元従業員が競合企業を設立した問題、訴訟でAppleが一歩リード

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Appleで「A〜」シリーズのチップ開発プロジェクトに携わっていた元従業員が、退職後に独自のチップ開発企業を設立したのは契約違反ではないかとする問題で、Appleによる訴訟を無効だとする従業員側の訴えが退けられたことが分かりました。

Aシリーズ開発の主要人物

Appleに提訴されたジェラルド・ウィリアムズ氏は、A7(iPhone5s)〜A12X(iPad Pro)のチップ開発に携わっていた主要人物であり、退職後に他の元従業員とともに自分たちのチップ開発企業Nuviaを設立しました。
 
ウィリアムズ氏がAppleでいかに重要なポジションを占めていたかは、Appleによる60以上の特許に彼の名前が確認できることからも分かります。
 
しかし、そこまでの重要人物だったからこそ、Appleを退社した後にチップ開発企業を興すことを見過ごしてはおけなかったのでしょう。

Appleに在籍時から入念な準備

Appleの訴状によると、ウィリアムズ氏は同社に在籍していた時点で、退社にあたって入念な準備を整えていたそうです。
 
ここで言われる“入念な準備”とは、ただ引き継ぎ準備を整えるといった次元ではなく、Nuvia設立にあたって問題がないようにチップデザインを巧妙にコントロールする、他の従業員を引き抜こうとするなど、事実であるとすればかなり悪質なものでした。
 
言わずもがな、一連の行動は契約違反であり、訴状では「Appleのために技術を開発しよう(exploiting)とするよりも、ウィリアムズ氏はAppleから技術を盗む(exploit)機会をこっそりと窺っていた」と述べられています。
 
こうしたAppleの訴えに対しウィリアムズ氏は、契約に法的拘束力がないことや、同社がテキストメッセージを監視していたことなどを理由とし、訴えは無効だと反論していました。

ウィリアムズ氏の反論は退けられる

しかし米カリフォルニア州サンタクララ郡裁判所は、雇用期間中に従業員が自身の立場を利用し、競合企業を設立するための準備を整えることを法律は認めていないとし、ウィリアムズ氏の反駁を退けました。
 
また「Appleが証拠として持ち出したテキストメッセージはプライバシー侵害であり違法な監視に他ならない」とする同氏の訴えについても、盗聴や機密情報の記録の結果得られたものではないとし、同様に棄却しました。
 
今回の判断によって、訴訟ではAppleが一歩リードした格好ですが、あくまでも訴えが正当だと認められたのであり、現時点では同社が勝訴したわけではありません。今後も裁判は続きます。
 
 
Source:Bloomberg,9to5Mac
(kihachi)


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