幻のシール『謎のジパング伝説』って覚えてる?中野にある「謎の店」とのコラボで復活するぞ!

先日、シリーズ最新作の第36弾が発売されて話題を集めた『ビックリマン』を筆頭に、1980年代〜1990年代初頭にかけて一大ブームを巻き起こした“おまけシールカルチャー”。当時のシーンはまさに玉石混交。多種多様のシールが続々と現れては消えていった中で、一部のシールコレクターから熱狂的人気を誇るシールが存在した。その名は『謎のジパング伝説』。

▲JR中野駅から徒歩数十秒の線路沿いにある謎の店。ここはアパレルブランド、サンダーボックスの旗艦店

そんな幻のシールが、全ての駄カルチャーを愛する唯一無二のアパレルブランド、サンダーボックスの旗艦店「謎の店」のオープン8周年を記念してこの夏、別注コラボレーションを実現させたという。そこで全国のシールコレクターたちの注目を集める本コラボレーションの全容と詳細を知るべく、“サブカルの街”中野に居を構える同店を急襲。サンダーボックスのデザイナーである森田氏に直撃取材を敢行した。

■「謎の店」別注カラーシール8種とスペシャルボックスがセットに!

▲「謎のジパング伝説 -秘蔵版-」(8800円)

―そもそも、どういった流れで『謎のジパング伝説(以下、ジパ伝)』と謎の店のコラボが実現したんですか?

森田 昨年、G×Sさんという方からお声がけ頂いたのがキッカケです。この方が以前所属されていたのが上海鑑定団というお店で、2015年にジパ伝の復刻プロジェクトを実現させたことでシ―ルコレクター(以下、シルコレ)の間でも話題になっていたんですよね。で、そのG×Sさんが周りのシールコレクターの方々と、「ジパ伝を謎の店と“謎繋がり”で何か出来たら面白いんじゃないか」とSNSを通じて盛り上がったということで、「実現させませんか?」とメールを頂いて。

―サンダーボックスとしては、グリーンハウスがデザインを担当した広洋産業という福祉機器メーカーとのコラボで、同社イメージキャラであるラビッティとラビリンをモチーフに、アパレルやショッピングバッグを作っているので、実質グリーンハウスとのコラボは2回目ですね。そこからはトントン拍子で進んだのですか?

森田 実は最初に打診いただいた際に、まだ僕らもこのコラボの中で“謎の店感”をどうやって表現するのかが不安な部分もあったので、一度その辺りを揉んでもらうという話になりまして。そこから何ヶ月間か空いて、アイデアも固まったということで二度目のオファーをいただいて。

―森田さんは、ジパ伝に思い入れってあったんですか?

森田 リアルタイムで通っていなかったこともあって、あまり知らなかったんです。同じくグリーンハウスさんがデザインを手掛けていた「ビックリマン」はもちろん、リアルタイムでメチャクチャ通ってきたんですが、そちらは全くで。そういった部分も最初に「コラボしちゃって大丈夫かな?」と不安になった一因としてありました。僕の場合、コラボするのなら絶対に自分の体内にインプットしてからじゃないとダメなタイプなんです。なので、事前にG×Sさんから資料をもらって読み込むところからスタート。作品の世界観やキャラクターデザイン、当時どういうムーブメントだったのかまで全てを把握した結果、「これならイケる!」と内なる自分からGOサインが出たのと、“謎繋がり”のネーミングもコラボの文脈としてめちゃめちゃハマっていると感じたので、話をお受けしてコラボレーションに向けて動き出しました。

―そこからサクサクと進んでいったんですね。

森田 そうですね。二度目のオファー時にはキャラクターのラインアップやカラーリングも決まっていたので、あとはそこに当時のレトロ感を表現したスペシャルボックスをセットにして、謎の店が今年オープン8周年なので、8月8日の午後8時に8枚セット8800円の“8並び”で「謎のジパング伝説 -秘蔵版-」としてリリースしよう! とコンセプトも確定して。ジパ伝のキャラクターデザインを手掛けたグリーンハウスの代表である米澤さんの了承をG×Sさんが得ながら、段階を踏んで進めていって。なので、プロジェクトのスタートからこうして形になるまでには、かなりの時間を費やしました。

