家族や仲間を繋いでくれて、ありがとう――。息子のようであり、頼れる相棒でもあるラウエとロームに支えられながら、私たちは歩いていく
愛犬に支えられ、愛犬のためにできることを考え実行してきた小野夫妻。そのまぶしい笑顔の奥に宿る、揺るぎない意志と深い愛情は、〝犬と人が共に生きる社会〟へと、静かに、そして確かに広がっていく。
▲「ラウエはおっとり屋さんで、ロームは内弁慶な怖がりなんです」夫妻はそう微笑みながら、ふたりの性格を教えてくれた。
【DOG LOVER】
小野伸二
1979年、静岡県生まれ。日本、オランダ、ドイツ、オーストラリアの7クラブでプレー。『フェイエノールト』在籍時にはUEFAカップで優勝を経験。各年代の日本代表にも選出され、1999年にはFIFAワールドユース選手権で準優勝。FIFAワールドカップには1998年、2002年、2006年と3大会連続で出場。2023シーズン終了後に選手を引退し、2024年1月14日に『北海道コンサドーレ札幌』のアンバサダーに就任した。>> @shinjiono7
小野千恵子
1979年生まれ。大学在学中にモデルとして活動し、小野伸二さんとの結婚を機に一時引退。オランダでの生活を経て帰国後、2019年よりモデル業に復帰。2022年、大型犬向けのファッションブランド『LAUW(ラウ―)』を設立。「動物介在教育」のボランティアなどを通じ、子どもたちに命の大切さなどを伝える活動にも注力。犬と人が自然に共に暮らせる街『PAWLIVE TOWN(パウリブタウン)』の実現を目指している。>> @chieko_0605
ラウエ 5歳(バーニーズ・マウンテン・ドッグ)
ローム 2歳(スタンダード・プードル)
▲かつては内向的だったという千恵子さん。今では近所の公園でコミュニティを作るほどアクティブに
▲“たまらない存在感”を放つラウエとは、ボール遊びをすることも多いという伸二さん。言葉の端々から、愛おしさがにじみ出ていた
■犬に人を合わせるのではなく、人の暮らしに、犬を自然に迎え入れる。私たちは、そのバランスを大切にしています
1998年、FIFAワールドカップに日本史上最年少の18歳にして初出場。その後、3大会連続で世界の舞台に立った小野二さん。そして2023年、44歳の誕生日に現役引退を決意したその時も、彼の隣には、20年以上にわたり人生を共に歩んでいた妻・千恵子さんがいた。
「犬たちは、私たちの人生にそっと寄り添ってくれています」
夫妻がそう語るように、小野家にとっての犬はペットではなく、人生に寄り添う“相棒”そのものだ。
2001年、伸二さんの海外移籍に伴い、小野夫妻はオランダ・ロッテルダムで約5年間を共に過ごす。
「もう20年以上前のことですが、あの頃のオランダでの生活は、不安と寂しさが入り混じる時期でもありました。けれど、ふと思い立ってジャック・ラッセル・テリアのショコラを迎えたんです。すると、それまで気づかなかった小さな喜びに気づき、暮らしがゆっくりと、でも確実に色づいていったんです。それ以来、犬との暮らしが“当たり前”になりました。以前は犬と接する機会もなかったのに、不思議なものですね」
そう微笑む夫妻の記憶には、先住犬との日々が今もやわらかに息づいている。ネットもSNSもまだ身近ではなかったあの頃。異国の地で感じた孤独は、今よりもずっと濃く、そして深かった。
「愛犬を介して近所の人たちと少しずつ繋がりができて、千恵子の孤独も和らいだんじゃないかな。犬を好きになると、人もさらに好きになる気がしませんか? 実は千恵子ってもともと人見知りで、外出もそれほど好きなタイプじゃなかったんです。けれど犬と暮らすようになってからは、愛犬家たちと外で出会い、言葉を交わし、まるで別人のように社交的になった。僕も安心してプレーに集中できたし、犬の力って本当にすごい。今も千恵子のまわりには、犬を通じて集まった素敵な仲間がたくさんいます」
そう語る伸二さんの瞳に、あたたかな感謝がにじむ。オランダの暮らしで犬が夫妻の心の支えであったことは、言うまでもない。その存在が、たとえ見えない場所であっても夫妻の心をそっと支え続けてきたのだろう。
現在、小野家で共に暮らすのは、バーニーズ・マウンテン・ドッグのラウエと、スタンダード・プードルのローム。夫妻が「一生に一度は暮らしてみたい」と願っていた犬種が、バーニーズ・マウンテン・ドッグ。そのきっかけは、オランダ時代に近所で出会った穏やかで魅力的なバーニーズの姿だったという。
