【達人のプラモ術】
タミヤ
1/48 傑作機シリーズ No.125
「1/48 ロッキード マーチン F-35B ライトニングII」
03/06
早くも3回目となるタミヤ「1/48 F-35B ライトニングII」ですが、今回は本キット最大の見せ場ともいえるウエポンベイの製作と塗装を進めていきます。
F-35はステルス戦闘機なので、通常はミサイルや爆弾類を機外搭載しません。全て胴体内兵器倉(ウエポンベイ)内部に搭載しています。ウェポンベイ内部天井と内側扉裏側に1ヶ所ずつ、左右合わせて4ヶ所のハードポイントがあり、空対空ミッションでは左右で最大4発のミサイルを、空対地ミッションではJDAM(無誘導爆弾に精密誘導能力を付加した誘導弾2発)と中距離空対空ミサイル2発を搭載できます。
またステルス性能を活かした隠密性より、兵器搭載能力を優先したビーストモードでは、主翼下面にあるハードポイントにパイロンを装着し、約8t(ウエポンベイのみに格納した場合の4倍)の重さの兵器が外部搭載が可能なっています。(全6回の3回目/1回目、2回目)
▲ウエポンベイを開いた状態。内部のディテールも凄いのだが、キットは内部にGBU-32JDAMを、扉内側にAIM-120アムラームを搭載することができる。またステルス性能は失われるが主翼下面に武装(GBU-12ぺイブウェイⅡ・AIM-9Xサイドワインダ-)を搭載した武装てんこ盛りのビーストモードでの製作もできる。(画像はタミヤ作例)
長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTube「
モデルアート公式チャンネル」などでもレビューを配信中。
■スケールモデルとしての選択
キットをステルスモードで製作する場合、ウエポンベイの扉を閉めて製作することになりますが、超絶ディテールで再現されたウエポンベイ内部と搭載されたウエポン類は、一番の見せ場でもあるので、ここはやはり開けた状態で製作したいところです。
作例はバーティカルランディング(垂直着陸状態)で製作を進めています。実機はこの状態でウエポンベイを開けていることはありませんが、模型的な見栄えの良さを優先して、開けた状態をチョイスしています。完成時にはスタンドを取りつけた状態となるので、機体下側にアクリルミラーを置くことでウエポンベイ内部を見られるディスプレイを考えています。
▲配線など細部まで1パーツで再現されているウエポンベイパーツ。Y字状に盛り上がっているのは、胴体内部にインテークからエンジンへのダクトがあるため。ここに隔壁や配管類のパーツを取り付けていくことで、曲線で構成された機体外観とは対照的な複雑な内部ディテールを再現できる
▲今回の作例は翼下にもウエポンを搭載したビーストモードで製作
▲インストの指示に合わせて主翼下面の内側からにピンバイスを使いパイロン取付のための1ミリ径の穴開けておく
■黒立ち上げ塗装
前回製作した前脚収納庫もそうでしたが、今回製作したウエポンベイもまた黒立ち上げ塗装をすることで、超絶な内部ディテールが際立つようにしています。
ここでの黒立ち上げ塗装とは、下地に黒色を塗装し、そこに指定色(機体内部色となる白)をエアブラシを使い塗り重ねていくことで、白の単色塗装ではベタな仕上がりになりがちな複雑なディテールの陰影を際立たせるためのグラデーション塗装、という意味合いがあります。
下地となる黒は缶スプレー、GSIクレオス「Mr.フィニッシングサーフェイサー1500ブラック」を使用。サーフェイサーですが適度な半艶の黒に仕上がってくれるので黒立ち上げ塗装にオススメです。
▲黒立ち上げ塗装のため「Mr.フィニッシングサーフェイサー1500ブラック」で下地を黒で塗装しておく
▲GSIクレオス「Mr.フィニッシングサーフェイサー1500ブラック」(770円)塗膜が薄く滑らかに仕上がりになるモールドも潰れにくい。缶スプレータイプのサーフェイサーだ(ビン入りタイプもある)
■組んでから塗装する
ウエポンベイ内部は隔壁や複雑な配管類が別パーツ化されており、個々に塗装指示がなされています。しかし内部の基本塗装が艶消しの白となっているので、ここは組み上げてから塗装した方が効率よく作業が進められます。また指定ではタミヤカラーの「XF-2フラットホワイト」が指定されていますが、塗装は「Mr.カラー 316番(ホワイトFS17875米海軍機標準塗装色)」を使用しました。
凸モールドで再現されている配線類は黒、赤、シルバーで塗り分けが指示されているのですが、ここはタミヤエナメル塗料を使って筆塗りで仕上げていきます。
ウエポンベイ内部の白塗装はラッカー系のMr.カラーを使用しているので、上からエナメル塗料の赤を塗り重ねても、溶け出してくることがありません。またエナメル塗料は伸びが良いので、今回のような配線の筆塗りに適しています。
▲今回機体内部色のホワイトとして使用したGSIクレオス「Mr.カラー 316番(ホワイトFS17875米海軍機標準塗装色)」(167円)。米空軍の機体下面、脚収納部などに使用されているわずかにアイボリーががったホワイト
