アジアではコンパクトさに需要あり。新進気鋭のバッグブランド「EVERGOODS」の世界観

アメリカ モンタナ州ボーズマンを拠点とするバッグブランド「EVERGOODS(エバーグッズ)」。創業者でありデザイナーのケビン・ディー、COOのローガン、ホールセール担当のコーディが日本の総代理店サンウエストにやってきました。

EVERGOODSが掲げるモノ作りの哲学とは?

 

■EVERGOODSの変わらないもの、変わっていくもの

EVERGOODSはクラウドファンディングで資金を募り、2018年に「CIVIC PANEL LOADER 24L」と「MOUNTAIN PANEL LOADER 30L」の発売からスタートした新進気鋭ブランドです。

▲右から創業者のケビン、COOのローガン、ホールセール担当のコーディ

ふたつのファーストプロダクト発売から8年目を迎えた今、EVERGOODSで大切に守り抜いていること、そして変化したことはあるのでしょうか。

「EVERGOODSの製品開発をする上で、ゆずれないポイントは、どこででも使える“汎用性”と長く使える“耐久性”。これは創業時から今も守り続けていることです」

とケビンは話します。

「一方で、創業当時は街で使って山へも持っていけるCIVIC、アウトドアで使って街にも行けるMOUNTAINというふたつのカテゴリーを設けていました。もともと自分たち(編集部注:EVERGOODSは2名で創業)はアウトドアメーカーに勤めていたこともあり、MOUNTAINのほうが伸びていくと思っていたけれど、いざはじめてみるとCIVICのほうが需要が大きかった。

▲紙で作られたファーストプロダクトの型

▲ファーストプロダクトのパーツ類の型

また、EVERGOODSはクロスオーバーを強調していて、街も山もという製品作りをしていましたがCIVICはより街歩き向き、MOUNTAINは素材も機能もよりアウトドア向きにフォーカスしたバックパックが求められていると気づきました。

そんなこともあり、製品作りも徐々にシフトしています。ただ、この変化は売り上げやユーザーからの意見もそうですが、EVERGOODSのチームがモノ作りをしてより理解が深まったため。創業時にベストだと思ったものでも、自分たちでもっと改善できることがあると気づいたことが変化の大きな理由です」(ケビン)

 

■国や地域によって好みが異なる

今回の来日はアジアの販売店を訪れてイベントを行うアジアツアーの一環です。

▲SUNWEST STOREでは3月1日まで「ジッパープルタブのカスタムキャンペーン」を実施中

日本ではケビンら3名が店頭に立ち、直接デザインのこだわりや開発秘話を披露。サインをもらったり使用感を伝えたり、ファンにとって極上の時間が流れました。

「アジア地区では日本のほかに香港やマレーシア、フィリピン、台湾、シンガポール、タイ、インドネシアらに販売店があります。そのほかの地域ではオーストラリア、ヨーロッパではフィンランド、フランス、チェコ、デンマーク、イタリア、ノルウェーなどかな」とはホールセール担当のコーディ。

創業時はモノ作りに集中していて、世界中に販売網を広げたいとまでは考えていなかったEVERGOODSですが、オンラインストアを通じて今ではボーズマンから世界中へ製品を届けるようになりました。

まだ販売店がなく、気軽に製品を確認できない地域は南米とアフリカ。勢いのある会社は次々に海外進出するイメージがありますが、EVERGOODSも積極的に海外にパートナーを見つけていく予定なのでしょうか?

▲ホールセール担当のコーディ

「自分は前職で建築に携わっていたんだけど、EVERGOODSのモノ作りは建築と共通していると思っています。構造、組み立てを大切にしていて、それらの重要性を理解しているからこそモノ作りができると感じているわけです。そして世界中の販売店にもこのことを理解してほしいと思っています。販売店の数だけを増やすのではなく、EVERGOODSを理解していい関係をもてるパートナーを増やしていきたいんです」(コーディ)

いくらイケイケの販売店でも、ただ“売れそうだから仕入れたい”ではEVERGOODSのパートナーとしては失格というわけですね。

日本ではサンウエストが代理店をつとめ、東京・葛飾区にはEVERGOODSに触れられるSUNWEST STOREを用意しています。

「サンウエストの社長とは、互いの共通の知人を通じて知り合いました。最初に“サンプルを送るので製品を確認してほしい”と伝えたところ、わざわざ日本からモンタナにやって来てくれました。製品はもちろん、デザインルームで働いている人、使っているミシンなどにも関心を示してくれたことに感激。いいパートナーになれそうだと感じたことを今も覚えています」(ケビン)

 

■ユーザーの要望にどこまで応える?

