アンカーのソーラーパネル搭載「防犯カメラ」首振り&AI追尾上位モデルを設置レビュー

住宅の防犯対策として、テレビでも話題の防犯カメラ。「自宅の防犯対策を整えたいけど、あまり知らないブランドの製品を導入するのも心配」という人も多いですよね。そんな人に向けて、定番のアンカーからWi-Fi接続で簡単に使える防犯カメラ3機種をお借りした連続レビュー。前回のソーラー&センサーライト一体型に引き続き、今回はソーラーパネル一体型で完全ワイヤレス仕様、高性能なAI検知機能まで搭載した上位モデルのAnker「Eufy SoloCam S340」をレビューします。

▲アンカー「Eufy SoloCam S340」。直販価格は2万4990円

&GPで過去にレビューした屋外の電源付きの環境向けのTP-Link「Tapo C320WS」、そして今回レビューするモデルの直接のライバルにあたるであろうTP-Link「Tapo C425 KIT」の存在を頭に入れつつ(今もすべて稼働中で我が家の安全を監視しています)、さらに防犯カメラを1台追加してレビューしていきます。

Anker「Eufy SoloCam S340」は、首振り機能を搭載したソーラーパネル一体型の完全ワイヤレス防犯カメラです。屋外への防犯カメラ導入、最初のハードルは電源の確保なので、公式には「日照2時間でフル充電を維持可能」を謳う大型ソーラーパネル搭載の本機は真っ先に検討したくなるモデルのひとつ。防犯カメラとしても最上位モデルなので、AI検知対応で人や車両の識別、画質面でも最大8倍ズームとなるデュアルカメラ搭載のハイエンドモデルにあたります。

▲デュアルカメラの本体にソーラーパネルが同梱

今回、そんなアンカーの防犯カメラ設置に選んだ場所は…。実は前回までの記事で門や庭、駐車場など防犯上めぼしい位置をカバーしてるのですが、製品比較の意味も込めてTP-Link「Tapo C320WS」が設置済みのバルコニーの、さらに高い位置にあたる物干し竿を設定。手すりなら屋外コンセントで電源が取れたけれど、この高い位置はソーラーパネルでないと設置しづらい位置になります。

▲2階バルコニーの物干し竿にソーラーパネルも含め設置

東~南向きで直射日光が十分に当たる上に、家のアプローチから敷地の門、庭まで全体を見渡せます。Anker「Eufy SoloCam S340」は首振り対応で水平方向360°、垂直方向70°で調整可能という仕様も考えると、これまでにない範囲をカバーする理想的な位置です。

▲自宅敷地全体を見下ろす最高のポジション

カメラの固定方法ですが、正式にはやはり同梱されているブラケットを壁に打ち込み。ただし、ブランケットは穴が開いた一般的なタイプなので、DIYなどの工夫もしやすくなっていて、今回は結束バンドを通して物干し竿に固定しました。カメラ本体とソーラーパネル一体で、ブランケットによる設置が可能。これは過去にレビューしたTP-Link「Tapo C425 KIT」に並び、高い設置汎用性になります。

▲結束バンドを利用し、取り外し可能な状態で設置

それではAnker「Eufy SoloCam S340」を防犯カメラとして運用してみましょう。

 

■首振り機能とAI追尾の実用性は?

改めて初期設定から紹介していきます。

購入後の最初の設定は、Eufyシリーズ共通の「Eufy Security」アプリを利用してセットアップ。前回「Eufy Solar Wall Light Cam S120」を使ったこともあり、デバイスを追加登録する形になります。新規セットアップでも、アプリの指示に従ってアカウント登録後、QRコードをスキャンしてWi-Fi接続を行えば初期設定は完了です。

▲アンカーの防犯カメラEufyシリーズ共通の「Eufy Security」アプリに登録

設置場所と角度については、首振り対応なので設置後にアプリからカメラの向きを調整してプリセット可能。だから、多少向きが合わなくても問題なし。なお、ソーラーパネルの向きもカメラとは別に調整できます。

▲ソーラーパネルは南向きに調整

初期設定を済ませたら、防犯カメラとして稼働スタート。出荷時から内蔵8GBのメモリを利用可能で、録画の利用に追加コストはなし。バッテリー消費に関わる動作モードは、動作検出時に最大60秒録画する監視モードに設定。常時録画の設定はありません。

▲監視カメラモードに設定して運用スタート

設置の翌日より、録画された映像などを確認しながら、改めて機能をチェックしていきます。

アプリの操作性についてはEufyシリーズ共通。デバイスタブからカメラを選ぶとライブ視聴も可能です。ただし、今回取り付けたAnker「Eufy SoloCam S340」は、ややWi-Fi電波が弱いようで、カメラ接続後に表示される伝送速度も遅く、安定感がありません。

▲「Eufy Security」アプリで複数カメラを管理(プライバシー保護のため一部ぼかしています)

アプリから視聴できる画質は、最大3K画質。ライブ/プレビュー視聴ができるため、十分過ぎるほどキレイです。Anker「Eufy SoloCam S340」はカメラ仕様にかなり強烈にこだわっていて、3K広角カメラと、2Kの8倍ズームも利用可能。特にデフォルトの広角カメラは遠くまで映り過ぎて驚きました。

