モバイル市場データプラットフォームを提供するApp Annieは、アプリ市場の成⻑に⼤きく貢献したアプリパブリッシャー52社を表彰する「トップパブリッシャーアワード2020」の結果を発表した。
同アワードは、同社提供のモバイル市場データ「App Annie Intelligence」における2019年1⽉1⽇~2019年12⽉31⽇の1年間の収益・ダウンロード・MAUのデータをもとにアプリ市場への貢献度を調査し、トランプカードの枚数になぞらえてトップ52社を発表・表彰するというものだ。
なおこのたびは、全世界のトップ52社に加え、⽇本における各カテゴリーのランキングも発表している。
サブスクが大きく貢献
まず、世界収益ランキングTOP52を見てみると、毎年ランクインしている米国、中国、日本、フィンランドのほか、今回新たにアイルランド、イスラエルが加わるなど計12ヶ国の多彩なパブリッシャーがランクインしているのがわかる。TOP52のうち、国別の最多トップパブリッシャーは米国(17社)となったが、TOP52の半数を占め、さらにTOP10内では5つのラインクインを果たしたアジアに本社を置くパブリッシャーの台頭が目立った。
1位のTencent、2位のNetEase、3位のActivision Blizzardは2年連続でそれぞれの順位をキープ。飛躍的伸びたのはZynga、Google、Scopelyで、それぞれ順位を10以上あげている。
また、エンターテインメントおよびマッチング系アプリへの需要が急増し、IACとNetflixがランクを上げ、サブスクリプションの成功が市場収益の成長へつながっているという。例えば、52社のうち40社以上がゲームアプリのパブリッシャーという状況の中、マッチングアプリの「Tinder」や「Pairs」を運営するIACがTOP10にランクインしたことは、サブスクリプションモデルがアプリ市場にもたらした貢献度の大きさを示すだろう。
中国が日本を抜いた
このようにランキング常連企業が並ぶ中、初のランクインを果たした企業も多数。例えばDisney、Sea、Moon Activeといったゲームやストリーミングアプリの新興パブリッシャー3社や、Lilith、37games、Long Tech Network、Yotta Gamesといった中国のパブリッシャーである。その結果、2016年以降初めて日本は国別ランクイン数で中国にリードされた。
中国では、ランキング1位と2位をキープしているTencentやNetEaseのほか、中国版Netflixと言われる「爱奇艺-热⾎少年独播」の台頭が目立つ。動画視聴アプリの「iQIYI」から派⽣した「爱奇艺-热⾎少年独播」は、10年前までの海賊版⾒放題というモデルから、ライセンスを確保しつつ独占放映権やオリジナル作品まで展開するモデルへと方向転換したことで大ヒットし、運営元のBaiduが18位にランクインする結果となった。
日本市場の未来は……
日本のパブリッシャーに目を向けると、バンダイナムコ(5位)、ソニー(8位)、LINE(12位)、スクウェア・エニックス(13位)、ミクシィ(16位)など10社がランクイン。過去数年間ランクインを維持している企業は「強⼒なIPを保有していること」「ゲーム以外の潤沢な収益柱」「グローバルプレゼンス」「新作のヒット率」のうち、いずれかの要素を保有しているという。
そんななか、2017年からの3年間における⽇本国内のゲームアプリダウンロード数ランキングTOP30を見ると、2019年に海外発のアプリが日本発のアプリを追い抜く結果となり、その勢いが気になるところだ。また、このたびの世界TOP52のランキングにおいても中国を始めとする海外パブリッシャーのアプリが拡張し続けているため、⽇本市場もより国際的な競争に発展していくことが予想されるという。
さらに、ゲームアプリのマネタイズの変化にも言及している。近年ゲームアプリの世界的なトレンドとしてゲーム⾃体は無課⾦としながら広告収⼊により収益を上げるモデルの「ハイパーカジュアルゲーム」が挙げられるが、日本においても例外ではないという。
日本のゲームアプリダウンロードランキングTOP30で「アプリ内課金」と「広告マネタイズ」の収益率の割合を示したとき、2018年には50%であった広告マネタイズの割合が2019年には75%にまで増加し、ゲームアプリのマネタイズが広告マネタイズへとシフトしてることが判明したのだ。
国内のカテゴリー別の特徴
今回は、日本における各カテゴリーアワードランキングも発表されている。⾮ゲーム系アプリ収益ランキングでは、マッチングや動画ストリーミング、マンガのアプリの台頭が著しい。マンガなどの単発課金に加えサブスクリプション型のサービスが普及したことや、「タップル」や「Pairs」などのマッチングアプリでのサブスクリプションモデルの急成長も安定した収益を生み出しているようだ。
また、「キャッシュ元年」と言われる2019年には「◯◯ペイ」などの決済アプリの還元競争が激化した。その結果、ファイナンスアプリにおいては、「PayPay」「d払い」「楽天ペイ」などのアプリが上位にランクイン。決済アプリの台頭とともに「三井住友銀⾏アプリ」や「りそなグループアプリ」などの銀⾏系アプリも盛り上がりを見せているとのことだ。
さらに、2019年にブレイクしたカテゴリーとして取り上げられているのがスポーツアプリである。1位と2位はYahoo Japanが提供する「スポナビ」関連のアプリ占める結果となった。3位の「DAZN」は、サブスクリプションモデルを採用しており、2019年上半期に1ユーザーあたりの滞在時間が⼤幅に上昇するなど順調に数字を伸ばしている。また、2019年のラグビー人気の影響もあり、ラグビーアプリも⼤きく伸びる結果となった。
- Original:https://techable.jp/archives/119931
- Source:Techable(テッカブル) -海外・国内のネットベンチャー系ニュースサイト
- Author:樋口
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