旅行中、みなさんは何で写真を撮りますか? 写真が趣味の人なら多少荷物になろうともカメラを持ち歩くでしょうし、スマホだけで十分という人も多いはず。
カメラを持ち歩く人が減りつつあるいま、キヤノンが「iNSPiC REC(インスピック レック)」というカメラを昨年末に発売しました。このカメラは通称“アソビカメラ”と名付けられており、重さはたったの90g。
これだけ小さいなら旅行に持っていくのもアリだと思い、富山出張でのお供にしてみました。一体どんなカメラなのでしょうか?
■手のひらサイズのカラビナ一体型
iNSPiC RECは、一見すると10年ほど前に流行った「トイカメラ」を思い起こさせるようなデザインです。高画素なデジカメが登場するなか、あえて画素数が低く、フィルムを使うトイカメラが流行ったあの時代を思い出させてくれます。
もちろん、いまの時代に合わせて、有効画素数約1300万画素のデジタルカメラとなっていますが、ファインダーと液晶モニターはありません。写真の仕上がりは撮るまでわからないのがiNSPiC RECなのです。
iNSPiC RECには約2コマ/秒の連写が可能な「写真モード」、最長10分間の撮影ができる「ビデオモード」、シャッターボタンを押す長さを変えることで、写真とビデオを撮影できる「マルチモード」、スマホでのリモート撮影が可能な「ワイヤレスモード」があります。
データはmicroSD、microSDHC、microSDXC メモリーカードに保存する仕様で、充電式。メモリーカードの容量にもよりますが、写真は約1000枚、動画は約60分(フルHD/60p撮影時)までの保存が可能です。
本体のフレーム部分はカラビナ型クリップになっており、ズボンやリュックにさっと引っ掛けられるようになっています。ただ、このクリップが思ったよりも小さめだったので、引っ掛ける場所は少し選ぶかもしれません。
■防水・防塵対応なので雨の日もOK
今回、富山を訪れた日はあいにくの雨模様。普通のカメラなら雨の日に使うのは少し抵抗がありますが、iNSPiC RECはIP68相当の防水・防塵性能なので、濡れることへの不安はありません。さらに2mの耐衝撃性能も備えるので、かなりタフに使えます。
旅先では何があるかわからないので、多少過酷な環境でも気にせず使えるのは大きな強みといえるでしょう。今回は旅先で使いましたが、キャンプや海などのアウトドアでも安心して持ち運べそうです。
持ち歩きに関してはかなり心強いのですが、カメラ自体は最近のスマホよりも少し心もとなさを感じます。光量が少ない場所では画像の荒れが目立ってしまうのです。
とはいえ、明るさが十分な場所ではクリアな写真に仕上がっています。露出補正やオートフォーカス機能はないので、アウトドア向きなカメラなのかもしれませんね。
■ファインダーがないので想定外の写真になりやすい
使ってみて感じたのが、「ファインダーがないってこんなに難しいの!?」ということでした。普段、スマホやデジカメではディスプレイを見て撮れる画を確認してからシャッターを切りますが、本体のフレームをファインダーとして使うと、どうしても左右もしくは上下にズレてしまうのです。
もうひとつ注意したいのは、近い距離で撮影するとピンボケしてしまう点。撮影可能距離は50cm〜なので、それより近い距離で撮ると、背景にピントが合ってしまいます。今回の撮影中、この失敗を何度か繰り返してしまったので、ディスプレイに頼り切って撮影していたことに改めて気付かされました。
■ミスった写真はスマホに保存して加工!
正直、スマホやデジカメで撮影するよりも、思ったような仕上がりにならないのがiNSPiC RECです。しかし、撮影した写真はスマホにダウンロードできるので、「加工してからSNSにアップすればいい」と割り切ってしまうのもアリだと感じました。
先ほどのピンぼけしたパフェの写真は淡い色のフィルターをかけてトリミング、なんとなく撮った景色はフィルムっぽい色合いに加工してみましたが、このほうがグッと良くなった気がします。
もちろん、慣れればある程度思ったように撮れますし、スマホでプレビューしながら自撮りすることも可能です。プレビュー撮影時はタイマーも設定できるので、旅先で記念撮影したいときも活用できます。
iNSPiC RECは、思ったとおりの写真を撮るためのカメラではありません。むしろ、偶然撮れた写真を楽しむためのもの! 実売価格は1万5000円前後。シャッターを切ってからしか写真が見られない”あの頃の不便さ”と、現代ならではの”スマホ連携”を融合させた、新しいのにちょっと懐かしさを感じること必至です。
>> iNSPiC REC
(取材・文/今西絢美)
いまにしあやみ/エディター、ライター
編集プロダクション「ゴーズ」所属。スマートフォンなどのデジタル製品を中心に、アプリや関連サービスに関する記事をウェブや雑誌で執筆中。趣味は食べ歩きで、食にまつわるサービスや製品のチェックがライフワーク。
- Original:https://www.goodspress.jp/reports/280149/
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