―なるほど。では早速、本コラボレーションの主役であるシールについて教えてください。

森田 ラインアップは「ゴッド王」「ピーコックィーン」「サンキング」「黒魔王」「美緑クィーン」「流魔王」「カルラ王」「零魔王」の8種類。これらを謎の店別注カラーでセット販売します。シールに関しては、G×Sさんにコメントをいただいています。「20周年の復活プロジェクトで使用されなかったお蔵入りカラーと初期カラーをベースに、謎の店のコンセプトとカラーを融合させました。8周年記念にちなんで別注の際に使用されている蛍光グリーン“ミステリアススライムカラー”や、箔押し加工といった新たな表現を取り入れつつ、レトロ感やノスタルジーを感じられるようバランスを意識しました。写研の書体からもコンセプトが伝わると幸いです」(G×S)。

▲「ゴッド王」「ピーコックィーン」

▲「サンキング」「黒魔王」

▲「美緑クィーン」「流魔王」

▲「カルラ王」「零魔王」

▲謎の店の歴代別注アイテムで使用されてきた“ミステリアススライムカラー”が落とし込まれているのが分かる

▲大和天界と地魔界、それぞれの世界に住む神々をシールに。キャラセレクトにもこだわりが光る

―コラボならではの仕様であることがよく分かりました。しかも今回はスペシャルボックス入りだとか。

森田 シールもさることながら、これが本当にヤバいんです! ボックスもまた“奇跡”のグリーンハウスさんデザイン! しかもファミコンソフトの箱と同サイズなので、初めてソフトを手にした時のワクワク感のような湧き上がる気持ちもあって、泣けてきますね。ちなみに、僕らがハードオフとのコラボで製作したミニコンテナボックスにもピッタリ(笑)。

▲ファミカセサイズのスペシャルボックスは、裏書までバッチリと当時の空気感が再現されている

▲謎の店とハードオフとのコラボ時にリリースされた別注コンテナボックスにもシンデレラフィット

―今回はシールももちろんですが、「黒魔王」をモチーフしたコラボアパレルも見どころです。進めていく中で大変なところってありましたか?

森田 グリーンハウスさんから頂いた条件をクリアするために、使用するのは1キャラクターかつ、デジタルデータが存在しないためオリジナル版は難しく、20周年のタイミングで登場したキャラに限定。その中で“クリーチャー系のキャラにしよう”っていうのは最初から決めていました。

―普通なら『ビックリマン』の「スーパーゼウス」に相当する「ゴッド王」を選ぶのが定石ですよね。そこを選択肢からハズしたのはなぜ?

森田 そこはシンプルな話で、『ビックリマン』だったら「ヘッドロココ」よりも「魔性ネロ」の方が好きなんですよ、僕は。そういう視点で全キャラクターを見ていった時に、圧倒的にクールだと感じたのが「黒魔王」でした。ネーミングとビジュアルの両方を兼ね備えつつグリーンハウス節がしっかり効いていて。使用許諾を頂いて米澤さんからイラストデータが直接届いた瞬間、「神様からデータが届いた!」ってめちゃくちゃテンションが上がったし、シビれました!

―アパレルに関してはG×Sさんを通さず、グリーンハウスと直接のやり取りだったんですね。

森田 すごくイイ経験になった反面、今までないくらい緊張しました(笑)。

―ですよね(笑)。で、そこからはアパレルのグラフィックとしてデザインする作業に入っていくと。今回はフーディ、Tシャツ(黒ボディ、白ボディの2種)、キャップ、ピンズを展開しています。

■グラフィティアートとレトロポップなイラストとのギャップにグッとくる!

