ベンチャー投資の世界では、何かに特化することで利益を得ることがある。それを証明する最新の例として、「パークシティからカンザスシティ」の範囲に拠点を置くシードステージのスタートアップへの投資に特化したミズーリ州カンザスシティのベンチャー投資会社がある。米証券取引委員会の提出書類によれば、この会社はこのほど、1640万ドル(約17億7000万円)の資本を調達した。数年前に2人のカンザスシティ出身者であるLaura Brady(ローラ・ブラディー)氏とJeffrey Stowell(ジェフリー・ストーウェル)氏によって設立されたRoyal Street Ventures(ロイヤル・ストリート・ベンチャーズ)にとって、これは3回目の資金調達となる。
そこは、地理的に特化するには実に面白い場所だ。というのも、いわばそこは多くの機会に見放された土地だからだ。だがRoyal Street Venturesは、恵まれない土地に目を付け、そこで事業を始めた最初の企業というわけでもない。
もう遠い話になるが、Foundry Group(ファウンドリー・グループ)は2007年にコロラド州ボルダーで創業した。地元のスタートアップを気に掛けたり、企業価値を競り上げるライバルがほとんどいない土地だった。同様に、元Sequoia Capital(セコイア・キャピタル)の投資家であるMark Kvamme(マーク・クワメ)氏とChris Olsen(クリス・オルセン)氏は、東海岸からも西海岸からも消えてしまった腕の立つ投資家が中西部に大勢集まっていると直感し、2003年、オハイオ州コロンバスに逃げ込むようにして飛んでいった。
たしかに、銀行やRoyal Street Venturesを生み出したイノベーションセンターで働いてきたブラディー氏とストーウェル氏は事業資金には事欠かない。2016年の創業以来、米国の中西部と西部の少なくとも40社のスタートアップに投資してきた。そこには、パークシティのオーガニックなスナック菓子のメーカーであるAllgood Provisions(オールグッド・プロビジョンズ)、カンザスシティで自動車の卸売り業者のためのマーケットプレイスを構築しているBacklotCars(バックロットカーズ)、カンザス州オーバーランドパークの気象データ会社Main Street Data(メイン・ストリート・データ)も含まれる。
彼らはまた、未開の分野に挑戦するスタートアップにも、たびたび投資を実施している。例えばBlueboard(ブルーボード)は、従業員の評価とインセンティブプログラムの企業だが、サンフランシスコを拠点としている。
いずれにせよRoyal Street Venturesは、新たに調達した資金によりパートナーが欠乏している米国の地方都市の成長傾向を後押しするだろう。サンフランシスコのベイエリアやニューヨークといった最先端テクノロジーの拠点地域では、地価が高騰して優秀な人材が取り合いになっている。常に綱引きの状況では、スタートアップは足を引っ張られてばかりで有意義な結果が出せない。そんな理由もあり、地方都市は、現在上昇傾向にある。
こうしたトレンドの支援者の中でも高名なのが、言わずと知れたAOLの創設者Steve Case(スティーブ・ケース)氏だ。彼は、近年、米国中の機会に恵まれない地方のスタートアップを派手に応援している。ケース氏はまた「Rise of the Rest」(その他組みの台頭)と名付けたシードファンドを通じて地方のスタートアップへの投資も進めている。第2弾は2018年10月に発表された。
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(翻訳:金井哲夫)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2020/01/06/2020-01-04-a-venture-firm-that-invests-from-park-city-to-kansas-city-just-closed-its-third-fund/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Connie Loizos
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