Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は、2020年をネクタイを締めて過ごすつもりも、中国語を習うつもりも、Facebookを改修するつもりもない。「毎年恒例のチャレンジではなく、世界と私の生活が2030年にどうあってほしいかを考えようと思う」と米国時間1月9日にFacebookに書いた。ただしご想像のとおり、ザッカーバーグ氏の世界をよくするビジョンには、Facebookのファミリー製品が数多く含まれている。
本日の発言の主旨はは以下のとおり。
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- AR(拡張現実):スマートフォンは今後10年のほとんどの間、主要なコンピューティングプラットフォームになるだろうが、ARが人と人との間からデバイスを取り払い、一緒に存在できるようになる。FacebookはARゴーグルを作っている。
- VR(仮想現実):VR技術の進歩によってどこからでも仕事ができるようになり、住宅危機を救う可能性がある。FacebookはOculusをつくっている。
- プライバシー:インターネットがつくったグローバルコミュニティーでは、人々が独自性を確立することが難しくなったが、小さなオンライングループをつくることによって再び特別な存在と感じられるようになる。Facebookはプライベートグループやメッセージングの方法を増やしている。
- 規制:テクノロジーが直面している大きな問題は、民間企業が単独で対処するには厄介すぎるので、政府が選挙、コンテンツ管理、データポータビリティ、プライバシーなどに介入する必要がある。Facebookはこうした問題を含めあらゆる場面で自主規制することで、厄介な法律の制定を防ごうとしている
いずれも理にかなった予言と提案である。しかしザッカーバーグ氏の投稿は、2010年代に広まったFacebookのさまざまなサービスも、自身の提起する問題の多くに寄与していることについてほとんど言及していない。
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- 孤立 :FacebookやInstagramでの受動的なスクロールの連続は、友達との真のやり取りを経ることなく社交的でいられる手段を作った。
- ジェントリフィケーション :シャトルバスで通勤するFacebook社員が住むことによって、世界中の都市、中でもベイエリアの家賃は急騰した。
- 嫉妬:Facebookのアルゴリズムは、華やかでInstagramに値する生活をしている以外の人々の重要性を排除しねない。アカウントはハッカーに盗まれる可能性があり、管理システムが過ってアカウントを停止しても補償はほとんどない。
- 怠慢: 成長第一のメンタリティーによって、Facebookのポリシーと安全性はその影響力に後れを取り、その結果民主主義、コンテンツ、反競争的行為、プライバシーなどに関わる問題が生まれている。
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ザッカーバーグ氏の投稿で目に見えて欠けているのは、物議をかもしているFacebookのサービスや取組みについての明確な説明だ。「機会の非中央集権化」に関して小企業に販売ツールを与えることを書いているが、暗号通貨やブロックチェーンやリブラに関する直接の言及はない。代わりに、Instagramの店舗機能やMessengerによるカスタマーサポートやWhatsAppの送金機能で十分だと言っているように見える。さらに同氏氏はPortalも無視している。これはFacebookが作った遠くの家族を近くに感じさせるスマート端末だが、監視とデータ収集のツールと見る向きもある。
ザッカーバーグ氏が公人として、また人間の基本的インフラの運用者としての役割を果たそうとしていることを私はうれしく思う。彼が四半期利益を重要視するだけでなく、長期的問題について考えようとする意欲は重要だ。存在しないものを作るためには楽観が必要だ。
それでも、もし同氏が2030年を今よりよい世界にしたいのであれば、そしてもっとFacebookにやさしい世界にしたいのであれば、暗黒の未来を予言している懐疑派や反対派をもっと呼んでくるべきかもしれない。欲望とうぬぼれへの人間の衝動を理解している人々だ。Facebook製品がもたらす可能性のある社会的問題に関する彼らの予言は、ザッカーバーグチームの理想主義者たちが将来の可能性と現在へのリスクのバランスを取れる会社を作るのに役立つだろう。
Facebookが理想主義だけでは成功しないことについては、以下の記事も参照してほしい。
関連記事:Zuckerberg asks forgiveness, but Facebook needs change
[原文へ]
(翻訳:Nob Takahashi / facebook )
- Original:https://jp.techcrunch.com/2020/01/10/2020-01-09-zuckerberg-decade-challenge/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Josh Constine
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