Appleのデザイン部門を長らく率いてきたジョナサン・アイブ氏が、同社の社員時代に、MacBook ProとMacBook Airの一本化を計画していたとの観測が浮上しています。
バタフライキーボードを搭載し、大幅な薄型化を志向したMacBook Proは不良品や故障が相次ぎ、世間的には失敗作との位置づけですが、この騒動は創業者であるスティーブ・ジョブズ氏亡き後、アイブ氏の個性を飼い慣らせる人間が不在となったことが大きく関係しているそうです。
■3行で分かる、この記事のポイント
1. カリスマデザイナーのジョナサン・アイブ氏が、Appleのブランドイメージを築いたと言っても過言ではない。
2. スティーブ・ジョブズ氏はアイブ氏の個性をコントロールできていたが、ティム・クック氏は一線を引いていた。
3. その結果、MacBook ProとAirの一本化計画が推し進められ、Proが迷走し、Airは放置されることになる。
数多くのApple製品をデザインしてきた
世の中の大多数がApple製品におしゃれなイメージを持っているとすれば、同社の礎(いしずえ)を築いたのは、間違いなくジョナサン・アイブ氏でしょう。
1997年に創業者のスティーブ・ジョブズ氏がAppleに復帰して以来、アイブ氏は最高デザイン責任者(CDO)として、iMac、iPod、iPhone、iPad、Apple Watchなど、Appleのハードウェアを数多くデザインしてきました。
ジョブズ氏がアイブ氏の編集者役だった
多くの人を虜(とりこ)にするデザインは、大抵の場合、デザイナーの強烈な思想やカリスマ性に支えられています。
ジャーナリストのウォルト・モスバーガー氏が当時を知る関係者から聞いたところによると、ジョブズ氏が存命だった頃は、彼が「編集者」役を買って出ることで、なんとかアイブ氏をコントロールできていたそうです。アイブ氏の「狂気がかった直感」と本人を分離させることができたのは、同じく絶対的なカリスマ性を宿していたジョブズ氏だけでした。
しかし、ジョブズ氏の後を継いだティム・クックCEOは、良くも悪くも自らの領分を弁える人間で、デザインに対して大きく口を出すことはなかったため、結果としてアイブ氏に多くの権限が集まっていったそうです。
MacBook Pro/Airが迷走する羽目に
特にアイブ氏は「MacBook ProシリーズとAirシリーズは一本化すべきだ」との信念を強く持っており、ProをAir並に薄く軽くすることに成功し、高価格のProだけにしてしまえば、たとえオーバースペックでも消費者は購入するだろうと考えていたそうです。
その結果生まれたのが、今となっては“黒歴史”とも言うべき、バタフライキーボード搭載のMacBookシリーズでしょう。まさにアイブ氏の望み通り、極薄のスイッチを搭載したキーボードは筐体を薄く軽くすることにこそ大きく貢献しましたが、非常に壊れやすいのが難点で、最終的には集団訴訟にまで発展、2020年には廃止されました。
一方で、MacBook Airは8年もの間リニューアルされることがなく、2018年に大幅なアップデートが実施されるまで、ラインナップから消失するのではとも噂されていました。
退社してもAppleとの関係は良好
モスバーガー氏は、この逸話が「一つの情報源からのもの」であり、事実かどうかは厳密には分からないとも述べています。ですが、一時期のMacBook ProとAirの迷走を眺め続けてきたユーザーにとっては、非常に信ぴょう性の高い話だと言えるでしょう。
そんなアイブ氏は2019年にAppleを去り、現在は自身のデザイン会社LoveFromを立ち上げています。退社してからAppleと縁が切れたわけではなく、2021年に登場した現行のカラフルなiMacはアイブ氏が関与しているとの話もあります。
(kihachi)
- Original:https://iphone-mania.jp/news-574143/
- Source:iPhone Mania
- Author:iPhone Mania
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