【趣味カメラの世界 #36】
前編では「instax mini Evo Cinema」(実勢価格:5万5000円前後)が持つプロダクトとしての魅力を掘り下げたフォトグラファーの田中さん。そしてこの後編では、実際に撮影する道具としてはどうなのか、作例とともに感じたことを綴ってくれました。
もちろん「instax mini Evo Cinema」最大のポイントであり、誰もが気になる動画撮影機能についても試していますよ。
監修・執筆:田中利幸(たなかとしゆき)|ファッション誌などでブツ撮りやポートレートを中心に活動するフォトグラファー。カメラ・ガジェット好きで自身で運営するブログ「Tanaka Blog」において、カメラやガジェットに関するちょっとマニアックなことを書いている。
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前編では、「instax mini Evo Cinema」を道具として見たときの魅力を中心に紹介しました。実際に使ってみると、このカメラの面白さは見た目やギミックだけでは終わりません。むしろ本番はそこから先で、撮って、選んで、プリントして、手に取るところまで含めて写真体験が完成するカメラだと感じました。
■ジダイヤルはクセがある。でも、だからこそ遊びがいがある

このカメラを象徴する機能のひとつが“ジダイヤル”です。「1930」から「2020」まで、それぞれの時代をイメージした10種類のエフェクトを切り替えて、写真や動画を撮影できます。

さらにレンズ部分のダイヤルを回転させることで、エフェクトの度合いを10段階に調整できるので、10のジダイヤルエフェクト×10段階の度合い調整で、100通りの表現を楽しめます。
▲ジダイヤル:1970/度合い調整:5(右)、10(左)
使ってみると、“ジダイヤル”のエフェクトは結構クセがあると感じました。ジダイによっては強さを10まで上げると少しやりすぎに感じる場面も。普段使いなら強さは5前後がちょうどいいかも。そのくらいだと、ジダイごとの個性を感じつつも写真としても使いやすいバランスだと思います。
▲ジダイヤル:1970/度合い調整:5
個人的に好みだったのは「1970」や「1980」あたりです。いわゆる“エモい”という感覚に少し近く、古い映像っぽさや少し褪せた空気感が良い感じでした。
■フレームや効果の違いで、同じ被写体でも写真の雰囲気が変わる
▲ジダイヤル:1950(右)、1960(左)
同じ被写体、同じ構図でも、ジダイヤルやフレームの有無で写真全体の雰囲気がかなり変わります。撮影する被写体やシチュエーション、そのときの気分などで、「今日はどの雰囲気にするか」を考える時間は、このカメラならではの楽しさだと思います。
▲ジダイヤル:1930(左)、1980(右)
一般的なデジカメだと、撮ったあとにアプリや編集ソフトで雰囲気を整えることが多いのですが、「instax mini Evo Cinema」では撮る時点でエフェクトを選ぶことになります。これはチェキらしい気軽さとも相性が良く、完成した写真をプリントしてその場で楽しむという“写真体験”をより豊かにしてくれます。
■アプリ連携で楽しみが広がる。“スマホプリンター”としてもかなり優秀

専用アプリと連動することで、さらに便利になります。リモート撮影ができたり、アプリ上で画像を確認・調整できたりするのはもちろんですが、特に便利だと感じたのはスマホプリンターとして使えることでした。

スマホで撮った写真をそのままプリントするだけでも十分楽しいのですが、カメラ好きとして面白いと思ったのは、一眼などのデジタルカメラで撮った写真をスマホに取り込んでチェキプリントする使い方です。普段はデータのままにしてしまう写真も、チェキプリントしてみると、画面上とは違った味わいに。アプリ上でフィルタやトリミングの調整もできたりと、色々楽しめるのも魅力です。
■“チェキで動画”は最初ピンとこなかった。でもQRコード付きプリントは思った以上に面白い
「instax mini Evo Cinema」は動画撮影もできます。最初に聞いたときは、チェキで動画撮影ってどんな感じなのかと、少し不思議に感じました。ただ実際に触ってみると、思っていた以上に楽しめそうな機能でした。

最大15秒のショート動画を複数のカットに分けながら撮影でき、アプリ上で編集も可能。プリントする際は「ポスターテンプレート」を使ってタイトルロゴを入れるなど、ちょっとした作品のように仕上げることもできます。

そして完成した動画は、QRコード付きのチェキプリントとして残せます。アプリからサーバーに動画がアップロードされ、スマホでQRコードを読み込めば動画を見られるようになります。チェキらしさがありつつ、動画と静止画を両方楽しめる。現代的に進化したチェキですね。
▼ジダイヤル:1930
ジダイヤルエフェクトを使うことで、アイデア次第でかなり面白い作品が作れそうですし、友人や家族と共有するときにも新鮮な体験ができるのではないでしょうか。
■スマホの画面の中で流れていく写真とは違う、“手に取れる写真”の楽しさがある

スマホのカメラで撮影することが身近になった反面、写真をプリントする機会はかなり減ったように感じます。
撮って、SNSに上げて、流れていって終わる。そうした流れが主流になった今だからこそ、実際にチェキプリントとして出力された写真を手に取ると、やはり画面の中で見るのとは違った感覚があります。
実物としてそこにあるだけで急に写真の重みが変わる。誰かに渡したり、プリントとして飾っておいたり、写真の楽しみ方が少し広がる。

プリントした写真を、チェキプリントのフレーム付き画像として保存してシェアできるのも今っぽい機能です。一方で、一度プリントしないとフレーム付きの画像として保存できない仕様は、フィルム代のコスト面では少し気になるところでもありました。ただ、それも“やっぱりプリントして楽しんでほしい”という思いの表れなのだろうと思います。
■「instax mini Evo Cinema」は“写真体験を楽しむための道具”

液晶が小さいこと、少し操作性の悪さを感じる部分があるなど、気になる点がまったくないわけではありません。けれど、このカメラの価値はそこではないのだと思います。「instax mini Evo Cinema」は、撮るためだけのカメラというより、写真を楽しむための道具として非常によくできたプロダクトです。
“ジダイヤル”で雰囲気を変える。スマホから写真を送る。動画を編集してQRコード付きチェキプリントにする。そしてそれを誰かに渡す。そういった楽しみ方を、ただの機能ではなく“体験”として成立させている。それが、このカメラの一番面白いところです。
写真や動画を撮るだけなら、今はスマホでも十分です。でも、撮った写真や動画をどう残すか、どう楽しむか、どう人と共有するかまで考えると、「instax mini Evo Cinema」というカメラはやはり特別。デジタル時代にあえてプリントする楽しさを、もう一度思い出させてくれる一台でした。
>> 富士フイルム「instax mini Evo Cinema」
>> 趣味カメラの世界
<取材・文・写真/田中利幸 モデル/Maho(@mahomemotion)>
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