キャッシュレス支払いによるポイント還元のメリットを享受したいならば、ちょっとした下調べが重要です。特に、2020年に注目しておきたいのが「マイナポイント事業」。予算案が通過した場合に9月から開始される事業ですが、それまでにマイナンバーカードの取得申請や予約、申し込みなどの手順を追う必要があります。直前になって手続きの混雑で慌てないよう、早め早めの準備を心がけておきましょう。
■「マイナポイント事業」とは何か?
2019年10月には、消費税増税に合わせて「キャッシュレス・消費者還元事業」がスタートしました。これにより現在は、キャッシュレス決済を選択することで2%の増税分を相殺するかそれ以上の還元を受けられる状態になっています。しかし、この事業は2020年の6月で終了します。
その後、五輪・パラリンピック実施の2か月間が空き、「マイナポイント事業」が2020年の9月から始まります。これは、マイナンバーカードの普及促進やキャッシュレス決済基盤の構築などを目的とする事業で、2458億円が当てられる見込み。
この予算が成立すれば、消費者としては、任意の決済サービスを用いてチャージまたは購入を行うことで、決済金額の25%に相当するポイント(上限5000円分)が決済事業者から付与されることになります。実質的には、景気冷え込み予防の還元施策(第二弾)と捉えておいて問題ありません。
ただし、マイナポイント事業の恩恵を受けるには、数段階の手続きを踏む必要があります。相応の時間がかかると予想されるので、消費者側としてもあらかじめスケジュールを組んでおくのが賢明です。
■マイナポイント事業に必要な手順
マイナポイントを付与してもらうために必要な事前準備として明らかになっているのは、下記の3手順。
- 「マイナンバーカード」を取得する
- 「マイキーID」を設定する
- キャッシュレス決済サービスを選択して申し込み
以下、それぞれについて紹介していきます。
▲総務省「マイナポイント/マイナポイント事業」より(https://mynumbercard.point.soumu.go.jp/about/)
1)マイナンバーカードを取得する
まず、同事業の目的である「マイナンバーカード」を取得しておく必要があります。マイナンバーカードは、顔写真付きの身分証明書になるほか、自治体サービスやe-Taxなどの電子申請にも利用できるので、作っておくとたまに役立ちます。例えば、コンビニのマルチコピー機にかざしてパスワードを入力すれば、住民票などの証明書を発行できます(3月4日現在739市区町村にて実施中)。
気を付けるべきは、マイナンバーカードは交付申請から交付通知書の発送まで、概ね1ヶ月かかるということ。そのため、この手順は早めに済ませておくのが吉です。キャッシュレス決済の申込みが7月からなので、未発行の場合には5月くらいまでには交付申請をしておくと安心かもしれませんね。
本稿では、マイナンバーカードの取得についての説明は省きます。通知カードのまま使っているという人は、下記リンクから手順を確認してみてください。
2)「マイキーID」を取得する
続いて、マイキーIDを取得していきます。マイナンバーカードを持っている人は、すでに予約が可能です。
マイナンバーカードの読み取りに対応したスマートフォンを持っている場合には、Google PlayストアやApp Storeから「マイナポイント」アプリをインストールし、手順を進めましょう。
対応機種の一覧は下記の通り。例えば、iPhoneなら7以降、XperiaならXZ1以降の機種が対応の目安になるでしょう。
>> マイナンバーカードに対応したNFCスマートフォン一覧(PDFファイル)
下記はiPhone 11 Proを用い、iOSアプリでIDを取得した手順の画面です。実際には2〜3分で終わります。取得したIDは必ず控えておきましょう。
▲画面はiPhoneの場合。App Storeから「マイナポイント」アプリをインストールし、「マイナポイントの予約(マイキーIDの発行)」をタップ。「次へ進む」をタップする
▲「読み取り開始」をタップし、パスワードを入力。イラストで示されているように、マイナンバーカードをスマートフォンで読み取る
▲うまく読み取りが完了すると、マイキーIDが表示されるので、「発行」をタップし、確認画面で「OK」をタップ。これで手順は完了した。スクリーンショットを撮りメモに貼り付けるなどして、マイキーIDを忘れぬよう管理しておこう
また、パソコンの場合には、総務省のマイキー公式サイトより「マイキーID作成・登録準備ソフト」をインストールし、対応するICカードリーダライターを用いることで登録が可能になります。
>> サービスの利用に必要となるマイナンバーカードに対応したICカードリーダライタについて(PDFファイル)
ただし、動作環境はWindowsのみで、推奨ブラウザも「Internet Explorer 11」。カードリーダをわざわざ購入するのも本末顛倒です。確定申告用などにすでにリーダを持っている場合を除けば、スマートフォンのアプリから行うのがよいと思います。なお、自治体によっては専用の窓口を設けて受け付けていることもありますので、もし対応スマートフォンを持っていない場合には、確認してみましょう。
3)マイナポイントを申し込む
そして、2020年7月からマイナポイントの申し込みが始まります。この時にキャッシュレス決済サービスを選択することになりますが、詳細はまだ明らかになっていません。
事業名こそ「マイナポイント事業」とされていますが、マイナンバーカードにポイントが貯まるわけではありません。普段使っているようなコード決済を含め、この申し込み時に選択したサービスでポイント還元が受けられる仕組みになります。
▲総務省「マイナポイント/登録キャッシュレス決済サービス」より
2月19日時点で登録を済ませている決済サービスは、「au PAY」「d払い」「PayPay」「LINE Pay」「楽天ペイ」「メルペイ」「ファミペイ」などのスマホ決済のほか、「Suica」「nanaco」「WAON」「楽天Edy」などの電子マネーも含まれています。なお、事業者の登録申請は3月末まで受け付けているので、今後も増減する可能性はあります。
ともかく、こうした手順を踏んだ上で、2020年9月〜2021年3月末の実施期間中に選択した決済サービスでチャージや決済を行うと、25%分(上限5000円)のポイント還元が受けられるわけです。
* * *
5000円分のポイント還元のためにやるには、ちょっと手順が煩雑な気もします…。役所に向かう交通費や手間を考えるとモチベーションはさほど上がらないかもしれませんね。
反対に、マイナンバーカードの発行をすでに済ませている人にとっては、アプリから数分かけて登録をしておくだけで、5000円還元の申し込みをスムーズに行えます。焼肉一回分くらい楽しめると思えば、やっておいた方が得ですかね。
どちらにせよ、やはりまだ気が早いテーマではあることには違いありませんが、あらかじめスケジュールを把握しておき、事前準備をしておきましょう。
>> [連載]〇〇Payの選び方
(取材・文/井上 晃)
スマートフォン関連の記事を中心に、スマートウォッチ、ウエアラブルデバイス、ロボットなど、多岐にわたる記事を雑誌やWebメディアへ寄稿。雑誌・ムックの編集にも携わる。モットーは「実際に触った・見た人だけが分かる情報を伝える」こと。
- Original:https://www.goodspress.jp/howto/282555/
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