▲ブラックを下地に黒立ち上げ塗装。上から薄め液6:塗料4で希釈した「Mr.カラー316番ホワイト」を塗装していく。この際、ベタ塗りするのではなく、パーツの凸部分の陰に僅かに下地の黒が残るようなイメージで、あえて濃淡が残るようにエアブラシで吹きつけていく。塗料が濃いとベタ塗りになりやすい(せっかくのディテールが潰れてしまう)ので要注意
▲「Mr.カラー 316番」で塗装を済ませたウエポンベイ。ここからの配管、配線類等の塗り分けはエナメル塗料を使っての筆塗りとなる
▲ウエポンベイ内部と併せて胴体下面の内側もインストの指定に沿って「Mr.カラー 316番」で塗装しておく
■スミ入れはダークグレイを使用
配線類の塗装をよく乾燥させたら、ウエポンベイの内側をセミグロスクリアーで軽くオーバーコート。乾燥後にスミ入れを行い、よりディテールの陰影を強調していきます。内部が基本白色ということもあって、今回はダークグレーのスミ入れ塗料を使用しました。
塗装がつや消しの場合、スミ入れ塗料をキレイに拭き取ることができず、シミになってしまうといったトラブルが多々あるのですが、先にラッカー系のセミグロスクリアーでオーバーコートしているので、シミやムラが防げると同時に拭き取りも楽にできます。
▲今回ウエポンベイのスミ入れに使用したタミヤ「スミ入れ塗料(ダークグレイ)」(440円)。ウエポンベイ内部が白なので、スミ入れ塗料の黒を使用するとコントラストが強く付きすぎてしまう。そのため、ダークグレーがオススメだ。使用に際してはスミ入れ塗料を撹拌せずに30分ほどおいて上済みを使うことでちょうど良い感じのコントラストが得られる
▲配線等の塗装にはタミヤカラー「エナメル」(220円)を使用。下地の塗料を溶かすことがなく、塗料自体の伸びも良いので、配線などを描く細かな塗装に適している
▲エナメルト塗料の艶消し赤、ツヤ消し黒で配線や配管類を塗装したのち、セミグロスクリアーでオーバーコート。乾燥後にスミ入れ塗料のダークグレーを塗布することでディテールを強調。画像左側がスミ入れしていない状態、右側のみスミ入れを施した状態だ。パーツの凸部分基部にスミ入れ塗料が残り、ディテールがより強調されている
▲ダークグレーによるスミ入れを済ませた状態のウエポンベイ。補強用リブなどが強調されて良い感じになった。しかしこのあといくつかパーツを取り付けなくてはいけない。スミ入れ乾燥後にもエアブラシを使いフラットクリアーをオーバーコート(厚塗り不可)することで、墨入れとツヤのトーンを整えている
▲主桁A-73 (脚収納部)もウエポンベイと同様に黒立ち上げ塗装する
■慌てず騒がず、でも急いで製作を進めます!
しかし、ワンパーツでよくもここまで再現したなぁと驚かされるウエポンベイ内部ですが、配管類のパーツを取り付けるとさらに立体的にディテールが、これでもかってくらい主張してきます。配線類等内部を指定通りに塗り分けるのは、なかなかに大変です。実のところ塗装に半日かかってしまいました。しかしここは本キットの見せ場です、丁重に仕上げていきましょう。
まぁ胴体下側で、さらにウエポンを搭載すると、内部は半分以上見えなくなってしまいますが、ミサイルの奥にチラリと見える超絶ディテールがモデラー心をそそります。
①塗装、スミ入れが完了したウエポンベイを機体下面に取り付け
②ウエポンベイの上から主桁パーツを被せるるように取り付け。これにより開口部の多い胴体の剛性もしっかりと確保
③そして胴体を上下合体(まだ仮り組み状態)することでウエポンベイの完成
自分で作っておいて言うのもアレですが、このディテールは凄い! このあとウエポンを搭載して扉がつくので、半分以上見えなくなってしまうのが残念です。
■はたして6回で終わるのか…
製作3回目、残すところ3回だというのに思いのほか製作が進みません。いや焦ってます。インストのページをめくるごとに、ディテール再現の凄さ、工夫された組みやすさ、そしてパーツの多さにタミヤの本気を感じさせられております。まだまだやることが山積みです(焦)。これは製作をペースアップしないといけません。
ちなみに本キットは模型製作の経験がある人が毎日コツコツと本キットの製作を進めたとしても、ゆうに一ヵ月以上楽しめるキットだと思います。
次回は特徴的なエンジンノズルの製作とウエポン類の製作を進めます、お楽しみに!
またタミヤyoutube動画配信において本キットの解説が公開になりました。そちらもぜひご覧ください。
>> [連載]達人のプラモ術
<製作・写真・文/長谷川迷人>
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- Original:https://www.goodspress.jp/howto/570737/
- Source:&GP
- Author:&GP
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