海外ではビヨンド・ミート(Beyond Meat)やインポッシブル・フーズ(Impossible Foods)などの代替肉を開発し提供するスタートアップが話題だ。マクドナルドはビヨンド・ミート社製の代替肉を使用したハンバーガーをカナダでトライアルとして提供しており、1月開催のConsumer Electronics Show(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー:CES)では、インポッシブル・フーズは特に注目された企業の1つだったとも言える。
ここ日本でも、日本ハムが「NatuMeat(ナチュミート)」のブランド名で3月にも代替肉市場に参入することや、イトーヨーカドー横浜別所店で、2019年10月に「大豆ミート」の専用売り場を設けたことが報じられている。
そんな中、日本発の代替肉スタートアップDAIZは1月29日、冷凍食品大手のニチレイフーズと資本業務提携を締結したことを発表した。出資金額は5000万円。DAIZの植物肉原料と、ニチレイフーズの商品開発力、販売力を掛け合わせ、日本の植物肉市場の拡大を目指す。
DAIZは2015年設立のスタートアップで、大豆由来の植物肉原料の開発、製造、そして植物肉原料を用いた食品の開発、製造および販売を行なっている。
国連が2019年7月に発表した「世界人口推計2019年版」は、地球上の人口は2050年までに約100億人に達すると予測。人口増加と新興国の経済成長により、2030年にはタンパク質の需要に供給が追い付かなくなる「タンパク質危機」の時代が到来とも言われており、代替タンパク質としての植物肉の世界市場は9兆円を超えるとの予測もある。
だが、DAIZいわく、味と食感に残る違和感、大豆特有の青臭さや油臭さ、肉に見劣りする機能性といった課題が残っていることが、本格的な普及の妨げとなっていた。同社ではそのような課題を解決し、植物肉の普及を目指す。
DAIZは、独自の栽培法「落合式ハイプレッシャー法」と独自の膨化成形技術で、肉らしい味と食感の再現、大豆特有の異風味の低減、そして機能性の向上を実現した大豆由来の植物肉原料の開発に成功した、と説明。落合式ハイプレッシャー法では、大豆の発芽中に、酸素、二酸化炭素、温度、そして水分などの生育条件にプレッシャーを与える。それにより、酵素が活性化し、遊離アミノ酸量が増加することで、大豆の旨味を引き出しているという。また、独自の膨化成形技術により、他の原料や添加物を何も足さずに、肉の様な食感を再現しているそうだ。同社は九州大学、ならびに京都大学と共同研究している。
DAIZいわく、今回の資本業務提携では、「植物肉の商品ラインナップの拡大、ひいては『第4の肉として植物肉を食す』という食文化の浸透」を目指す。そして、「植物肉の供給量を増大させるため、生産体制確立として設備投資を実行する」予定だ。
ニチレイフーズは「DAIZが研究、保有する『発芽大豆』は、素材が持つおいしさと優れた栄養成分を兼ね備える一方で、既存の植物性たんぱく質の課題である『独特な風味』、『食味、食感の物足りなさ』を解決できる素材だ」と評している。
DAIZは東京証券取引所マザーズ市場への早期の株式公開を目指している。
- Original:https://jp.techcrunch.com/2020/01/29/daiz/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Daisuke Kikuchi
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