ARMは米国時間2月10日、2つの新しいプロセッサーを発表した。あるいは、見方によっては1個半というべきかもしれない。世界中の大半のスマホやスマートデバイス用のチップを設計し、パワーを供給する同社は、最新のCortex-Mプロセッサ(M55)とArm Ethos-U55マイクロ・ニューラル・プロセッシングユニット(NPU)を発売した。
前任機同様、新しいCortex-M55も、Armの組み込みデバイス向けのプロセッサーだ。これまでにArmのパートナーは、Cortex-Mのデザインに基づいて、500億個以上のチップを製造した。この最新バージョンは、もちろんさらに高速で、電力効率にも優れているが、Armとしては主に機械学習のパフォーマンスに重点を置いたものとなっている。Armによれば、M55は、ベクトル計算を高速化するためのArm独自のHeliumテクノロジーに基づく最初のCPUであり、MLモデルの実行が以前のバージョンよりも最大15倍速くなっているという。
多くのユースケースでは、M55はもちろん十分に速い。しかしさらにMLパワーを必要とする場合には、Ethos-U55が、デバイスメーカーにそのパワーを提供できる。これなら、Cortex-Aのエコシステムにステップアップする必要もない。ArmのスタンドアローンのEthos NPUと同様、これらのチップは機械学習のワークロードを高速化することができる。ただしU55はシンプルな設計となっていて、M55、M33、M7、M4など、最新のCortex-Mプロセッサとの組み合わせでのみ動作する。両者を組み合わせて使うことで、機械学習のパフォーマンスを最大480倍まで高速化できる。
「近年を振り返ってみると、人工知能はクラウド上でのデータ分析の方法に革命をもたらしました。そして、特に今日のスマートフォンのユーザー体験を増強したのです」と、Armのプロダクトマネージメント担当取締役、トーマス・ローレンサー(Thomas Lorenser)氏は語った。「しかし、次に来るもの、あるいは次のステップは、私にとってさらにエキサイティングです。どこでもAIを利用できるようになるのです。そしてAIのメリットが、マイクロコントローラーによるIoTエンドポイントでも享受できるようになります。つまり、はるかに大規模なユーザーとアプリケーションにも届くのです。その規模は、文字通り数十億以上にもなるでしょう」。
この言葉が、Cortex-MとEthos-Uの組み合わせの意味をよく表している。ここでのアイデアは、より多くのパワーを隅々にまでもたらすということ。多くのユースケースでは、クラウドへデータ送信するのは非現実的なのだ。ローレンサー氏も強調したように、無線通信によってクラウドにデータを送信するのは、AIモデルをローカルで実行するよりも多くのエネルギーを消費することになりかねない。
「初期のAIの議論の多くは、クラウド空間での処理についてのものが大勢を占めていたでしょう。しかし私たちが注目してきたのは、IoT空間でのイノベーションであり、実際の実装と展開です。これは大規模なものであり、非常にすばらしいユースケースがあります」と、Armの機械学習のコマーシャルおよびマーケティング担当副社長、デニス・ローディック(Dennis Laudick)氏は付け加えた。
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(翻訳:Fumihiko Shibata)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2020/02/12/2020-02-10-arm-focuses-on-ai-with-its-new-cortex-m-cpu-and-ethos-u-npu/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Frederic Lardinois
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