液体燃料系バーナーの老舗ブランド・OPTIMUS(オプティマス)が創設125周年を迎えました。全世界1899台の記念モデル「ノヴァストーブストーブ125Y アニバーサリー・リミテッド・エディション」が発売され、アウトドアファンの中で話題に。ちなみにこの台数は創業年である1899年からきています。
公式ストアではすでに完売していますが、これをきっかけにガソリンバーナーにふたたび脚光が! 気温や標高に左右されない安定した火力と、なにより“ギアを操作している感覚”が魅力的なんです。
“なんだか扱いが難しそう”と尻込みしている人のために、記念モデルにもなった「ノヴァストーブ」(2万8380円/燃料ボトル別売)を使って、ガソリンバーナーの使い方と魅力を確認していきましょう。
■基本操作は「加圧→プレヒート→着火」
現在、日本ではオプティマスのほかMSR、SOTOで分離型ガソリンバーナーのラインナップがあり、「加圧→プレヒート→着火」という手順は一部を除き共通です。
①燃焼部とポンプ、燃料ボトルをつなぐ
▲「ノヴァストーブ」に「タクティカルフューエルボトルM」を装着した状態。接続前には付属ツールでノズルクリーニングをしましょう
燃料ボトルに装着して燃料を吸い込むポンプが付属しているので、燃料ボトル(別売)に燃料を詰めてからポンプを差し込む。あとは本体から伸びるホースをポンプに取り付ければ準備完了です。
「ノヴァストーブ」もそうですが、分離型ガソリンバーナーは基本的に燃料ボトルが付属されていません。不親切に思えますが、人数や日数、メニューによって必要な燃料の量は異なるわけで、別売のほうが理に適っています。
ちなみにオプティマスの場合、スタンダードなグリーンの「チャイルドセーフフューエルボトル」はS(300ml/3300円)〜XL(1500ml/4730円)の4サイズ。ブラックボディでキャップ紛失防止ホルダー付きの「タクティカルフューエルボトル」はM(530ml/4290円)とL(890ml/4840円)の2サイズ展開。
Mサイズなら最大2.5時間分の燃料が入るので料理好きでも1泊なら余裕あり。湯沸かし程度なら2泊、3泊でもいけるでしょう。いずれも子どもが簡単に開けられないチャイルドセーフ機構を搭載しています。これ、小さな子がいるファミリーにはありがたい!
②燃料ボトルを加圧する
燃料ボトルを地面に立て、十分なストロークで加圧します。“ポンピング”と呼ばれる作業です。ボトルを立ててまっすぐ上から力を加えるようにするとやりやすい。
「ノヴァストーブ」の加圧終了の目安は、満タンならポンピング25〜30回、燃料が半分以下なら40回ほど。加圧しすぎは黄色い炎になるのでやり過ぎ禁物。
③ボトルを横向きにしてプレヒート
▲ボトルには上下があり、ボトルネックに書かれている「On」と「Off」で確認ができる
「ノヴァストーブ」はボトルの向きも重要。「On」の文字が上に向くよう燃料ボトルを置くことで、内部の燃料を吸い込むホースが燃料の中に沈み込む仕組みです。ボトル近くのダイヤルも「ON」に回します。このダイヤルは簡単に言えば“元栓”。燃料調整に用いる“コントロールバルブ”とは異なります。
この2つの手順を踏まないと、“コントロールバルブ”をひねっても燃料が出てこないのでご注意を。
▲写真左の緑のつまみがコントロールバルブ
早速バーナーヘッド近くの“コントロールバルブ”をひねって点火! といきたいところですが、ガソリンバーナーには“プレヒート”という作業が必要。事前にバーナーヘッドや“ジェネレーター”(燃料が通る管)を暖めることで、燃料を気化しやすくさせます。ジェル状着火剤などを使ってプレヒートをすることが多いですね。その点「ノヴァストーブ」のプレヒートは少し特殊。
手順としては、閉じた状態の“コントロールバルブ”をそっと左に1/2回転させて2秒ほど待ち、適量のホワイトガソリンを本体下部のウィック(芯)に染みこませます。この時、燃料が吹き出してビックリするかもしれませんが大丈夫。2秒経ったら、一度コントロールバルブを閉じ、ライターやマッチの炎で着火。プレヒート開始です。
ちなみに“マルチフューエル”と言って、ひとつのバーナーでガソリン以外の燃料を使えるガソリンストーブもあります。一般的にはジェット交換、簡単に言えば燃料ごとにアタッチメントを取り替える必要があります。
「ノヴァストーブ」ではホワイトガソリンだけでなく、ジェット交換せずにそのまま灯油、軽油も使用可能。徒歩やバイクなどの荷物を極力減らしたいキャンプスタイルではめっちゃありがたい仕様です。灯油や軽油の場合、少し多めで4秒ほどコントロールバルブを開放するのが“プレヒート”時の目安です。
④赤い炎が弱まったらコントロールバルブを開いて着火
▲赤い炎が弱まったら点火
“プレヒート”開始後、30秒ほど経って赤い炎が落ち着いたら、閉じた状態の“コントロールバルブ”を左に1/4回転。そうすると気化した燃料が噴き出して、“プレヒート”の赤い炎に引火します。自動点火装置は付いていませんが、ほぼ自動点火のような感じ!
