知っておきたいキャンプで使うガス缶の選び方とCB缶、OD缶それぞれのメリット・デメリット

キャンプで使う調理用バーナーにはそれはもうたくさんの種類があって、「キャンプを始めたいんだけど、なにがなにやら…」という人も多いはず。

そんなキャンプ用バーナーですが、まず燃料で大別すると、ガソリン、灯油、アルコール、ガスの4種類。ガソリン式や灯油式は気温に左右されずに使用できるなどメリットは十分にありますが、プレヒートやポンピングなどの作業が必要で、簡単言えば点火までにひと手間かかります。アルコール式もマッチ1本で点火できるので手軽ではあるものの、他に比べて火力が低かったり調整が難しいので、玄人向け。

その点ガス式はガス缶をバーナーにセットしたら、バルブをひねって点火するだけ。そんなワケで、最初のキャンプ用バーナーにはガス式がおすすめなんです。

■CB缶=カセットガス、OD缶=アウトドア用缶

キャンプ用のガスバーナーは、大きく分けて2種類あります。まず、カセットボンベ。自宅でも使う機会のある、カセットコンロ用のガス缶です。キャンプをしない人にも馴染みがありますね。カセットボンベの頭文字を取って通称CB缶。もうひとつが、OD缶と呼ばれるアウトドア用ガス缶で、コロンとした丸みのある形状が特徴。ガスの配合が屋外用に最適化されています。

基本的にキャンプ用のガスバーナーはひと口でもふた口でも、このどちらかのガス缶を燃料としています。どちらにも属さないモノも一部にはありますが、一般的ではないので気にしなくて大丈夫。

OD缶はOD缶式ガスバーナーで、CB缶はCB缶式ガスバーナーでしか使えないため、ガスバーナー購入時にはどちらのガス缶を使用したいかを検討した上で選ぶ必要があります。

■CB缶とOD缶の違いとメリット・デメリット

OD缶とCB缶の違い、メリット・デメリットはざっくりこうなります。

【メリット】

  • CB缶:コンビニ・スーパーで買えて、価格も安い。
  • OD缶:中のガスが屋外用に調整されていて火力が安定しやすく、収納性も高い。バーナーも種類が多いので選択肢がたくさん。

【デメリット】

  • CB缶:比較的大人しい火力で、寒い気温下が苦手。サイズが大きく収納性はあまり良くない。
  • OD缶:専門店じゃないと買えない&価格が高め

CB缶は家庭用ガスコンロでも使うので、販路が広く、入手しやすいのが◎。一方で、アウトドアの名前の通り、OD缶は屋外で使用することを念頭に作られているため、フィールドで使用するのに適した特徴を持ち合わせています。

では、要素ごとに細かくみていきましょう。

▼サイズ

  • CB缶:半分サイズも一部あるが、よく見かけるサイズのモノが一般的。OD缶に比べれば収納性は普通。
  • OD缶:500缶・250缶・110缶の3サイズ。一般的なサイズは250缶だが、110缶を選べばかなりコンパクトに。クッカーによってはクッカー内に収納できるのでコンパクトに収めたい人向け。

▼価格

  • CB缶:通常サイズで200円前後、冬用のパワーガスで400円前後
  • OD缶:一般的な250缶で600円前後、冬用のパワーガスで800円前後

▼入手しやすさ

  • CB缶:アウトドアショップ・ホームセンター・スーパー・コンビニと販路が広い。大手通販サイトでまとめ買い可能。
  • OD缶:アウトドアショップが主な購入先。メーカーによってはホームセンターでも購入可能。最近では大手通販サイトでも購入可能。

▼汎用性

  • CB缶:自宅用のカセットガスコンロでも使用可能。数は少ないがCB缶式ならガスランタンもある。
  • OD缶:アウトドア用バーナー以外に、OD缶式のガスランタンが主な使い道。

▼性能

  • CB缶:低気温下では火力が不安定になりやすく、パワーガスもあるがOD缶ほどの安定感を感じにくい。
  • OD缶:CB缶に比べて寒い時期にも火力が安定しやすく、パワーガスなら、さらに寒い気温にも対応。