SNSや通販サイトの製品レビューでは多種多様な意見が飛び交い、理想の製品は人によって違うとわかります。EVERGOODSではそのあたりをどのように意識しているのでしょうか?

「いろんな人から感想が届きますが、人によってほしい機能や色、デザインは違っていて、全部を詰め込むことは到底できません。EVERGOODSは、我々が考えるベストなモノを作るだけ。

▲(左)「CIVIC PANEL LOADER 16L」、(右)「CIVIC PANEL LOADER 24L」

もっとも、地域によって好みの差は明確にあります。例えば代表作のCIVIC PANEL LOADERは24Lからはじまりましたが、日本では2年前に発売したコンパクトな16Lが好まれています。アジアではコンパクトなもののほうが需要があるので、今後、日本を含めたアジア市場の成長、需要を見ながらフィットするものを作る可能性はありますよ」(ケビン)

体格もそうですが、クルマ移動が当たり前のアメリカと、電車やバス移動が多い日本ではバッグの使い方が異なって当たり前。そこら辺を鑑みてバリエーションが広がるのは大歓迎です。

ただしマーケティング担当でもあるローガンは「ユーザーの要望を知ることは重要だけど、闇雲にリクエスト通りに作ってしまうとEVERGOODSらしさはなくなってしまいます。どう反映させるか、慎重に考えなくてはならないんだ」とも言います。

世界中にファンが増えている今、 “らしさ”とユーザーからのニーズのバランス感覚がEVERGOODSの次なる課題と言えるかもしれません。

 

■ファンがEVERGOODSを選ぶ理由第一位は “汎用性”

ところで、数あるバッグメーカーの中からユーザーがEVERGOODSの製品を選ぶ決め手は何だと考えているのでしょうか。

マーケティング担当でもあるローガンに教えてもらいました。

▲COO、マーケティング担当のローガン

「あるユーザーはトラベルバッグをデイリーユースにも旅行にも使い、スノーボードにも持っていく。ポーチの使い方も人それぞれで、汎用性というEVERGOODSが大切にしていることがユーザーに一番刺さっているようです」

ここでGoodsPress Web編集部イチのEVERGOODSファン、エンドウが疑問を投げかけました。

「アウトドアブランドのパックでは、ショルダーハーネスの上部にアジャスターを装備しているものが多いけれど、EVERGOODSのパックにはありません。そのかわりに、どのパックもハイドレーション対応となっています。フィット感よりもハイドレーションが重要と考えているんですか?」

▲「CIVIC PANEL LOADER」のショルダーハーネス上部

ケビンのバックパック作りの最終目標は、手間なく抜群のフィット感を得られること。

「設計の段階で肩にフィットするようデザインし、アジャスターで調整する手間をなくしました。ハイドレーション対応は創業時のコンセプトの名残。フックでハイドレーションチューブを固定する代わりに、チューブ自体を伸縮性の高い生地に通す仕様にすることで、山ではハイドレーションチューブを通し、街で使わないときは邪魔にならない、すっきりしたデザインとしているんですよ」(ケビン)

▲チューブを通していない状態はすっきりとシンプル

無駄をそぎ落としたEVERGOODSの製品は、他社製品と見比べると不満を感じることもあるでしょう。そのよさを理解するには、見て、触れてこそ。そして実際に使うとその汎用性の高さに惚れ込んじゃうというわけです。

「自分は以前、100ものバックパックを扱う小売店に勤めていました。その店でEVERGOODSに触れて感銘を受け、いっしょに働こうと決めたんです。そんな自分の経験があるので、今後はより多くの人に実際に手に取って、バックパックの良さを理解してもれるような環境を整えたいと考えています」(ローガン)

「EVERGOODSの機能はひとつひとつに意味があり、その役割を十分に果たせるようデザインされています。そのことを理解している人のもとに届けたいですね」(ケビン)

(生産開始時のエピソードや気になる今後の新製品開発についてが語られる後編は2/13公開予定です)

>> EVERGOODS

>> サンウエスト

<取材・文/大森弘恵 写真/逢坂 聡>

大森弘恵|フリーランスのライター、編集者。記事のテーマはアウトドア、旅行、ときどき料理。X

 

 

 

 

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