2020年の春から、携帯電話各社が「5G」の商用サービスを開始します。5Gとは「5th Generation(第5世代)」を意味します。現在の4Gよりも通信速度が速くなり、遅延が少なくなり、多くの端末を同時に接続できるなど、私たちの通信環境が大きく変わります。普及したら、自宅に引き込んだブロードバンド回線は要らなくなるかも? そんな画期的なサービスです。
■5Gサービス開始に合わせて「AQUOS R5G」を発売
2月17日に、シャープが他社に先駆けて、日本で発売する5Gスマートフォンを発表しました。「AQUOS R5G」というモデルです。発売日や取扱事業者などは、まだ発表されていませんが、シャープのハイエンドスマホ「AQUOS R」シリーズの最新モデルなので、大手3キャリアから発売される可能性が高いでしょう。価格は「既存のハイエンドモデルと大きな差はないのでは?」ということでした。
▲今春の5Gサービス開始に合わせて発売される「AQUOS R5G」
▲6.5インチの高精細ディスプレイを搭載
▲背面には4眼カメラを搭載
▲厚さは約8.9mmで、既存のハイエンドモデルと同等のサイズ感
▲発表会では、実際に5Gでデータを受信するデモも披露された。結果は、4Gの半分以下の時間でのダウンロードできた
シャープは5G時代を迎えるにあたり、「8K+5G」をセールスポイントとしていくようです。「AQUOS R5G」は8Kビデオが撮れる4眼カメラを搭載。撮影した映像を5Gの高速ネットワークでスムーズに共有できるシステムを提供。
▲8Kビデオが撮れるカメラを搭載したことをアピール
▲発表会場では「AQUOS R5G」で撮ったビデオを、AQUOSの8Kテレビで再生するデモも披露
といっても、まだ8Kテレビを持っている人は多くはないですよね。そこで、8Kビデオをスマホで見るときにも役立つ機能が盛り込まれています。AIがビデオを解析し、主要な被写体を鮮明な画質なままでズームアップする「8Kフォーカス再生」という機能です。スマホには光学ズームカメラは搭載しにくいですが、高解像度センサーによって、細かい部分まで鮮明に撮影できるわけです。
▲スマホの画面の左上に表示されているのが元の8Kビデオのフレーム。ワイドな映像と、被写体にズームアップした映像の両方を楽しめる
■カメラもディスプレイも5G仕様
「AQUOS R5G」の4眼カメラは、望遠(12.2メガピクセル/F2.7)+超広角(48メガピクセル/F2.9)+広角(12.2メガピクセル/F1.7)+3D(ToF)センサーという構成です。
▲クアッドカメラのスペック。他社と比べてもトップクラスといえる
▲カメラアプリのユーザーインターフェイスは従来モデルから継承
メインで使う広角カメラはF1.7の明るいレンズを採用し、ピント合わせが的確で速いデュアルピクセルセンサーが採用されています。8Kビデオの撮影に用いられる超広角カメラは、4つの画像をまとめて1つの大きな画素として使える「クアッドベイヤー」という構造を採用。画質の向上も期待できそうです。
カメラ性能の向上や、5G向けコンテンツに合わせて、ディスプレイにも新しい技術が導入されています。昨年夏に発売された「AQUOS R3」に引き続き、10億色表示の「Pro IGZO」ディスプレイが搭載され、画面サイズは6.5インチ(3168×1400ドット)に進化。輝度はAQUOSスマホ史上最高の1000カンデラを実現。さらに、環境に合わせて明るさや色を最適化する「周辺光センサー」を搭載し、環境に応じてバックライトを制御して白飛びや黒つぶれを抑える新開発の「HDRエンハンサー」も搭載。要するに、どんな環境でも、見やすいキレイな画質で視聴できるとのこと。
▲周辺環境とコンテンツに合わせて画質を調整する独自機能を搭載
▲他社に先がけて導入している、必要な場合にのみ120Hzの高速駆動になるシステムの優位性も強調
シャープは、2021年度中にAQUOSブランドの全てのスマホを5Gに対応させることも宣言しました。ハイエンドモデルだけでなく、お手軽に買える5Gスマホも準備段階に入っているようです。
▲通信事業本部 本部長の中野吉朗氏が、2021年度には全てのAQUOSスマホが5G対応になることを予告
■最大4Gbpsの「5Gモバイルルーター」も今春発売
5Gの高速通信を利用できる「5Gモバイルルーター」も発表されました。5Gは、「Sub6」と呼ばれる6GHz未満の周波数帯と、「ミリ波」と呼ばれる28GHzなど高周波数帯が使われます。スマホの「AQUOS R5G」は、ミリ波だけに対応していますが、「5Gモバイルルーター」は両方に対応。より速いスピードで通信でき、長期的な使用も見込めるでしょう。
▲サイズは約157×84×16.1mmで、重さは約280g。既存のモバイルルーターと比べると、ひと回りもふた回りも大きめ
▲Sub6(サブシックス)とミリ波の両方に対応していることがアドバンテージ
通信速度は受信最大約4Gbpsで、送信最大約0.8Gbps。Wi-Fiの新規格「Wi-Fi6」にも対応し、最大16台を同時接続できるので、家庭はもちろん、小規模のオフィスや店舗などのメイン回線としても活用できそうです。キャリアが販売する予定で、価格は「予想がつかない」とのこと。
▲有線LANポートも備え、Wi-Fi6での高速アクセスにも対応
シャープの5Gスマホ&ルーターの発表を皮切りに、春に向けて、続々と5Gのデバイスやサービスが発表される見通しです。&GPでの続報にもご期待ください!
▲シャープの自信が感じられる発表会だった
(取材・文/村元正剛)
iモードが始まった1999年からモバイル業界を取材し、さまざまな雑誌やWebメディアに記事を寄稿。2005年に編集プロダクション「ゴーズ」を設立。スマホ関連の書籍・ムックの編集にも携わっている。
- Original:https://www.goodspress.jp/news/279948/
- Source:&GP
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