きっかけは、ブライアンの左手に巻かれたダイバーズウォッチ
映画『ボヘミアン・ラプソディ』の公開を機に、今また大きな注目を集めているQUEEN。なかでも日本では、バンドがデビューした直後から多くのファンを獲得していたこともありブームが再燃。去る2020年1月に行われた、アダム・ランバートをボーカルに迎えての来日公演は全日程ともソールドアウトとなり、また同時期より開催が始まった「クイーン エキシビジョン ジャパン〜ボヘミアン ラプソディ」も連日大盛況となっている。そんなQUEEN旋風が吹き荒れる1月21日、突如発表されたのが「セイコー 5スポーツ ブライアン・メイ コラボレーション限定モデル」だ。
セイコー
セイコー 5スポーツ ブライアン・メイ コラボレーション限定モデル SBSA073
6万3800円
そもそも、ブライアン・メイがセイコーの時計を愛用しているというのは、ファンの間ではよく知られた話で、数々のライブショットやオフショットでセイコーの時計を着用している姿が確認できる。ブライアンが着けているのは「プロフェッショナルダイバー200M(Ref.7548-7010)」で、これはセイコーが1980年代半ばに発表したクオーツのダイバーズモデル。来日した際に本人が購入したものだというから、おそらく1985年のThe Worksツアーのときであろう。
もちろん、セイコー側でも以前よりこの事実をキャッチしており、2018年に映画が大ヒットとなったことを受け、いよいよブライアン・メイとのコラボレート企画を立案。本人のオフィシャルWebサイトを通じてアプローチしたことから今回のコラボレートモデルがスタートしたのだという。このモデルを企画したセイコーウオッチの岩見欣哉氏は次のように振り返る。
「いわば“飛び込み営業”のような形でメールを送ったのが始まりです。『セイコーの時計を着けていただき感謝している』という内容とともに『コラボレーションの企画を考えているのだが、協力していただけないか?』という趣旨のメールを送ったところ『非常に乗り気だ』という回答を得られ、そこから製作がスタートしました。2019年1月のことなので、ちょうど1年前ですね」
今回のコラボモデルは「セイコー 5スポーツ」にラインナップされている。ブライアン・メイの愛用モデルを考慮すれば現行のダイバーズウォッチをベースに製作するのがスマートなようにも思えるのだが、なぜ「セイコー 5スポーツ」に落ち着いたのか。そこには「セイコー 5スポーツ」とQUEENに多くの共通点を見出したからだと岩見氏は説明する。
「『ファイブスポーツ』は若い世代に向けて1968年に販売を開始し、2019年に『セイコー 5スポーツ』として新生した50年以上の歴史を持つシリーズです。1971年に結成されたQUEENも同じように長い歴史を持ち、しかも当時の若い人たちに向けて多様な音楽性を展開していた点に『セイコー 5スポーツ』と近いものを感じました。それにQUEENは『ボヘミアン・ラプソディ』が公開されたことで今の若い世代にもその存在が知られ、新たなファンを獲得している。まさに、当時のファンを大事にしながら若い人たちにもアピールしていこうとする、『セイコー 5スポーツ』のフィロソフィーに合致すると考えたのです」
また、「セイコー 5スポーツ」が自社のダイバーズウォッチをモチーフにデザインされており、ブライアン・メイが所有する時計とルックスが近いことも、このシリーズで製作するうえでのポイントになったという。
デザインモチーフは、ブライアンの愛器「レッド・スペシャル」
「セイコー 5スポーツ ブライアン・メイ コラボレーション限定モデル」が取り入れたのは、ブライアン・メイの愛器「レッド・スペシャル」の意匠だ。これは50年前、自宅のテーブル(オーク材)などを用い、エンジニアであった彼の父とともに自作したギターで、ピック代わりに6ペンス硬貨で弾くスタイルにより独特のサウンドを生み出すブライアン・メイのアイコンでもある。
「ダイアルのデザインは当初からレッド・スペシャルで展開したいと考えていて、それについては本人も『いいアイデアだ』と言ってくれました。セイコーの時計はダイアルにも力を入れていますが、今回はギターボディの質感を表現するために手間のかかる工程で製造しています。グラデーションを加えたこともウッドの質感を出すうえでは効果的でしたね。これはデザイナーが最もこだわった部分です。担当したのは弊社の女性デザイナーで熱狂的なQUEENファン。通常はレディスのコレクションをデザインしているのですが、この企画については『私以外に担当できる人間はいない!』という勢いでしたからね(笑)」
ダイアルに深みのある色合いを出すのは大変だったようで、何枚ものパターンを試作。それらすべてを送り、ブライアン本人が確認したうえで最終決定したという。またダイアルのみならず、ケースのカラーやストラップについてもそれぞれいくつかのオプションを提示し、本人の意向を取り入れて製作が進められた。
「なかでもストラップは彼の意向が顕著でした。というのも、彼はヴィーガンなので、天然のレザーはNGだと。であれば合成皮革かナイロンという選択肢になり、最終的に彼のギターストラップに見た目が近いナイロンに決定しました」
さらにユニークなのが付属品だ。ボックスは、ブライアン・メイがツアーを回るときにギターを収納していたフライトケースに着想を得ており、これは本人から画像を提供してもらいデザインしたという。また、6ペンス硬貨をイメージしたコインも付属しているが、これはブライアン・メイのアイデアを具現したもの。コインに刻む文言や絵柄を本人が監修するのみならず、コインの製造も彼が依頼している工場で行われたという。
「付属品にここまで注力できたのは、ブライアン・メイが今回の企画に乗ってくれたからこそ実現できたことです。それは、もしかしたらファーストコンタクトの際、QUEENの代表曲のひとつである“RADIO GA GA”のリリックを用いて機械式時計の魅力を伝えたことが彼の琴線に触れ、熱量を込めてくれたのかもしれません──ラジオの時代があり、ラジオには力があった。ラジオはまだまだ終わってはいない──それは、機械式時計にも同じことが言えるんです、といった具合ですね(笑)」
問セイコーウオッチ●0120-061-012
https://www.seikowatches.com/jp-ja/products/5sports/special/brianmay/
- Original:https://www.digimonostation.jp/0000121625/
- Source:デジモノステーション
- Author:竹石祐三
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