「ラウエを迎えたのは、コロナ禍のさなか。家で過ごす時間が増えたからこそ、“今しかない”と思ってブリーダーさんのもとへ伺いました。実は娘たちはヨークシャー・テリアを希望していたんですが、あの時は私たちの“好き”を貫かせてもらって(笑)。たぶん娘たちは、ここまで大きくなるとは思っていなかったでしょうね」と、千恵子さんは笑う。
▲『マナーニ』の活動を通じ、ラウエとロームは小学校の道徳の授業に参加。「子どもたちが、犬との関わり方を考えるきっかけを作りたい」と千恵子さん
対するロームは、知人の紹介でたまたま出会ったコ。生後7カ月まで引き取り手が見つからず、「誰もいないのなら、私たちが暮らします」と夫妻は思い切って手を差し伸べたのだった。
もっとも、大型犬との暮らしには、それなりの不安もあった。
「体重が50kgを超えるような力のあるコたちですから、何かあっては大変です。そう思って、紹介していただいたトレーナーさんのもとに通いました。最初の5カ月は週2回のトレーニング。あれからもう5年が経ちましたが、今も定期的に通っています。ロームにはそれほどトレーニングが必要なかったのですが、もしかするとラウエが陰でいろいろ教えてくれているのかもしれませんね。見た目は大きくても、まだまだやんちゃ盛りです」と、千恵子さんが優しく語る。
▲『LAUW』の織りシルク生地のスタイを着用するローム。ゆるさを調整できるので、毛の量に応じたベストな見栄えの位置でパシャリ!
■一緒にいるだけで伝わる温もりも、何かを成し遂げたときの感動も、すべてが大きい。ラウエ、ローム、本当にありがとう
犬との暮らしには、たくさんの喜びがある。けれど同時に、しつけや健康管理、日々のケアなど、ときに大変だと感じる瞬間もあるだろう。とくに大きな犬となれば、体のパーツも、遊びやいたずらのスケールも、食べる量も、出す量も、すべてがダイナミック。それでも─ ─。いや、それだからこそ、“犬と共に生きる喜び”が、確かにそこにある。
「ただ一緒にいるだけで伝わる温もりも、一緒に何かを成し遂げたときの感動も、すべてが大きい。息子のようでもあり、頼れる相棒でもある。ラウエとロームには心から感謝しています。このコたちは、いつだって家族を繋いでくれる。思春期の娘たちとの会話のきっかけにもなってくれて、本当に助かりました。今では娘たちも成長して家にいる時間が減り、僕自身も仕事で外出することが多い。だからこそ、家を守ってくれているのは、ラウエとローム、そして千恵子ですね」
家族への想いを、飾らずまっすぐな言葉で伝えてくれた伸二さん。犬にとって、かけがえのない家族と「楽しい」「うれしい」を分かち合うことは、何よりの喜び。そして、何気ない穏やかなひとときこそが、深い幸福を感じる瞬間でもある。そんな時間を惜しみなく重ねてくれる夫妻の想いは、きっとラウエとロームの心にも届いているだろう。

■たやすい道ではないけれど、“ 犬と人が共に生きられる社会や街”を私達らしく、かたちにしていきたい
最後に、小野夫妻がこれから犬たちのために挑戦したいことを語ってくれた。
「オランダで体験した“犬と人の共生社会”を、日本でも、私たちなりのかたちで実現させたい。それがこれからの人生で成し遂げたい目標のひとつなんです。日本ではまだ、犬を飼っている人とそうでない人との間に認識のギャップがあると感じます。だからこそ、まず“犬とは何か”という認識を広めていきたい。そのうえで、飼い主としてのマナーももっと向上させていかなければ。飼っていない人たちから理解を得るためには、そういう努力が欠かせないと思うんです。犬が人を幸せにしてくれるように、人も犬をもっと幸せにできる社会に。そんな未来を目指して、私たちも歩き続けたいですね」
何かができると信じ、何かを探し、そして動き出す夫妻。胸にあるのは、ただまっすぐな犬への想い。だからこそ、その言葉に嘘はない。偽りもない。その決意が生まれた日こそ、夫妻にとっての“セカンドバースデー”なのかもしれない。その声は、きっといつか世界にも届くだろう。そして私たちもまた、その夢の続
きを、静かに見守り、追いかけていきたい。壮大なゴールは、きっとそう遠くないはずだ。
▼THANK YOU for My Partner
我が家に来てくれて、本当にありがとう。たくさんの人を繋ぎながら、
元気でいてくれる毎日に感謝しています。
どうかこれからも、健やかに、
いつまでも一緒にいられますように。
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<写真=小澤義人/構成・文=小出健太郎>
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