▲安定した青い炎。3本ゴトクだがトルネード型で鍋をしっかり支える
バーナーが十分暖まっていれば炎が青くなり、安定します。調理の準備OKです。コントロールバルブをさらに左に回せば強火に。“ゴーッ”という燃焼音はそれなりにありますが、いかにも燃えているっていう感じで楽しいですね。
ちなみに分離型ガソリンストーブでは“SOTO(ソト)”のみプレヒート不要ですが、着火直後は赤い炎が上り、しばらくして青い炎に変化したらボタン位置を変えて調理をはじめます。燃料を噴き出すことはありませんが「ノヴァストーブ」の「プレヒート→着火」とほぼ同じ原理です。
■欧州ブランドはボトル全体でON/OFFを操作
以前、日本でも販売されていた“PRIMUS(プリムス)”のガソリンストーブもそうですが、「ノヴァストーブ」はボトル全体を動かして着火・消火します。この時“コントロールバルブ”は開けたまま。なんだか電車や飛行機を操縦してるっぽくて楽しい。
▲完全に消火する場合はバルブは閉めずに「Off」が見えるように燃料ボトルをひっくり返す
燃料ボトルをひっくり返すことで、ボトル内部の吸い込み口が液面より上になり、バーナーヘッドに燃料が供給されなくなります。そのまま放置しておけばホースの中の燃料が燃えきって、自然と火が消えます。消火までに40〜50秒ほどかかりますが、ボトル内の圧力も同時に抜けるのも優秀。完全に火が消えてから“コントロールバルブ”を閉じ、ポンプ脇のホースに付いているダイヤルも「OFF」にして終了です。
ちなみにボトル内の圧力を抜くことが大事な理由は安全のため。ボトル内に圧力がかかったまま、ポンプをボトルから分離すると、圧力が抜けると同時に燃料が飛び散ってしまい、非常に危険。キャンプサイトで夜に使用し、翌日の朝も使うというならコントロールバルブを閉めて消火するだけでもOKですが、収納して持ち運ぶのであれば、必ずボトルの上下を「Off」に→火が消えたら“コントロールバルブ”を閉じる。徹底しましょう。
ちなみに“MSR(エムエスアール)”はボトル側のツマミで燃料を止めてホース内の燃料を燃やし尽くし、“SOTO”はホース内に強制的に空気を送り込んで消火。ブランドやモノによって違いはあれど、ホース内に燃料を残さないようになっています。
プレヒートの赤い炎は本燃焼とは違ってコントロールしづらいもの。思いのほか大きく立ち上がることがあるので、ガソリンバーナーは危険と思うかもしれません。けれどもツマミをそっと回す、ゆっくり確実に加圧するなど、慌てず操作することを心がければ決して危なくありません。
寒い時期でも、高所でも変わることなくパワフルだし、一体型よりも安定感がある分離型ガソリンバーナー。手入れしながら使い続けるのも楽しみです。
大森弘恵|フリーランスのライター、編集者。記事のテーマはアウトドア、旅行、ときどき料理。X
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- Original:https://www.goodspress.jp/howto/603419/
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