H1 Insightsの共同創業者で最高経営責任者であるAriel Katz(アリエル・カッツ)氏は「個々の研究者と医療従事者のプロフィールを集めるビジネスを作り上げて、業界への販売することが希望です」と語る。
ヘルスケア業界では、信じられないほど細分化されて壊れたシステムからデータをより効率的に引き出せるように、考えられる限りのデータをデジタル化して分析することが使命となっている。カッツ氏にとって、業界に対してその道の専門家たちに関するデータを提供することほど明らかなチャンスはない。
このアイデアは医療専門家向けのLinkedInを作成することのように聞こえるかもしれないが、正確な専門家たちのエコシステムを構築することは、製薬会社、病院、保険会社などの企業、そして最終的には消費者にとって大きな助けになる可能性がある。
カッツ氏にとっては、従来、不透明だったデータセットの透明性を生み出すという、自身の長におよぶミッションを継続することになる。カッツ氏は、最初の会社であるResearch Connection(現在の名称はLabSpot)を、3年前に売却した。その会社は、学生たちがどの学部もしくは大学院の研究に応募すれば良いかを知ることができるように、全国の大学で進行中の研究を知ることができるサービスを提供していた。
会社の売却後、若い起業家はインドでの休暇に出かけ、そこで彼は共同創業者となるIan Sax(イアン・サックス)氏に出会った。「彼はマザー・テレサのもとでボランティアをしていた彼の妻に付いてやってきた人物で、最終的には人材派遣会社を始めました」
2人は友人となり、共同でプロジェクトに取り組むようになった。その中には医学部の学生が仕事を見つけるのに役立つソフトウェアもあった。
議論を重ねるうちに2人は、どの大学でどのような研究が行われているか、どの病院でどのような臨床試験が進行中であるかについての透明性が欠けていることにすぐに気がついた。そして2人は、目に見える専門家たちのネットワークが、医療業界の手に負えないほど多くの問題を解決するのに大いに役立つと考えたのだ。
「医薬品、バイオテクノロジー、および医療機器メーカーは、研究者や病院との提携に年間300億ドル(約3兆2700億円)を費やしています」とカッツ氏は言う。「例えば製薬側のユーザーが、研究者の分類と検索、そしてランク付けと分析をできるようにしたならば、コストを削減し問題を解決する役に立つでしょう」
カッツ氏は、透明性は多くのヘルスケアの医薬品開発ならびに発見の問題を解決するのに役立つという一方で、他の問題を生み出してしまうことを警戒している。H1 Insightsは、データベースの利用方法に関する一連のルールを用意しており、カッツ氏はこれで悪用を制限できることを望んでいる。
「製薬会社のセールスおよびマーケティング部門には販売しません」と彼はいう。考えられるリスクは、これらのセールスおよびマーケティング部門が医師に不当な圧力をかけて、研究をゆがめる可能性があることだ。
H1が収集するデータはすでに公開されているものなので、同社がユーザーが作成するデータを利用してデータセットを構築する必要はない。「すべて公開されているものです。最大の問題は重複を排除することです」とカッツ氏は言う。
同社のデータベースには、すでに35万人の学術研究者と400万人の医療従事者が登録されている。
その知識体系が十分に魅力的だったため、Y CombinatorはH1 Insightを最新の企業グループのメンバーとして受け入れている。
H1 InsightsはYCの支援によって、ビジネスをグローバルに展開し、製薬業界、医療提供者、そして最終的には消費者向けのアプリケーションを開発したいと考えている。
そうした豊富なデータから生まれた最初のアプリケーションは、臨床試験だ。
「臨床試験が失敗する最大の理由は、実施者の募集なのです」とカッツ氏は言う。「隣接領域で臨床試験を成功させた治験主任医師を見つけることができれば」製薬会社は成功の可能性を高めることができる、と彼は言う。
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(翻訳:sako)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2020/01/28/2020-01-27-h1-insights-is-giving-the-healthcare-industry-the-ultimate-professional-database/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Jonathan Shieber
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