森田 米澤さんから頂いたデータをモノクロの線画にして、ロゴはマイメンで自作シール作家であるユリ・ゲ郎くんにお願いしました。彼は僕と同い年で、自作シール界隈の中でもアートとしてのアプローチが際立っており、異彩を放っている存在なんですよね。ヨンパチ(48mm四方の正方形を指し、『ビックリマン』など、おまけシールの定番サイズ)のフォーマットからいち早く抜け出したすごく好きなアーティストで、グラフィティのストリートカルチャー的空気感も説明せずとも理解してくれるなって。

▲コラボアパレルのメイングラフィック。グラフィティアート調にデザインされた『謎のジパング伝説』ロゴは、その名も“謎のジパング伝説グラフィティ”。手掛けたは、森田さんのマイメンであるユリ・ゲ郎氏

―グリーンハウス絵×グラフティアートというと、2000年に発行された『MONSOON EP』のヘッドロココの線画×グラフィティロゴがデザインされた表紙を思い出します。

森田 ルーツはやっぱりソコなんですよね。ユリ・ゲ郎くんと最初に飲んだ際にも、その原体験によって、“おまけシール=格好イイ”と価値観が180度変わったみたいな話になって。彼もめちゃくちゃソコに共感してくれて、「彼なら間違いない!」と確信し、今回の話に繋がったと。

―なるほど。スケシン(スケートシング。裏原宿カルチャーを表から裏から支えて牽引したデザイナー/グラフィックアーティスト)チルドレンが惹かれあったと。デザインテーマがあれば、教えてください。

森田 最近“マインドグラフィティ”といって、自分の中にある衝動をストリート的に解釈するというコンセプトでアイテムを展開していて、今回はそれを落とし込んで「黒魔王」の服を作るにあたって、「漢字とカナカナという日本ならではの文字で構築されたジパ伝のロゴをグラフィティアートにするのも格好いいよね」と話していたら、上がってきたのがあの感じで「まさにコレじゃん!」みたいな。

―グリーンハウス的には、その辺りはすぐOKが出たんですね。

森田 いえ、苦戦はしました(笑)。ですが熱意が伝えられたかどうかは分かりませんが出来る限りのプレゼンをさせて頂き、どうにかご理解を得ることが出来た結果、今回のグラフィックを使った4アイテムが実現しました。

―熱意が伝わったと。では、各アイテムについて教えてください。まずは「黒魔王TEE」。

▲「黒魔王TEE」(ブラック)7150円。フロント胸にクリアポケットを配し、ロゴがプリントされている

▲背面にはメイングラフィックがドン!と。漆黒のボディに浮かび上がる純白のイラストが実に凛々しい

▲胸には48mmシールが収まるクリアポケット。ロゴプリントが嬉しい

▲バックには“謎のジパング伝説グラフィティ”と「黒魔王」をレイアウトしたメイングラフィックがあしらわれている

▲「黒魔王TEE」(ホワイト)7150円。基本的にデザインはブラックVer.と一緒

▲背面。ボディカラーがホワイトになることで、シャープな線画がより際立つ

森田 ボディカラーはブラックとホワイトを用意しました。厚手の6.2オンス生地を使用し、“謎のジパング伝説グラフィティ”がデザインされたフロントのクリアポケットには、お気に入りのシールが入ります。バックは「黒魔王」と“謎のジパング伝説グラフィティ”の融合で、キャラクターを知らずともカッコイイと思える仕上がりを目指しました。オリジナルのTマークガムゼリー(コーラ風味)Ver.の48mmシールが付属します。

