この1週間で、米国居住者たちにとって、新型コロナウィルス(COVID-19)はこの先、長期間自分たちの生活のあらゆる局面に浸透してくるだろうということが、痛みとともにはっきりとした。テック産業の中や周辺の人たちは、このことを何カ月も感じている。最初のうちは、流行に正面から晒されたアジアの友人や同僚への影響という形で認識が始まり、やがてテック会議に対するドミノエフェクトという形で影響が広がり始めた。
最初に影響が出たのはMWCであり、さらにF8(Facebook)、E3、WWDC(アップル)への影響が続いた。例をあげれば切りがない。米国時間3月13日、TechCrunchも自身のイベントの2つを延期することを発表した。
正直なところ、多くの都市がますます大規模な集会を禁止している中で、選択の余地はどんどん狭まっているので、中止や延期もやむを得ないことなのだ。
ハイテク企業であることは、ほぼデフォルトでグローバル企業であることを意味するため、テック企業はすでに新型コロナウイルスの影響を厳しく認識していた。だが今では、ウィルスの脅威はほぼ全員の玄関先を訪れようとしているところだ。ウイルスに感染した人がまだ知り合いにいなくても、すぐにそうした人が出現する可能性は高い。少なくとも今のところ、これが私たちの現実だ。
もしこの出来事から得られる希望があるとするならば、それは人びとが助け合うことへの期待の中にある。安全な社会的距離をとりながら、独立して協調するのだ。現在の政権の対応には、まだまだ多くの要望が積み残されている。昨日の大統領の記者会見は「民間部門」が称賛され、有名な政府高官達が居並ぶものとなった。確かに現実としては、私たちの多くは、行き詰まった政府部門の不足を埋めるために、企業や幹部らに頼らなければならないのかもしれない。
この先、米企業のお定まりの日和見主義を非難するための時間は十分にある(そしてこの先の数カ月は、まさにそれを行うためのより自由な時間を手に入れるつもりだ)。だが今は、物資を寄付したり、緊張と不安に苛まれる人びとの負担を取り除こうと努力している人たちのことを、書き留めておくことにしよう。
Alibaba(アリババ)の共同創業者であるJack Ma(ジャック・マー)氏は3月14日に、50万個の検査キットと100万枚のマスクを米国へ寄付する計画についての声明を発表した。これは、自国が受けた計り知れない影響のあとで、日本や欧州に対しても行われた似たような寄付に続くものだ。
自国の経験に照らし合わせたときに、医療専門家のための迅速かつ正確な検査と、適切な個人用保護具の提供が、ウイルスの拡散を防ぐのに最も効果的なのです」とマー氏は声明の中で述べている。「私たちの寄付が、アメリカ人の皆さんがパンデミックと戦う役に立つことを願っています!」
昨日、ZoomのCEOであるEric Yuan(エリック・ユアン)氏は、そのビデオ会議プラットフォームを、日本、イタリア、そして米国のK-12(小中高)に無償で提供することを発表した。この措置によって、多くの企業や学校が、リモートワークやリモート学習を取り入れるために、サービス用ソフトの大量のダウンロードを行っている。
今週の初めには、最近マイクロソフトの取締役を辞任したビル・ゲイツ氏が、ビル&メリンダ・ゲイツ財団が、ウェルカムならびにマスターカードと提携し、治療費を1億2500万ドル(約135億円)まで支援することを発表した。米国時間3月13日、Facebookは治療活動を支援するために、2000万ドル(約22億円)の寄付をすることを発表した。アップルは同様に1500万ドル(約16億円)の寄付を発表し、同時に顧客が利子を払うことなく、Appleカードの3月分の支払いを先延ばしにできるということも発表した。
一方、AT&T、Charter、CenturyLink、Comcast、T-Mobile、Verizon、Sprint、そしてCoxなどのISPは、人びとのコネクションが失われないように、過剰請求が起きないこと、支払い遅延損害金を請求しないこと、そしてサービスを打ち切らないことなどを約束した。
多くの企業がその従業員と最終利益への影響に苦しんでいるため、今後数週間または数か月間は、このような発表が増え続けるだろう。ひどい出来事も起こるだろうが、私たちのここ最近の記憶の中でも最も恐ろしく超現実的なこの瞬間を切り抜けるために、上のような様々な取り組みが私たちに大きな力を与えてくれることは間違いないだろう。
画像クレジットdowell / Getty Images
[原文へ]
(翻訳:sako)
- Original:https://jp.techcrunch.com/2020/03/15/2020-03-14-how-big-tech-is-taking-on-covid-19/
- Source:TechCrunch Japan
- Author:Brian Heater
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