どう撮れているかは後でのお楽しみ!「アソビカメラ」を旅のお供にしてみたら…

旅行中、みなさんは何で写真を撮りますか? 写真が趣味の人なら多少荷物になろうともカメラを持ち歩くでしょうし、スマホだけで十分という人も多いはず。

カメラを持ち歩く人が減りつつあるいま、キヤノンが「iNSPiC REC(インスピック レック)」というカメラを昨年末に発売しました。このカメラは通称“アソビカメラ”と名付けられており、重さはたったの90g。

これだけ小さいなら旅行に持っていくのもアリだと思い、富山出張でのお供にしてみました。一体どんなカメラなのでしょうか?
 

■手のひらサイズのカラビナ一体型

iNSPiC RECは、一見すると10年ほど前に流行った「トイカメラ」を思い起こさせるようなデザインです。高画素なデジカメが登場するなか、あえて画素数が低く、フィルムを使うトイカメラが流行ったあの時代を思い出させてくれます。

▲サイズは幅約110.5×高さ約45.2×奥行き約18.5mm。重さは約90gと軽量なのが特徴

もちろん、いまの時代に合わせて、有効画素数約1300万画素のデジタルカメラとなっていますが、ファインダーと液晶モニターはありません。写真の仕上がりは撮るまでわからないのがiNSPiC RECなのです。

▲背面にはモードダイヤルがある。「写真モード」「ビデオモード」「マルチモード」「ワイヤレスモード」を選択可能

iNSPiC RECには約2コマ/秒の連写が可能な「写真モード」、最長10分間の撮影ができる「ビデオモード」、シャッターボタンを押す長さを変えることで、写真とビデオを撮影できる「マルチモード」、スマホでのリモート撮影が可能な「ワイヤレスモード」があります。

▲本体側面のシャッターボタンはしっかり押さないといけないので、片手での撮影には慣れが必要

データはmicroSD、microSDHC、microSDXC メモリーカードに保存する仕様で、充電式。メモリーカードの容量にもよりますが、写真は約1000枚、動画は約60分(フルHD/60p撮影時)までの保存が可能です。

▲充電式なので、いざとなればモバイルバッテリーで充電しながら使える

本体のフレーム部分はカラビナ型クリップになっており、ズボンやリュックにさっと引っ掛けられるようになっています。ただ、このクリップが思ったよりも小さめだったので、引っ掛ける場所は少し選ぶかもしれません。

▲急いで撮影したいときに外すのが少し手間取った。スマホよりも小さいので、ポケットから出し入れしやすく、ネックストラップで首からぶら下げておいてもいい

 

■防水・防塵対応なので雨の日もOK

今回、富山を訪れた日はあいにくの雨模様。普通のカメラなら雨の日に使うのは少し抵抗がありますが、iNSPiC RECはIP68相当の防水・防塵性能なので、濡れることへの不安はありません。さらに2mの耐衝撃性能も備えるので、かなりタフに使えます。

▲富山の路面電車を撮影。スマホのディスプレイ上で見るくらいなら画素の粗さは感じない

旅先では何があるかわからないので、多少過酷な環境でも気にせず使えるのは大きな強みといえるでしょう。今回は旅先で使いましたが、キャンプや海などのアウトドアでも安心して持ち運べそうです。

▲富山といえば製薬が有名なので、「池田屋安兵衛商店」を訪れた。カラフルな薬のパッケージを撮影したが、室内なので明るさが少し足りない

持ち歩きに関してはかなり心強いのですが、カメラ自体は最近のスマホよりも少し心もとなさを感じます。光量が少ない場所では画像の荒れが目立ってしまうのです。

▲建築家・隈研吾が手掛けた「富山市ガラス美術館」。明るい場所では光が柔らかく表現されている

▲ガラス美術館の撮影OKエリアにて撮影。光量が少ない場所での撮影にはあまり向かないようだ

とはいえ、明るさが十分な場所ではクリアな写真に仕上がっています。露出補正やオートフォーカス機能はないので、アウトドア向きなカメラなのかもしれませんね。

▲路面電車に乗った途端に青空が見え始めた。太陽光の表現の仕方はスマホと少し違うように感じる

 

■ファインダーがないので想定外の写真になりやすい

使ってみて感じたのが、「ファインダーがないってこんなに難しいの!?」ということでした。普段、スマホやデジカメではディスプレイを見て撮れる画を確認してからシャッターを切りますが、本体のフレームをファインダーとして使うと、どうしても左右もしくは上下にズレてしまうのです。

▲富山到着時に撮影した駅の看板。自分では写真の中央に富山の文字が来ているつもりだったが、微妙に右にずれている

▲縦向きで写真を撮ったところ、地面が無駄に多く写ってしまった

もうひとつ注意したいのは、近い距離で撮影するとピンボケしてしまう点。撮影可能距離は50cm〜なので、それより近い距離で撮ると、背景にピントが合ってしまいます。今回の撮影中、この失敗を何度か繰り返してしまったので、ディスプレイに頼り切って撮影していたことに改めて気付かされました。

▲麩を使ったカラフルなパフェ。ピントがボケているうえに明るさが足りていない

 

■ミスった写真はスマホに保存して加工!

正直、スマホやデジカメで撮影するよりも、思ったような仕上がりにならないのがiNSPiC RECです。しかし、撮影した写真はスマホにダウンロードできるので、「加工してからSNSにアップすればいい」と割り切ってしまうのもアリだと感じました。

▲スマホに接続することでバッテリー残量がわかる(写真左)。撮影した写真は専用アプリもしくはPCで確認する(写真=右)

先ほどのピンぼけしたパフェの写真は淡い色のフィルターをかけてトリミング、なんとなく撮った景色はフィルムっぽい色合いに加工してみましたが、このほうがグッと良くなった気がします。

▲あえてふんわりした写真のように見えて、これはこれでかわいい

▲フィルム写真のようなフィルターをかけたことで、シャープな印象になった

もちろん、慣れればある程度思ったように撮れますし、スマホでプレビューしながら自撮りすることも可能です。プレビュー撮影時はタイマーも設定できるので、旅先で記念撮影したいときも活用できます。

▲かわいいパッケージのお茶を見つけたので大人買いしてお土産にした

iNSPiC RECは、思ったとおりの写真を撮るためのカメラではありません。むしろ、偶然撮れた写真を楽しむためのもの! 実売価格は1万5000円前後。シャッターを切ってからしか写真が見られない”あの頃の不便さ”と、現代ならではの”スマホ連携”を融合させた、新しいのにちょっと懐かしさを感じること必至です。

>> iNSPiC REC

 

(取材・文/今西絢美

いまにしあやみ/エディター、ライター

いまにしあやみ/エディター、ライター

編集プロダクション「ゴーズ」所属。スマートフォンなどのデジタル製品を中心に、アプリや関連サービスに関する記事をウェブや雑誌で執筆中。趣味は食べ歩きで、食にまつわるサービスや製品のチェックがライフワーク。


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