▲日中のビデオ録画画質(プライバシー保護のため3K録画から2/3の範囲を切り出し)

夜間のビデオ撮影はデフォルトでは「夜間モード(白黒)」ですが、「夜間モード(カラー)」に設定すればライト点灯も可能。夜間モードオフで常時カラー撮影にも設定できます。庭にも照明のある僕の自宅では、夜間もカラーの方が見やすいですね。

▲夜間のビデオ録画画質(プライバシー保護のため3K録画から2/3の範囲を切り出し)

そして水平方向360°、垂直方向70°で調整できる首振り。シンプルな使い方としては、アプリからズーム含めてカメラ向きのプリセット設定が可能です。

▲首振り機能を使ってカメラの向きやズームをプリセット可能

さらなる発展的な使い方として、動作検知時にAIトラッキングによって検出した人物と車両を首振りで追い続けることができます。

▲AIトラッキング設定時はカメラが人物を追尾

▲デフォルトに設定した画角から外れる位置でも録画されていました(プライバシー保護のため一部をぼかしています)

ただ、同じ2階バルコニーにセットしたAnker「Eufy SoloCam S340」とTP-Link「Tapo C320WS」の録画映像一覧を見比べてみると…意外な弱点に気づきました。

同じ日時の録画リストを見比べてみると、Anker「Eufy SoloCam S340」は、夜間の通行人を検出できておらず、一晩で5件以上の録画漏れを確認しました(なお、夜間は設定に関わらず人物以外を含む全ての動体を録画するはず)。テスト目的で派手な服装で歩き回る僕はしっかり映っていましたが、それ以外はすべて録り逃しています。前回の記事でも指摘した通り、防犯目的では夜間の動体検出精度が低いのは大問題。まず動体検出の精度をデフォルトの3から最大まで上げるのは当然として、設置位置をより人物を検出しやすい高さ(低い位置)にするべきなのか…。同じ設定で日中は検出できているので、問題に気づきにくいことも難点です。

バッテリー運用とソーラーパネルのパフォーマンスについても検証してみました。設置場所は2階バルコニー。検証期間中は日差しにも恵まれ、日照時間は1日平均6時間以上。設置2日目朝10時の時点でバッテリー残量81%から、同じ2日目夜に確認したら既に残量99%と1日で18%ものプラス。録画イベントは1日あたり30件程度でしたが、この程度の録画頻度ではバッテリーの心配は全くありません。大型ソーラーパネル搭載の安心感は抜群です。

録画による内蔵ストレージ8GBの占有は1日分で1%ほど。ただし、これは動作検出と録画の頻度次第なわけですが、8GBという容量の割に長時間録画できています。もちろん映像はスマホアプリからダウンロードして保存可能です。

 

■ハイエンド防犯カメラだが、夜間の検出精度には少々問題あり

Anker「Eufy SoloCam S340」を設置してテストしてみましたが、自分で取り付けできる防犯カメラとしては、やはりハイエンドの仕様。デュアルカメラによる切り替え、首振りとAIトラッキングなど、先進機能が満載。バッテリー運用もできて言うことなし、と思いきや、夜間の動体検出が弱い点は残念と言わざるをえません。

それから課題は価格にもあります。直販価格で2万4990円という値段は、これまでに紹介してきた防犯カメラよりもちょっとお高め。アプリを操作してカスタマイズしている時に「1台で首振りして広い範囲をカバーするよりも、1万円程度の安いカメラを2台付けた方が録画も画角カバーも安心なのでは?」と考えてしまいました。

▲お約束の防犯カメラ作動中シールは、敷地の外に掲示が必要そうですね

そうそう、バルコニーに防犯カメラを設置後の活用法として、防犯だけでなく宅配便などの来客時に配送トラックらしき音が聞こえた時点でアプリから屋外の様子を伺うような活用法もありそうです。訪問販売などもインターホンなしにチェックできますよ。

*  *  *

アンカーの防犯カメラ3機種を借りた連続レビュー。次回は2台のカメラと録画ビデオを家庭内のホームサーバーに保存できる「Eufy eufyCam S330 2-Cam Kit」をテストしていきます。夜間の動作検知の問題も、引き続き検証します。

>> Anker

<取材・文/折原一也 撮影協力/アンカー・ジャパン>

折原一也|1979年生まれ。PC系出版社の編集職を経て、オーディオ・ビジュアルライター/AV評論家として専門誌、Web、雑誌などで取材・執筆。国内、海外イベント取材によるトレンド解説はもちろん、実機取材による高画質・高音質の評価も行う。2009年によりオーディオビジュアルアワード「VGP」審査員/ライフスタイル分科会副座長。YouTube

 

【関連記事】

◆アンカーのソーラー&センサーライト一体型「防犯カメラ」の実力やいかに?設置してガチ検証
◆いま売れまくっている「防犯カメラ」。Amazonのセールで3台まとめて買って設置してみた
◆動き感知で点灯&録画開始!ソーラー発電だから配線不要の「センサーライト」で手軽に防犯対策


Amazonベストセラー

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA