手のひらサイズの一対の菩薩像、そのポーズが何だかジワる

「仏像ってなんだか難しそう」と思いがちですが、あまり仏教のことを深く考えずに表情や造形に注目して見てみると、不思議なポーズを取っている仏像があることに気がつきます。

1月29日に仏像フィギュアブランドのイSム(イスム)より発売予定の「TanaCOCORO 観音菩薩 勢至菩薩」(2体セット・3万8000円/税別)もそのひとつ。よく見ると、他の仏像では見られない特徴があるのです。

この仏像フィギュアのモデルとなったのは大阪の重要文化財「木造阿弥陀如来及び両脇侍像」のうちの脇侍2体。観音・勢至の両菩薩は阿弥陀如来とともに来迎し、往生する者を極楽浄土へと導くという、浄土教の教えを具現化した阿弥陀三尊像です。

観音菩薩は蓮台に魂を載せて極楽へ運び、勢至菩薩はその魂に合掌を捧げます。阿弥陀三尊像としては、日本最古とされる平安時代の名作です。

観音・勢至の両菩薩をよく見ると、わずかに首を傾けるような仕草をしながら、片足を後ろに上げています。これは菩薩像としては極めて珍しく、この二像だけに見られる特徴と言われています。軽やかで楽しげに舞い踊る、極楽浄土の使者という印象を与え、見る者を幸せな気持ちにしてくれます。

この仏像フィギュアを手掛けたイスムは2011年4月に設立されたブランドで日本の伝統美である仏像を、生活の中で楽しむことをコンセプトにしています。そのためか、サイズもそれぞれ約W65×H175×D65mmと手のひらサイズで重さも175gと非常に軽くなっています。石粉と樹脂を混ぜ合わせたポリストーンという素材でできています。

また、国宝などの著名な仏像の忠実な再現力には定評があり、人気の阿修羅像を中心に、2019年12月現在、約40種を超える仏像や関連製品をラインアップしています。今回の「TanaCOCORO 観音菩薩 勢至菩薩」も、表情、宝冠、衣の木目など、同じように見えて実は異なる二体の細かな差異にこだわって制作しており、平安時代前期の像が持つ重厚な存在感を損なわぬよう仕上げています。

ちょっと楽しんでいるかのような菩薩のジワるポーズを眺めながら、癒やされるというのも仏像のひとつの楽しみ方かもしれません。

>> イスム

 

(文/&GP編集部)


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