画面がグニャグニャ曲がらないスマホもノートPCももういらない! 

世界最大のITショーであるCES 2020に集まったスマホは、これからのトレンドを先取りし数年後には当たり前になっている製品ばかりだった。中でも目立っていたのは画面が曲がるスマホだ。しかも曲がるのはスマホだけではなく、ノートPCの画面までも曲がっていたのだ。2020年は「曲がる画面」が当たり前になりそうだ。

縦折りRazrはカッコいい
ハインセンスは3折りに挑戦

モトローラは2019年11月に発表した縦折り式のスマホ「Razr」の実機を展示した。これまで出てきた折りたたみスマホは画面を左右に折り曲げる形状で、開くと大画面を利用できるというものばかりだった。一方Razrは縦に曲げるスマホで、閉じれば手のひらに収まるコンパクトボディー、開くと6.2インチサイズの普通のスマホとして使える。仰々しく開いて存在をアピールする製品ではなく、さりげなく片手で持ちながら、いざってときに片手でフリップを開いて人に見せびらかす、そんなスマートな使い方ができるのだ。

縦に曲げられるRazr。折りたたむと手のひらにすっぽり入る大きさになる

折りたたみスマホに美しさを感じさせるモトローラに対し、中国TCLは様々な形状で対抗意識をあらわにした。TCLはすでに縦折り式や横折り式のディスプレイを搭載したスマホのコンセプトモデルを発表しているが、CES 2020ではそれらをさらに進化させたモックアップを展示していた。

まずは横折りタイプながら、3つに折りたためるスマホだ。今出ている横折りスマホに画面をもう1枚追加して、左右から折りたたむことで普段は普通のスマホの大きさとなり、広げるとやや横に長いタブレットサイズとなる。3つのディスプレイのうち左右を若干曲げればそのまま机の上に建てることができるので、無線接続キーボードをつなぎノートPCのような使い方もできそうだ。

3つに折りたたむことができるTCLのスマホモックアップ。

この大型になる折りたたみスマホだけではなく、腕に巻き付けることのできるディスプレイを使ったウェアラブルデバイスのモックアップもTCLは展示した。自由に曲げられるため腕にジャストフィットするようにはめることができるわけだ。実はこの手のディスプレイは中国のNubiaが「Nubia α」として製品化しているが、曲がるディスプレイの大きさは小さい。Nubia αはスマートウォッチとスマホのちょうど中間的な用途を考えたデバイスだが、TCLの腕巻きディスプレイのサイズなら、このままスマホとして使うこともできるだろう。2020年後半には「腕巻きスマホ」が実現するかもしれない。

巻き付け可能なディスプレイなら、「腕巻きスマホ」も実現できそうだ。

レノボやデルはノートPCも曲げる
折りたたみ端末はスマホ以外にも広がる

このようにスマホの世界は折りたたみや曲げられるディスプレイの採用がこれからのトレンドになろうとしている。だが我々が毎日持ち運ぶモバイル機器はスマホだけではない。レノボはノートPCに折り曲げ可能なディスプレイを搭載した「ThinkPad X1 Fold」を公開した。

ThinkPad X1 Foldは閉じた状態では普通のノートPC同様、そのまま使うことはできない。しかし開くと13.3インチの大型タブレットとなり、Windowsを利用できるのだ。また本を持つように開いて使うこともできる。あるいは縦方向に折り曲げれば、机の上においてちょうどよい角度で動画などを見ることもできるのだ。

ノートPCにも折り曲がるディスプレイの採用が始まった。

ThinkPad X1 Foldはディスプレイを内側に折りたたむ。この構造のディスプレイはサムスンのGalaxy Foldのように、完全に折りたたんだ時にディスプレイとディスプレイの間にわずかな隙間ができてしまうのが欠点だ。しかしThinkPad X1 Foldはその隙間も有効利用し、なんとBluetoothキーボードを挟んで持ち運ぶことができる。ThinkPad X1 FoldはノートPCでもあるからキーボードが必要だが、それを無線接続とし畳んだディスプレイの間に挟んで収納するというアイディアはさすがと言える。

Bluetoothキーボードの持ち運び時には折りたたんだディスプレイの間に収納する

レノボだけではなくデルも折りたたみディスプレイを採用した「Ori」を公開。また2枚のディスプレイをヒンジで貼り合わせた「Concept Duet」も発表している。マイクロソフトが2019年10月に折りたたみPC「Surface Neo」のコンセプトを発表して以来、ノートPCも畳めるデザインの製品が次々と登場しているわけだ。

デルも折り畳み端末市場に参戦する。

利用シーンに応じて使い分け
曲がらないスマホはスマホにあらず

このように次々と登場する折りたたみ型のモバイル機器、そのメリットは何だろうか? それは書籍や雑誌、あるいは手帳を使うことを考えるとわかりやすいだろう。たとえば雑誌ならコーヒー片手にカフェの椅子に座わっているときは、左右のページを開いて読む。しかし混んでいる電車の中なら半分に折って読むだろう。新聞も自宅なら大きく広げ、朝のラッシュ時ならば細く折りたたんで読む、なんて人が多いだろう。

しかしスマホやタブレットはこれまで「1枚の板」であり、そのサイズを変えることはできなかった。だから片手で持てるスマホのサイズは手のひらの大きさに制約されてしまい、はがきや封筒程度の大きさにしかできなかったのだ。しかし折りたたみスマホの登場で、文庫本を片手で持ったり、開いて読んだりと、シーンに応じて画面サイズを大きくしたり小さくして使うことができるのである。

Razrはたたむとこんなにコンパクト。このまま本体を振って自撮りできる。

折りたたみスマホには面白いアイディアの製品もある。castAway caseはスマホのケースだが、そのケースが別のスマホ(Wi-Fi接続なので、超小型タブレット)なのだ。折りたたむようスマホをカバーするケースそのものが、もう1台のスマホのように動くのだ。castAway caseはChromium OSで動く。つまりChromeのブラウザが使え、またスマホ側の写真や動画をシェアできる。一方右側はこのcastAway caseに合わせて、同じサイズに作られたスマホケースだ。入れるスマホ(iPhone、ギャラクシーなど)に応じて複数のケースが用意される。

castaway cseはスマホのケースが2枚目の画面になる。

castAway caseは開いたり閉じたりでき、たたんで持ち運びできるほかに、左右を分離して使うこともできる。ディスプレイそのものが曲がらない代わりに、それぞれを1つずつのスマホのように使えるのだ。「たためるスマホ+分離スマホ」という、これまた新しいアイディアを実現した製品なのだ。

castAway caseは分離して1台ずつのスマホのように使える。

スマホやタブレット、ノートPCは今までは画面が曲がるなんてありえなかった。しかし2020年以降の製品は、曲がってあたりまえ、持ち運ぶときにコンパクトサイズになる製品が次々と出てくるのだ。曲がるディスプレイを活用するアプリもいろいろ出てくるだろうから、全く新しい使い方ができるようになるかもしれない。

ハンドバッグにも曲がるディスプレイ?応用範囲はどんどん広がりそうだ。


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