▲Tシャツには、オリジナルのTマークガムゼリー(コーラ風味)Ver.の48mmシールが付属

▲胸のクリアポケットにはこのように収まる。もちろんお好きなシールに入れ替えてもOK

―シルコレにはたまらないギミックですね。続いては「黒魔王HOODIE」。

▲「黒魔王HOODIE」1万5400円。ボディは12.7オンスのヘビーウェイト裏パイル仕様。フロントには「黒魔王」のグラフィックをプリント

▲背面には大きくシールの縁デザインのみをプリント。ユリ・ゲ郎氏の作品にも通ずるアイデア

▲縁デザインのみをプリントすることで、まるでキャラがシールから飛び出したかのようなイメージを表現

▲袖には「黒魔王」のロゴ文字を刺繍。チャンピオンのスウェットでCマークが入るのと同じ位置というのも、裏原宿世代のストリートマナー

▲フード部分には“謎のジパング伝説グラフィティ”をプリント。被っても被らなくてもクールだ

森田 ボディは12.7オンスのヘビーウェイト。通常よりも太い糸を編み込んだ裏パイル仕様で、重厚感のある佇まいながら、着心地はフンワリ。フロントには「黒魔王」。バックにはシールの縁デザインのみをプリントすることで、シールから抜け出してきたようなイメージに仕上げました。また、袖口部分には黒魔王ロゴの刺繍を、フード部分にはグラフィティロゴが入ります。

―このフード部分のプリント位置も、かなり考えられていますね。

森田 最初、天地をどっちにするかすごく悩んだんですが、フードを被っていない津常時で文字が読めた方がいいなと思ってコチラにしました。目深に被った際に良い位置にプリントがくるので気に入っています。

―そして「黒魔王CAP」も見逃せません。

▲「黒魔王CAP」6600円。年齢性別を問わず合わせやすい6パネルキャップがベース。フロントに「黒魔王」のネームロゴをプリント

▲背面は謎ロゴを刺繍したシンプルな仕上がり。ストラップでサイズ調整が可能だ

森田 グリーンハウスさん特有の立体ロゴの魅力を全面に押し出すべく、ストレートに黒魔王ロゴを配置した6パネルのキャップです。バックは謎ロゴが刺繍され、ベルトでサイズ調整も可能。

―あえてキャラをデザインしないというのも玄人好み。大人世代でも被りやすそうです。そしてコラボコレクションの最後を飾るのが、「黒魔王PINS」!

▲「黒魔王PINS」1430円。「黒魔王」が印刷されたシールと同サイズの台紙に、ロゴを1/1サイズで再現したピンズをセット

森田 これもキャップ同様に、グリーンハウスさん特有の立体ロゴの魅力をどう活かすかと考えた結果、シール実物大の黒魔王ロゴをダイキャスト製法でピンズに。キャラと名前はイジらずにセットというのが基本レギュレーションとしてあったので、その上で“謎のジパング伝説グラフィティ”と組み合わせたメイングラフィックと対になるイメージで、キャラが印刷された48mmシールサイズの台紙にセットしての販売です。これもTシャツの胸ポケットに入れて楽しめます。

―先述したフーディーのバックプリントと同様に、“ヨンパチシールから飛び出す”というギミックが一貫されています。これらはユリ・ゲ郎さん発案ですか?

森田 アパレルのデザインに関しては僕が主体で考えました。シールについては好意的な反応が多かったけれど、正直アパレルは“服としての格好良さを優先させている”デザインなので、シルコレの方々に受け入れてもらえるか心配な部分はあります。ただ、僕自身もおまけシールのカルチャーが好きでリスペクトを込めて作っているので、ジパ伝ファンと謎の店ファンの両方に気に入ってもらえたらうれしいです!

―最後に、今回のコラボコレクションの販売方法を教えてください!

森田 最初にお伝えしたように「謎のジパング伝説 -秘蔵版-」に関しては、8月8日(火)の午後8時にG×Sさんの特設サイトにて販売がスタート。これに先駆けて8月5日(土)午後13時から、謎の店で一部先行販売を予定しています。また“サンダーボックス×黒魔王”コラボアイテムは〜8月16日(水)までの期間、謎の店の店頭とオンラインストアにて受注会を開催中。謎の店の店頭にはサンプルも展示されているので、ぜひ店頭でご覧ください!

*  *  *

シルコレ界隈絶対チェック案件であるのは当然のこと、幼少期に“おまけシールカルチャー”にドップリ浸かっていた人にとっては必見のコラボレーション。8月8日午後8時を震えて待て!

>> G×S「謎のジパング伝説 -秘蔵版-」

>> THUNDERBOX

<文/TOMMY>

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