機械学習(ML)によって挙動の予測、あるいはデータの分類といったことができる。
これを量子コンピューティングに適用することで、既存の量子アルゴリズムの改善や新しい量子アルゴリズムを開発が可能。量子通信や創薬、新材料の発見といった量子コンピュータに期待される成果により早く到達できるかもしれない。
現在の量子コンピューティング環境で実行できる量子MLモデルの開発ツールが不足していることを憂慮したGoogleは、ウォータールー大学とAlphabetのX、フォルクスワーゲンと共同で量子MLモデルを素早く構築するためのオープンソースライブラリ「TensorFlow Quantum(TFQ)」を開発した。
・量子/古典コンピュータのハイブリッド環境でも実行できる
TFQには、量子ビット、量子ゲート、量子回路、測定演算子……といった量子計算に必要な基礎構造が含まれ、Googleによる量子コンピューティングフレームワーク「Cirq」なんかを利用して量子計算が実行できる。
現在開発されている量子コンピュータは、50~100量子ビット程度でノイズの多い「NISQ(Noisy Intermediate-Scale Quantum Computer)」と呼ばれるもの。まだまだ非力なため、量子MLモデルの開発にあたっては、NISQプロセッサと従来のプロセッサを連携させる必要がある。
幸いなことにTensorFlowは、タイプの異なるプロセッサをまたいだコンピューティングをサポートしているし、Cirqは量子コンピュータと古典コンピュータのハイブリッド環境でも実装可能だ。
またTFQでは、計算結果の格納やトレーニングに利用する関数も既存のものが利用できるのもメリットが大きい。
・量子MLの適用で有用なデータを抽出
NISQプロセッサによって生成された量子データはノイズやもつれが多いので、量子MLを適用することで、有用なデータの抽出を最大化できる。
従来のMLと同様、ノイズの多いデータを分類するために、モデルを構築してトレーニングする。その際TFQが、量子データセットの生成からモデルの評価、サンプルや平均の抽出からパラメーターの調整までもを担ってくれるようだ。
主にシミュレーター上での量子回路実行を想定しているTFQだが、Googleの量子プロセッサ「Sycamore」などの実機のカバーも目指しているとのこと。
参照元:Announcing TensorFlow Quantum: An Open Source Library for Quantum Machine Learning/ Google AI Blog
- Original:https://techable.jp/archives/119057
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:YamadaYoji
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