他メーカーのスマホと比べて、大きなアドバンテージとなっているのが内蔵スピーカーの音質。
Xperia 1 Vは、従来モデルと同様に、ディスプレイの左右にスピーカーを配置しています。これによって、左右のバランスが取れた音が前方に広がる仕組み。Xperia 1 Vには、前モデルに比べて、より低ノイズで、低音域の表現を高めたという新しいスピーカーアンプが搭載されたとのこと。
前モデルと音を聴き比べてみると、ダイナミックでありながら、ノイズが少ないクリアな音質に進化していることを体感できました。ボーカルや楽器音が明瞭にきこえるので、映画や音楽のライブ映像を楽しみたい人にも向いていそうです。
▲Xperia 1 Vの体験会で、外部音を遮断した空間で、前モデルのXperia 1 IVと聴き比べた。Xperia 1 IVも十分すぎるほどキレイな音質だが、Xperia 1 Vでは低音がさらにダイナミックになり、音の雑味がなくなったようにも感じられた
■性能充実の人は、購入を検討する価値アリ!
プロセッサーは、現行機種向けでは最高峰といえるSnapdragon 8 Gen 2。RAMは12GB(SIMフリーモデルは16GB)あり、ハイスペックらしく、サクサクと操作できます。
▲ゲームを快適に楽しむための設定を行える「Game enhancer」という機能も搭載
バッテリー容量が5000mAhで、筆者が使った範囲では、さほどヘビーに使わなければ2日は持ちそうな印象。
▲省電力で電池を長持ちさせる「STAMINAモード」、充電時のバッテリーへの負担を軽減して電池の寿命を長くする「いたわり充電」機能も搭載
Xperia 1 Vは、実際に使ってみると、高性能ながら使いやすく、これといった欠点は見当たりません。購入を決めるにはちょっと勇気が要る価格ですが、カメラ性能にこだわる人や、音楽や映像コンテンツを存分に楽しみたい人は満足できること請け合いです。
<取材・文/村元正剛(ゴーズ)>
村元正剛|iモードが始まった1999年からモバイル業界を取材し、さまざまな雑誌やWebメディアに記事を寄稿。2005年に編集プロダクション「ゴーズ」を設立。スマホ関連の書籍・ムックの編集にも携わっている。
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