▼ガスの持ち

通常サイズのCB缶と250缶サイズのOD缶を比べた場合、同じ位の燃焼時間ではあります。しかし、それぞれのバーナーによって、体感的には違いを感じることも。

  • CB缶:OD缶式バーナーと比べて風の影響を受けやすく、その分ガスを多く使いがちで持ちはイマイチと感じることも。
  • OD缶:バーナーが風に強いものが多く、無駄に使わないのでガスの持ちは良い。

▼ガスバーナーの傾向

  • CB缶:缶を横に倒して取り付けする仕様のバーナーが一般的で、その分重心が下がるため、安定性が高い。足回りやゴトクが大きいものや、カセットガスコンロタイプのモノを選べば、スキレットやダッチオーブンも使用可能。
  • OD缶:缶の直上にバーナー本体を取り付けるものが主流。高さが出る分、安定性に不安が残る。大型のクッカーが載せられないモデルも多く、比較的ソロ向き。

▲バーナー本体に取り付ける一体型以外にも、分離型のバーナーも。OD缶でもこういうバーナーなら大型のクッカーも載せられる

このように細かく見ていくと、同じガス缶でもCB缶とOD缶でけっこうな違いがありますね。価格、入手しやすさ、汎用性の面ではCB缶が優れていて、収納性、性能の面ではOD缶といった感じ。

ただ最近では、バーナー自体の進化もあって、ガス缶による性能の差は埋まってきています。例えば、寒さに弱いCB缶でもバーナー自体にガス気化させる機構を搭載したモノも開発されています(一般的に気温が下がるにつれて、缶内部のガスが気化しにくくなる=火力が落ちる)。なので、OD缶による性能のメリットが相対的に少なくなってきていますので、バーナーの機能と合わせて選びましょう。

■バーナーへの取り付け方法

CB缶とOD缶はガスバーナーへの取り付け方も異なります。まずCB缶式は、取付口に差し込み、ひねってロックをかける構造が主流です。

ガス缶の取り付け箇所には、一箇所だけ突起がある、回せる樹脂製のパーツが付いています。その突起部分とCB缶の切り欠き部分を合わせるようにして、樹脂パーツにCB缶を差し込みます。

しっかり差し込んだら、CB缶を回してロック。これでガスバーナーへの取り付けは完了。もし、CB缶をうまく差し込めない場合は、樹脂パーツが既に回ってしまっているかもしれません。一度樹脂パーツを左に回してから再度試してみましょう。

OD缶式ガスバーナーはもっと簡単で、ネジのように回して締めるだけ。OD缶の頂点部分がネジになっていて、ガスバーナーのバルブ部分を当てて、ぐるぐる回すだけで取り付け完了。このように違いはあれど、CB缶もOD缶も慣れれば簡単に取り付けられます。

■キャンプ用ガスバーナーの点火方法

ガスバーナーのヘッド部分にライターを向けて、火を出します。その状態で、ガスバーナーのバルブを少しずつ開くことで安全に点火できます。一気にバルブを開いてしまうと、勢いよくガスが吹き出て危ないので、少しずつが肝。なお、点火にはチャッカマンなどのノズルの長いライターを使う方が火傷の危険も少なくおすすめ。

また、CB缶、OD缶ともにイグナイター(点火装置)が取り付けられているモノもあります。ボタンをカチッと押すと、バーナーヘッドに向けて小さいスパークが発生し、ガスに引火する仕組みです。より安全に使いたいなら、イグナイターを連打しながら少しずつバルブを開いて点火します。

*  *  *

最後に、バーナー選びのコツは燃料を統一すること。あるアイテムはOD缶式、でもこっちはCB缶式、のようにバラバラに買ってしまうとその分ガス缶の準備をしなければいけなくなります。統一しておくと調達も管理もラクなので、よっぽどの理由が無ければまずは燃料は統一するといいですね。

<取材・文/山口健壱(&GP) 写真/逢坂聡>

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